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過保護な家族にお願いしてみます

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「アリスティア!体調が悪いと聞いたわ!大丈夫?」

「すぐに医者を呼ぼう。さぁ、可愛いお姫様。頭を撫でてあげるから、眠りなさい」

「何か食べたい物はあるかい?兄様が買ってこよう。プリンがいいかな?それとも何か果物にしようか?」

 わたくしの家族は、その・・・
過保護なのです。

 わたくしをいつまでも幼い子供のように甘やかして、甘やかして、甘やかして。

 あの時わたくしが死んだのなら、家族はどれほど悲しんだことでしょう。

 なんだか腹が立ってきましたわ。

 わたくし、いじめてもいないユリア様をいじめたと言われ、死んで償えとまで言われましたけど、エリック殿下はユリア様のことを『私の愛しい』とおっしゃっていましたわよね。

 それって、浮気じゃありませんか。

 大体、学園に入ってからのエリック殿下は、ユリア様との距離感がおかしかったのです。

 ユリア様をお好きになられたのでしたら、国王陛下にお願いしてわたくしとの婚約を解消なされば良かったではないですか。

 お許しくださるかは分かりませんけど。

 わたくしに相談して下されば、お口添えしましたのに。

 それを、あのような形で、わたくしの誰よりも大切な家族を悲しませるようなことをなさるなんて。

「お父様。お母様。お兄様。わたくし、お願いがございますの」

「お願い?何でも言ってごらん」

「私の可愛いお姫様のお願いなら何でも叶えてみせるわ」

「僕だって、アリスのためなら、何でもしてみせるよ」

「ありがとうございます。お父様、お母様、お兄様。では、エリック・セオドア殿下との婚約を解消して下さいませ」

 わたくしのお願いに、空気がピシリと音を立てて止まった気がします。

 やっぱり、王命の婚約を解消することは難しいのでしょうか。

 いくら公爵といっても、あくまでも臣下です。

 ですが、このままではまた同じ結末を迎え、家族を悲しませてしまいます。

「あの・・・」

「あの小童、まさかアリスティアに何かしたんじゃないだろうな」

「そうね。たかが子供の持った塗料ひとつから、私のお姫様を守れなかった役立たずですものね」

「アリス。何があったのか兄様に言ってごらん?あんなガキは兄様が手討ちにしてあげるから」

 あら?

 ええと、お父様?小童ってもしかしなくてもエリック殿下のことでしょうか?

 お母様。役立たずって・・・
塗料を被ってしまったのは仕方のないことですわ。そもそもわたくしの我儘で市井に行ったのです。

 そしてお兄様。
お手討ちになってはいけませんわ。相手は王族。お兄様にお咎めがあっては大変ですわ。

 でも・・・
ありがとうございます。やっぱり大切な家族を悲しませないためにも、婚約は解消させていただきたく思いますわ。
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