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ポンコツ・・・って失礼ね!

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 ライアンの真意がわからなくて、リリアナもどうしたら良いのか決断がつかないみたいだった。

 ライアンの本来の優秀さを知っていることと、自分の想い人が次期公爵になることが決断を鈍らせているのだ。

 まぁランスロットがリリアナの想いに応えるかどうかは分からないが。

 王家としては、ルーナを次期王妃にと願っているが、その縁が結ばれることはないだろう。

 となると、リリアナの降嫁先なり王配なり、その相手がランスロットというのは何よりも欲しい縁だ。

 ルーナは従兄を大切にしているし、ランスロット自身も不幸を乗り越え、優秀な成績を収めているからだ。

「リリアナ様は、ランス兄様にいつ告白しますの?」

「!!」

 リリアナは、口に含んだ紅茶を吹き出しかけて、慌ててハンカチで口を押さえた。

 王女として、いやそれ以前に淑女としてあり得ないことになるところだった。

 だが、それを引き起こしかけた張本人のルーナは、キョトンとした様子でリリアナを見ている。

 アナはというと、ニコニコとその様子を眺めていた。

 そして、いきなり自分の名が出たランスロットは、頬をわずかに赤らめ、目を泳がせていた。

 そう。
このお茶の場には、ルーナとリリアナだけでなく、アナにランスロット、カイルがいたのである。

 片思いの相手がいる場で、いきなりの暴露である。

 王女としての教育があり、表情に感情を見せないリリアナだが、公の場と違いルーナ達といる時はそれなりに表情豊かだ。

 よって、もう涙目である。

「リリアナ様にだけ言うのも駄目ね。ランス兄様は、どなたかお心を寄せるご令嬢がいるの?」

「ルーナ。こんな場で、いきなり何を言い出すの」

「だって兄様。ライアン殿下のお相手がにしろ、リリアナ殿下のお相手として、ランス兄様に王家から婚約の申し込みが来ることは間違いないと思うわ。でも、お父様もお母様も私も、兄様にはお好きな方と結ばれて欲しいの。別にフィオレンサ公爵家はこれ以上の権力を欲しいとは思っていないし、縁だって他で結べているもの。だから兄様の気持ちを確認しておきたいのよ」

 ルーナの言っていることは、正論である。

 リリアナも、ルーナをライアンの妃にすることが無理そうだと判断した両親、とくに王妃がランスロットにリリアナとの婚約を申し込む可能性はあると思っている。

 だが、何故にいきなり両名のいる場所での確認なのか。

 普通こっそりと個別で聞いて、両想いの場合うまくセッティングするのではないのか。

 残念ながら、魔法や知識はチートのルーナだったが、恋愛面においては全くのポンコツであった。



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