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現れた攻略対象者たち

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「あ!ラクトくん!」

 チェリーさんの声を聞きながら、私はどう判断すべきか、迷っていた。

 ここで、王子相手の対応をしてもいいのかしら?

「チェリー。それに・・・」

「ラクト。この部外者がチェリーに何かしたんじゃないかと問い詰めていたんだ」

 第2王子の出現に、味方あらわると思ったのか、ダイジェスト伯爵令息が鼻息荒く胸を張っている。

 やっぱり、これって脳筋?
そうか~。脳まで筋肉だと、こういう言動になるのね。

 大丈夫?伯爵家。この言動がクリス様にバレたら・・・

「へぇ、部外者?あれ?君って確か」

 ひょこっと第2王子・・・ラクトウェル王子だっけ、彼の後ろから顔を覗かせた少年は、私が誰か気付いたようだ。

 私の銀髪は、貴族でも珍しい。
それに、第2王子の周囲にいて、おそらくは攻略対象者。ならば高位貴族。

 筆頭公爵家の娘で、王太子殿下の婚約者の容姿を知らないなんて、脳筋くらいだと思う。

「ご機嫌よう。セイグラム様」

「あれ?僕のこと知ってくれてるんだ。光栄だな~」

「レビン。知り合いか?」

「相変わらず、カクラムは馬鹿だね。本当に彼女に見覚えないの?いくら伯爵家の次男だからって、馬鹿もほどほどにしないと、廃籍されるよ」

 レビン・セイグラム侯爵令息。
エメラルド色の髪と瞳の、魔法教会教皇補佐の次男。

 可愛らしい、アイドルのような容姿の割に、言ってることは中々の毒舌だわ。

「なんで俺が、お前の知り合いの顔を知ってなきゃならないんだ?」

「ハァ。ねぇ、ジェライト。教えてあげなよ」

「レビン。まずは挨拶を返しなさい。失礼ですよ」

 セイグラム侯爵令息の隣に立つ眼鏡男子がため息を吐く。

 ジェライト・アーシュリー。
アーシュリー公爵家の次男で、父親は宰相補佐。
 つまりは、お父様の下にいるわけで、当然のことながら私とは面識があった。

 そっか。
攻略対象たちは全員、次男なのね。
 第2王子に、騎士団副団長の次男。教皇補佐の次男に宰相補佐の次男。

 なんだか、ものすごく微妙な位置にいる攻略対象なのね。

 団長や教皇、宰相のような、息子の断罪によって職を辞されるとちょっと後が大変的な感じじゃなく、変えが効くような、副団長や補佐。

 しかも全員が次男。

 このゲームって、ざまあ前提なの?
まぁ、悪役令嬢の私が、ヒロインの虹色の聖女の力も持ってる時点で、ゲームの筋書きからは外れていると思うけど。

「お久しぶりですわ、アーシュリー様」

「ルミナスさ・・・様はジェライトさんとお知り合いですか?」

「え、ええ」

 乙女ゲームのヒロインは天真爛漫で、相手の身分に関係なく接するのがウリなのかもしれないけど、貴族が多いこの学園でこの無邪気さは問題を引き起こすのじゃないかしら?



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