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ヒロインとお話しました
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「皆さま、お騒がせいたしましたわ」
お母様付きの侍女が、レイラたちと共に小さな包み紙と1輪の薔薇を、ご令嬢たちに配っている。
あら?あの薔薇は、お母様が大切にしている薔薇園の薔薇ね。
包み紙は何かしら?
「レイラ」
「奥様より、皆様にお渡しするようにと。ポプリでございます」
さすが、お母様だわ。
準備していて下さったのね。そして、あのお花畑さんの登場で混乱した場を治めるために、帰りではなく今、配られた。
私も、こういう気配りができないと、王太子妃には相応しくないって言われてしまうわね。
「あのっ!さっきはすみませんでした」
突然の声に振り返ると、チェリーさんが勢いよく頭を下げていた。
声をかけられたけど、注意したりしないわ。だって、チェリーさんは平民。貴族のしきたりなんて知らないのだから。
学園は平民も通うので、よぼどのこと以上は、そういう制約はないと聞く。
もちろん、あまりにひどい態度は注意されるそうだけど。
「何も謝られることはありませんわ。王太子殿下も、ご令嬢方の前で少々、対応が厳し過ぎましたもの」
「でも、その、あの人は王子様なんですよね?私、王子様に失礼なことを言ったんですよね・・・」
「殿下は、お気になさらないと思いますわ。それから、王子様という敬称ではなく、王太子殿下とお呼びくださいませ。細かいことのようですが、あの方のように、何かをおっしゃられる方もいらっしゃるかもしれませんから」
「あ、わかりました。ありがとうございます」
チェリーさんはペコリとお辞儀をしたあと、にっこりと笑った。
あら、まぁ。
さすがはヒロイン。可愛らしいわ。
乙女ゲームのヒロインといえば、ピンク色の髪と瞳だと思っていたけど、チェリーさんは大きなクルクルと動くエメラルド色の瞳に、ふわふわとしたオレンジ色の髪をしていた。
お日様みたいだわ。すごく可愛い。
私のことは、可愛いとみんな言ってくれるけど、やっぱり銀髪に藍色の瞳って冷たい感じなのよね。
「さ、ご友人もお待ちでしてよ。お楽しみ下さいませね」
離れた位置で、クラスメイトらしき女の子たちが、こちらを見ている。
きっと、貴族の令嬢に何か言われてるんじゃないかと、心配しているのね。
ヒロインであるチェリーさんの、人となりはわかったわ。
今回のお茶会の目的はそれだもの。これ以上、交流する必要はないわ。
ちょっと、オマケで妙な侯爵令嬢と接点ができてしまったけど、エレンが私の護衛である限り、いずれは会うことになっていたでしょうね。
彼女のことは、お母様がどうにかして下さるでしょうから、きっと大丈夫ね。
お母様付きの侍女が、レイラたちと共に小さな包み紙と1輪の薔薇を、ご令嬢たちに配っている。
あら?あの薔薇は、お母様が大切にしている薔薇園の薔薇ね。
包み紙は何かしら?
「レイラ」
「奥様より、皆様にお渡しするようにと。ポプリでございます」
さすが、お母様だわ。
準備していて下さったのね。そして、あのお花畑さんの登場で混乱した場を治めるために、帰りではなく今、配られた。
私も、こういう気配りができないと、王太子妃には相応しくないって言われてしまうわね。
「あのっ!さっきはすみませんでした」
突然の声に振り返ると、チェリーさんが勢いよく頭を下げていた。
声をかけられたけど、注意したりしないわ。だって、チェリーさんは平民。貴族のしきたりなんて知らないのだから。
学園は平民も通うので、よぼどのこと以上は、そういう制約はないと聞く。
もちろん、あまりにひどい態度は注意されるそうだけど。
「何も謝られることはありませんわ。王太子殿下も、ご令嬢方の前で少々、対応が厳し過ぎましたもの」
「でも、その、あの人は王子様なんですよね?私、王子様に失礼なことを言ったんですよね・・・」
「殿下は、お気になさらないと思いますわ。それから、王子様という敬称ではなく、王太子殿下とお呼びくださいませ。細かいことのようですが、あの方のように、何かをおっしゃられる方もいらっしゃるかもしれませんから」
「あ、わかりました。ありがとうございます」
チェリーさんはペコリとお辞儀をしたあと、にっこりと笑った。
あら、まぁ。
さすがはヒロイン。可愛らしいわ。
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お日様みたいだわ。すごく可愛い。
私のことは、可愛いとみんな言ってくれるけど、やっぱり銀髪に藍色の瞳って冷たい感じなのよね。
「さ、ご友人もお待ちでしてよ。お楽しみ下さいませね」
離れた位置で、クラスメイトらしき女の子たちが、こちらを見ている。
きっと、貴族の令嬢に何か言われてるんじゃないかと、心配しているのね。
ヒロインであるチェリーさんの、人となりはわかったわ。
今回のお茶会の目的はそれだもの。これ以上、交流する必要はないわ。
ちょっと、オマケで妙な侯爵令嬢と接点ができてしまったけど、エレンが私の護衛である限り、いずれは会うことになっていたでしょうね。
彼女のことは、お母様がどうにかして下さるでしょうから、きっと大丈夫ね。
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