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転生したと思ったら?

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 多分、死んだのだと思う。

 いや、冒頭から何言ってるのって言わないで欲しい。
 だって、死んだ瞬間のことを覚えてないから、多分としか言えないのだもの。

 よく読んだラノベでは、こういう場合は異世界転生とかするらしい。
 ヒロインだったり、悪役令嬢だったり、聖女だったりと、大体が乙女ゲームの世界とやらに転生するものが多かった。

 出来ることなら、チートな魔法使いとかになってみたい。
 あと、ラノベ定番のざまあされるキャラじゃないのがいい。

 前世で若く死んだのだから、出来ることなら幸せな恋愛して、天寿を全うしたい。

 そんなことを思いながら、目を開けたら、そこは一面真っ白な世界だった。

 床なのか、天井なのか、とにかく一面が真っ白。

 立っているつもりだけど、その下が床なのかが分からない。

 何もない世界って、ものすごく怖いものなんだ。

 私は、へにゃりとその場に座り込んだ。
お尻がぺたりとついているはずなのに、冷たくも温かくもなく、硬くも柔らかくもない《場所》に、思わず体育座りをしてしまう。

 不安で。怖くて。なるべく体を縮こませたくて。

 ここって、天国?いや、それとも地獄?
死後の世界って、こんなに何もない、誰もいない場所なの?

 こんなのなら、地獄の方がいいとすら思えてしまう。
 いや。実際に地獄の業火に焼かれるとかは嫌だけど。

 誰もいない、何もない世界って、精神的にクルものがある。

『あらあら、お待たせしちゃったかしら?』

 聞こえてきた声に、ハッとして、膝に埋めていた顔を上げる。

 真っ白な世界に、真っ白な服と真っ白な髪をした・・・男性?が立っていた。

 いや。女性?
口調は女性だった。でも声は、野太いまではいかないけど、低かったし、どう聞いても低音の、男の人の声だった。

 見た目は・・・
うーん。わからない。髪はくるぶし近くまであるから、女の人かもと思ったけど、真っ白な、ギリシャ神話とかで見たようなてろんとした服の襟元から見える喉仏は、明らかに男の人のそれで。

 はっ!
これはもしや、伝説の《オネエ》というやつでは!
 は、初めて見た。
漫画やドラマでその存在は知ってたけど、実在するんだ。

『やあね。人のことを珍しいものみたいに。別にオネエじゃないわよ。単に口調がこんななだけじゃない』

 えー。
そういう口調の人をオネエっていうんじゃ・・・

『相手を怖がらせないための気遣いって言って欲しいわ。いきなり知らない場所で、知らない男に話しかけられたら怖いでしょ?』

 なるほど?

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