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番外編:魔王妃侍女の恋愛事情2

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 私の婚約者。
フェニックス一族の次期頭領候補であり、私の2歳年上の兄。

 私は、兄が幼い頃から苦手でした。
もちろん、幼い頃から婚約者だと、将来は兄の妻になるのだと、両親からも聞かされていましたし、私自身そのことを嫌だと思っているわけではありません。

 兄は、深紅の髪を腰まで伸ばした美丈夫で、我がフェニックス一族の中でもトップクラスの実力者です。

 見目も麗しく、絶対に他種族から妻を娶らないティターニア王家と違い、頭領が望めば娶る可能性があるためか、異常なまでに、兄はモテました。

 実力があり、見た目も文句なしの兄です。本人が望めば、他種族から娶ることも容易かったでしょうが、兄が望んだのは、妹である私でした。

 現頭領である父に「私と結婚させてくれるなら、次期頭領になってもいい」と、5歳の時にそう言ったのだそうです。

 私は決して、兄が嫌いなわけではありません。
 自慢の兄です。
私のことをとても大切にしてくれますし、私の望むことを叶えてくれます。

 私が魔王妃になられるミア様の護衛兼侍女になれたのも、私がやりたいのならと、兄が父に話してくれたからです。

 ただ・・・
兄は私が異性と近づくことを、決して許してはくれません。

 昔、一族の者と、他愛ない会話をしたことがあります。あとで思い出すこともないような、意味のない話です。

 ですが、その場面を見た兄に、私は屋敷の兄の部屋に連行され、そのまま1ヶ月監禁されました。

 本当に。
私は決して、兄が嫌いなわけではありません。
 ただ、ちょっと、ほんの少し、兄の愛が重すぎるだけなのです。
 監禁とか、監禁とか、監禁とか、とにかく束縛さえしなければ、大好きな兄なのです。

 私は、命令を受ける関係上、魔王陛下や宰相レイ様とお話することがあります。
 
 陛下にはミア様がいらっしゃるのでいいのですが、宰相レイ様は、まだ婚約者がいらっしゃいません。
 ですから、私はレイ様とは絶対に2人きりでは話さないように、徹底して気をつけております。

 そんなことが兄の耳に入れば、陛下が結婚されたこともあり、しばらくまた監禁されかねません。

 監禁は嫌です。
それに、ミア様のお側からそんなに長く離れていたくありません。

 しかし、大好きなミア様が、兄に会ってみたいとおっしゃるのです。

 家に戻れば、間違いなく結婚話が進められ、妻になれば、当分兄から離してもらえそうにありません。

 陛下を見ていればわかります。
兄と陛下は同じ空気を感じます。アレは駄目なヤツです。

 ああいうのを『ヤンデレ』というのだそうです。同じ侍女仲間から聞きました。
 好意を持った相手に、その好意ゆえに病んでる状態になることをそういうのだとか。

 しかし、仕方ありません。ミア様の願いです。陛下が絶対に叶えようとするに決まってます。

 結婚式にお呼びするためにも、帰らねばなりません。
 せめて、密月を1ヶ月程度で終わらせてくれるよう、兄と交渉しなければなりませんね。






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