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対価のお話

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「別に材料さえ揃えてくれたら、結界石作りますよ?」

 そう言ったら、グレン皇子とクラウド王子が食いついた。

「本当にいいの?」

「良いですよ、材料さえ揃えてくれるなら、特別価格で作ります。ただ・・・結界石って作ったらはい!オーケーってわけじゃないんですよ。定期的に聖力を注いでやらないとただの石になってしまうんで」

「代金はそのメンテナンス代込みかな?いくらくらい?」

 あ、いくらくらいが相場なんだろう?
シンクレア王国では、ほぼただ働きみたいなものだったからなぁ。

 シキにはある程度の金貨をもらった。
生活費とか取られてないし、カルディアに結界石を置いたのは、私によくしてくれた宿屋の女将さんたちを守りたかったのと、クロの大事な家族のナイトのためだから、あくまでもある程度だ。

 どう答えるべきか分からなくて、シキを見ると、シキはため息を吐きながらもグレン様たちに答えてくれた。

「シンクレア王国では、まともに支払われていなかったらしい。だから、お前らがこれならティアが喜ぶと思うものをやれば良いんじゃないか?そもそもティアは金にこだわっているわけじゃない」

「そうなの?特別価格でとか言うから、欲しい物でもあるのかと思ったよ」

「無償でやらないのは、相手がそれを当たり前だと思うのを防ぐためだろう。したことに対価があるのは当然だからな」

 シキの言葉に、グレン皇子もクラウド王子も納得したように頷いてくれた。

 シキは・・・
最初の、出会いの印象こそ悪かったけど、こういうとこ本当によくわかってくれてると思う。

 たまにむくれてる時もあるけど、何で機嫌が悪いかちゃんと理由も言ってくれる。

 クラウド王子もグレン皇子も、私は二人のことをよく知らないけど、シキが心を許してるところを見ると、悪い人じゃないんだと思う。

「しかし、ティア嬢の欲しいものか・・・」

「宝石やドレス・・・は興味なさそうだねぇ」

「なら、ドラゴンなどの希少な魔石とか?」

 確かに私は、宝石にもドレスにも興味がない。

 私は平民だからドレスとか着る機会もないし、動きにくいから着たいとも思わない。

 宝石にしても、キラキラしてて綺麗だとは思うけど、平民の子供がそんなの持ってたら、強奪されるだけだ。

 ドラゴンとかの魔石に興味がないと言えば嘘になるけど、まだ収納の中に異常種のドラゴンの魔石は入ったままだ。

 売れないものを貰ってもなぁ。
いや、むしろアーバンラマの皇子にもらったと言って、一緒に売れば良いのか?


 
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