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結界石の依頼

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「それで、その馬鹿王子と馬鹿教皇は送り返したんだな?」

 グレン様の問いに、シキが頷く。

「一応、今後の入国禁止の旨の書簡は付けたが、聞きはしないだろう」

 うん。私もそう思う。
あの人たちは自分たちの利しか考えてない上に、人のいうこと理解しないから。

「で?」

「魔物の襲撃に、多分シンクレアは保たない。もし移住を求める平民がいたら、予定通り受け入れて欲しい」

「ああ。うちよりはラプラスに行く者が多いだろうが」

「その辺は、どうとでもするよ。交換条件をのんでくれるならね」

 交換条件?
確かに、平民とはいえ大勢がラプラス王国に移住すれば、住むところや働く場所などが必要になるし、他国の人間だからいざこざも増えるかもしれない。

 無条件ってわけにはいかないよね。

「交換条件ってなんですか?」

「うん?ああ。シキの魔法でね、いくつかの魔道具を作ってもらうことになってるんだ。本当は、聖女様の結界を張って欲しかったんだけど、道具扱いするつもりはないって断られちゃって」

「シキ。私、その話聞いてないよ?」

「ティアは聖女ではなく、冒険者としてうちにいるんだろう?うちに結界石を配置してもらったんだ。これ以上の無理を言うつもりはない」

 最初は、傲慢な人だと思ってた。
ものの言い方もそうだったし、やり方に関しても良い印象は持てなかった。

 でも、十六歳という年齢で、皇太子時代に両親を殺され、皇帝になってからも周囲には敵が多かったんだろう。

 そう簡単に、人を信じられない立場というのも分かる。

 アルヴァン様やナイトを見てると分かる。
多分、シキは本当は不器用なだけで優しい人間なんだろうって。

 ただ、皇帝陛下という立場が、優しいだけでいることを許してくれないんだ。

「魔道具って何を作るんです?」

「結界石に似たような作用をするものだ。一度防御すると壊れてしまうが、それでもないよりはマシだからな。うちでもティアが結界石を置いてくれる前は、魔道具を主要箇所には置いていた」

「そんなのがあるんですか。でも、一回だけって効率悪いですね。前回同様に、結界石の材料を手に入れてくれるなら、結界石を作りますよ」

 そもそもシンクレア王国のことは、私の問題だ。

 シキはあくまでもクロのことがあるから、私を保護してくれているに過ぎない。

 まぁ、お礼としてちゃんと結界石は作ったけど。

 私の言葉に食いついたのは、シキではなくクラウド王子とグレン皇子だった。

「本当?良いの?」

「うちにも頼んだら、作ってもらえるのか?」


 
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