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最終章
グレイス・シュラット《セレスティーナ視点》
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「グレイス!ねぇ、グレイス!」
何度呼びかけても、グレイスが応えてくれません。
私の名前は、セレスティーナ・アルバム。アルバム皇国の皇女です。
そんな私が自分の中で眠りについたのは、私が5歳の時でした。
その日ー
皇国の地下にある、王家の霊廟に墓参に行った私は、その霊廟で不思議な体験をしたのです。
王家の霊廟といえど、誰でも墓参できるわけではありません。私はアレクシスお兄様のご両親の墓参のために、私自身の誕生日に墓参に訪れていました。
お兄様のご両親の命日は、お兄様がご両親とゆっくりお話しできるように、私はご一緒しない方がいいと思ってのことです。
4歳までは、お母様に連れられて行っていたのですが、5歳の誕生日のこの日、お母様の手が離せなかったことで私は霊廟の入口まで護衛の方に連れてきてもらい、1人で墓参したのです。
初めて1人で入った霊廟は、どこか今までと違う気配を感じました。
ですが私はそれを、初めて1人で来たことの緊張によるものだと勘違いしたのです。
この霊廟には、お兄様のご両親の他、かつてここにあったマーベラス王国の王族の方のお墓もあります。
マーベラス王国が滅んだ後に建国したお兄様のご両親は、霊廟を移動することを良しとされませんでした。
ですから少し離れた位置に、マーベラス王族のお墓もあります。
もう、お墓参りに誰も来られることのないマーベラス王族のお墓に足を向けたのは、ほんの気まぐれでした。
墓守がおりますから、誰も参られなくともお墓が荒れるようなことはありません。
ですが、誰も訪れてくれないことは寂しいことなのでは・・・
そう思って、手を合わせようと思ったのです。
その、お墓あたりに近づいた時、不意に違和感を感じました。
よく目を凝らすと、白い光を黒い靄が捕まえているような、そんな様子が見て取れたのです。
「?」
白い光、女の人を、黒い靄の男の人ががんじがらめに拘束している。そう気づいた時、私は駆け出していました。
私はこの時、自分が無力な5歳児であることも、何も頭になく、ただあの人を救わなければという、そんな気持ちだけで駆け出していたのです。
『来ては駄目』
そんな声が頭の中に響いた時には、私は女の人を束縛する男の人の手に触れていました。
引き剥がそうとする私をキツく睨んだ碧い瞳と目が合った途端、自分の体から力が抜けていくのを感じました。
『駄目っ!!』
眩く強い光が辺りを照らし出すのを目にしたのを最後に、私の意識は深い深い底に沈んでいきました。
何度呼びかけても、グレイスが応えてくれません。
私の名前は、セレスティーナ・アルバム。アルバム皇国の皇女です。
そんな私が自分の中で眠りについたのは、私が5歳の時でした。
その日ー
皇国の地下にある、王家の霊廟に墓参に行った私は、その霊廟で不思議な体験をしたのです。
王家の霊廟といえど、誰でも墓参できるわけではありません。私はアレクシスお兄様のご両親の墓参のために、私自身の誕生日に墓参に訪れていました。
お兄様のご両親の命日は、お兄様がご両親とゆっくりお話しできるように、私はご一緒しない方がいいと思ってのことです。
4歳までは、お母様に連れられて行っていたのですが、5歳の誕生日のこの日、お母様の手が離せなかったことで私は霊廟の入口まで護衛の方に連れてきてもらい、1人で墓参したのです。
初めて1人で入った霊廟は、どこか今までと違う気配を感じました。
ですが私はそれを、初めて1人で来たことの緊張によるものだと勘違いしたのです。
この霊廟には、お兄様のご両親の他、かつてここにあったマーベラス王国の王族の方のお墓もあります。
マーベラス王国が滅んだ後に建国したお兄様のご両親は、霊廟を移動することを良しとされませんでした。
ですから少し離れた位置に、マーベラス王族のお墓もあります。
もう、お墓参りに誰も来られることのないマーベラス王族のお墓に足を向けたのは、ほんの気まぐれでした。
墓守がおりますから、誰も参られなくともお墓が荒れるようなことはありません。
ですが、誰も訪れてくれないことは寂しいことなのでは・・・
そう思って、手を合わせようと思ったのです。
その、お墓あたりに近づいた時、不意に違和感を感じました。
よく目を凝らすと、白い光を黒い靄が捕まえているような、そんな様子が見て取れたのです。
「?」
白い光、女の人を、黒い靄の男の人ががんじがらめに拘束している。そう気づいた時、私は駆け出していました。
私はこの時、自分が無力な5歳児であることも、何も頭になく、ただあの人を救わなければという、そんな気持ちだけで駆け出していたのです。
『来ては駄目』
そんな声が頭の中に響いた時には、私は女の人を束縛する男の人の手に触れていました。
引き剥がそうとする私をキツく睨んだ碧い瞳と目が合った途端、自分の体から力が抜けていくのを感じました。
『駄目っ!!』
眩く強い光が辺りを照らし出すのを目にしたのを最後に、私の意識は深い深い底に沈んでいきました。
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