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最終章

セレスティーナ・アルバム《アレクシス視点》

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 光に包まれ、宙に浮かんだままのセレスティーナに手を伸ばす。

 一瞬、弾くようなピリリとした痛みを感じたが、そのまま強引にセレスティーナの体を抱きとめた。

「セレっ!セレスティーナ!」

 おそらく、この光は聖女の加護だ。ならばセレスティーナ自身に危害が及ぶことはない。

 何度か呼びかけると、その瞼が震え、ゆっくりと銀の瞳が僕を捉えた。

「セレ!気がついた?」

「・・・」

「セレ。セレスティーナ。僕が分かる?」

「・・・」

 口を開かないセレスティーナに、不安がよぎる。

 セレスティーナはしばらく辺りを見渡すように視線を彷徨わせた後、僕に向き直った。

「アル兄様。お部屋に戻りたい」

「あ、ああ。そうだな。ジュディに付き添ってもらうといい」

「アル兄様に一緒にいて欲しいの」

 僕の腕を掴むセレスティーナに、どこか違和感を感じる。
 だが、目の前にいるのは間違いなくセレスティーナだ。

 僕が違和感の原因を探る前に、側に控えていたジュディが頭を下げてきた。

「殿下。どうかセレスティーナ様に付いていて差し上げて下さい。姫様はとても恐ろしい目に遭われたのです。あの罪人の処分など、陛下が戻られてからでいいではありませんか」

「アル兄様。お願い」

「わかったよ。じゃあ、部屋に戻ろうか。ジュディ。衛兵に、ジュディに嘘の伝言をしたシシア王女の付き人も捕縛する様に伝えてくれ」

 僕はジュディに指示を出した後、セレスティーナを抱き上げたまま、執務室を出た。

 セレスティーナの部屋に着くまで、セレは僕に抱きついたまま何も言おうとしなかった。

 僕はその違和感を、恐ろしい目に遭ったからだと納得した。

 ジュディの言う通りだ。
王女たちの処分など、叔父上が戻ってからでいい。
 今は、傷ついたセレスティーナの心に寄り添うことより大切なことなどない。

 部屋に着くと、僕はセレスティーナをベッドへと下ろした。
 着替えさせるために、誰かを呼ぼうとした僕の腕を、セレスティーナがきつく掴む。

「セレ?大丈夫。どこにも行かないよ。休むなら着替えだ方がいいだろう?侍女を呼ぶだけだよ」

「アル兄様」

「うん?どうした?」

 僕の腕を掴む手が震えている。
僕はその手を外すと、セレスティーナを抱きしめた。

「怖かったね。大丈夫。セレスティーナが落ち着くまで、ずっとこうしているから」

「アル兄様。違うの」

「違う?何が?」

が目覚めてくれないの!ねぇ!アル兄様!!私はなの!!どうしよう。何度呼びかけてもが返事してくれない!!」
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