死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります

第３章

婚約解消を望む者《メリッサ視点》

　学園では、相変わらず婚約者のルシアン様はラナナ様と、仲睦まじく過ごされています。

　はぁぁ。本当に、ウンザリしますわ。
お父様には叱られてしまうかもしれませんが、そろそろ本気で婚約解消についてお話した方がいい気がします。

　公爵家との縁組ですし、お叱りは覚悟しなくてはいけないですわね。
　婚約者の気持ちを繋ぎとめることができなかったのですから。

　それでも、今のルシアン様を見ていると、５年前に抱いた気持ちが私の中から消えていくのが分かるのです。

　そしてきっとルシアン様の中でも、ラナナ様の方が私よりも大きい存在なのでしょう。
　私はどうしてもキツい物言いになることがあります。お父様にも注意されていましたから、ルシアン様相手の時は特に気をつけてはいたのですが。

　しかし、それなら先に私との婚約を解消なさればよろしいのに。
　もっと、誠実な方だと思っていましたわ。

　最近、ため息が漏れがちの私に、ケイト様が話しかけられて来ました。

　ケイト様も公爵家のご令嬢です。大人びてらして、凛としていらっしゃいます。
　私も、キツめの性格を改善して、ケイト様のようになれたらいいのですけど。

「メリッサ様。メリッサ様は、テレンス様との婚約を継続されたいのかしら？それとも？」

「ケイト様。どうして・・・」

「セレスティーナ様が、とても心配してらしてよ。もちろん、友人としてわたくし達も心配していますわ」

　セレスティーナ様が・・・
あの方はお優しいから。それに、私を友人と言ってくれるケイト様やアニエス様たち皆様のお気持ちがとても嬉しくて、涙が出そうになります。

　貴族の令嬢たる者、人前で感情を露わにするなどいけないことなのに。

　セレスティーナ様。本当にお優しい、この国の至宝である皇女殿下。
　私はあの日、あのお茶会でセレスティーナ様たちとお会いできたことが本当に嬉しいです。
　マグエル様との出会いは、今思えば残念ですけど。

「ありがとうございます、ケイト様。私は解消をお父様にお願いしようと思っております」

「そうですのね。そうですわよね。あのような行いをなさる方ですものね。もしも公爵様が納得されませんでしたら、いつでもご相談下さいませ。我が家もセレスティーナ様も皆様も、必ずお力になりますわ」

「ケイト様・・・」

　ローゼンタール公爵家やシャトレーゼ侯爵家、そしてアルバム皇国皇族がお力になって下さるとおっしゃいます。

　私、婚約者には恵まれませんでしたけど、お友達には恵まれていますわ。

　今日、公務のためにお休みのセレスティーナ様にも明日お礼を申し上げなくては。