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第3章
愛される姫君《イリーナ視点》
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左手首のブレスレットにそっと触れます。
ブラウントパーズの中に、小さな銀の薔薇が咲いたとても美しいブレスレットは、アルバム皇国皇女セレスティーナ様からいただいたものです。
このブレスレットには、防御魔法が付与されています。
薔薇の細工をしたのも、魔法の付与をしたのもセレスティーナ様です。
お美しくお優しい上に、才能豊かな皇女殿下のお友達となれたことが嬉しくて仕方ありません。
私はイリーナ。イリーナ・アプローズ。アプローズ伯爵家の長女です。
父は魔法省の長官をしていて、その関係か我が家族は魔法オタクばかりです。
1歳年下の弟も、3歳年下の妹も、もちろん私も魔法の研究になると寝食を忘れるほどです。
その私から見ても、付与された魔法は素晴らしいものでした。
魔法のことになると、つい話し過ぎてしまう私ですが、セレスティーナ様は優しくずっと頷きながら聞いてくださいます。
セレスティーナ様は、とてもお美しい姫様です。
月の光を纏ったような銀の髪は、サラサラとしていて、少々癖のある私の榛色の髪とは全然違います。
それなのに、セレスティーナ様は私のクルクルとした髪を可愛いとおっしゃって下さり、お手入れにいいのだと柘植の櫛を下さいました。
そんなお優しいセレスティーナ様のことを、皇太子殿下はとても大切になさっているようです。
貴族の中には、自分の娘を皇太子妃候補に差し出したい人もいるようで、従兄と婚約なんて陰口を叩く人もいるようですが、セレスティーナ様以上に皇太子妃に相応しい方はいないように思えます。
セレスティーナ様は不思議な方です。
私たちと同い年で、年相応の可愛らしさがある一方、どこか大人びた、達観したようなところもお見受けするのです。
それはもしかしたら、セレスティーナ様に秘められた魔力があまりにも膨大な為に、私がそう思ってしまっているだけかもしれません。
セレスティーナ様の魔力量は、かつてアルバム皇国ができる前にあったマーベラス王国にいたという稀代の魔女と呼ばれたグレイス様という聖女を超えているように思えます。
マーベラス王国は、聖女であるグレイス様を虐げたことで滅んだと言われています。
そのグレイス様を凌ぐと思われるセレスティーナ様。
きっと、何があったとしてもセレスティーナ様ならご自分で解決されてしまうかもしれません。
でも、魔力量で足りないなら知識で、セレスティーナ様をお支えしたい。
あの優しい皇女殿下が憂うことがないように、お力になりたいと思います。
その為にも、お父様にもっともっと魔法についてご教授願わなくてはなりません。
全ては、大切な彼の方のために。
私、頑張れると思うのです。
ブラウントパーズの中に、小さな銀の薔薇が咲いたとても美しいブレスレットは、アルバム皇国皇女セレスティーナ様からいただいたものです。
このブレスレットには、防御魔法が付与されています。
薔薇の細工をしたのも、魔法の付与をしたのもセレスティーナ様です。
お美しくお優しい上に、才能豊かな皇女殿下のお友達となれたことが嬉しくて仕方ありません。
私はイリーナ。イリーナ・アプローズ。アプローズ伯爵家の長女です。
父は魔法省の長官をしていて、その関係か我が家族は魔法オタクばかりです。
1歳年下の弟も、3歳年下の妹も、もちろん私も魔法の研究になると寝食を忘れるほどです。
その私から見ても、付与された魔法は素晴らしいものでした。
魔法のことになると、つい話し過ぎてしまう私ですが、セレスティーナ様は優しくずっと頷きながら聞いてくださいます。
セレスティーナ様は、とてもお美しい姫様です。
月の光を纏ったような銀の髪は、サラサラとしていて、少々癖のある私の榛色の髪とは全然違います。
それなのに、セレスティーナ様は私のクルクルとした髪を可愛いとおっしゃって下さり、お手入れにいいのだと柘植の櫛を下さいました。
そんなお優しいセレスティーナ様のことを、皇太子殿下はとても大切になさっているようです。
貴族の中には、自分の娘を皇太子妃候補に差し出したい人もいるようで、従兄と婚約なんて陰口を叩く人もいるようですが、セレスティーナ様以上に皇太子妃に相応しい方はいないように思えます。
セレスティーナ様は不思議な方です。
私たちと同い年で、年相応の可愛らしさがある一方、どこか大人びた、達観したようなところもお見受けするのです。
それはもしかしたら、セレスティーナ様に秘められた魔力があまりにも膨大な為に、私がそう思ってしまっているだけかもしれません。
セレスティーナ様の魔力量は、かつてアルバム皇国ができる前にあったマーベラス王国にいたという稀代の魔女と呼ばれたグレイス様という聖女を超えているように思えます。
マーベラス王国は、聖女であるグレイス様を虐げたことで滅んだと言われています。
そのグレイス様を凌ぐと思われるセレスティーナ様。
きっと、何があったとしてもセレスティーナ様ならご自分で解決されてしまうかもしれません。
でも、魔力量で足りないなら知識で、セレスティーナ様をお支えしたい。
あの優しい皇女殿下が憂うことがないように、お力になりたいと思います。
その為にも、お父様にもっともっと魔法についてご教授願わなくてはなりません。
全ては、大切な彼の方のために。
私、頑張れると思うのです。
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