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第3章

愛される姫君《アニエス視点》

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 **アニエスの名前間違っていたので、修正しました**


今日のお茶菓子は、パウンドケーキにしました。セレスティーナ様、喜んでくださるかしら。

 私はアニエス・エトワール。エトワール侯爵家の次女です。
 私にはとても優秀なお兄様とお姉様がおります。侯爵家もお兄様がお継ぎになりますし、お姉様は幼馴染の侯爵の次男の方に嫁がれました。

 ですから、私は趣味の編み物やお菓子作りをしながら、自由に過ごさせていただいております。

 8歳の時に、このアルバム皇国の皇妃様からお茶会のお招きがありました。

 アルバム皇国には、私と同い年の皇女様がいらっしゃいます。
 皇太子殿下は、私よりも10歳年上ですし、皇女様とご婚約されたばかりです。
 ですからきっと、皇女様の友人候補として呼んでいただけたのだと思います。

 皇女様は、とても愛らしい方でした。お話も上手で、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
 次にお会いする時には、手作りのお菓子を持参するお約束もいたしました。

 楽しい時間もあと少しというところで、いきなり妙な殿方が現れました。

 今日のお茶会に招かれたご子息方とは違います。
 馴れ馴れしくセレスティーナ様の顔を覗き込み、失礼な発言をする殿方に、メリッサ様が失礼だと叫ばれます。

 メリッサ様はフルーニー公爵家のご令嬢です。
 年上と思しき殿方に対しても毅然とした態度のメリッサ様に、私は尊敬の念を抱きました。

 私など、何の発言も出来ずに震えるばかりです。
 メリッサ様だって怖いでしょうに、本当にすごいと思います。

 セレスティーナ様は、皇妃様の魔法で守られました。
 私は魔法にはさほど詳しくはありませんが、高位貴族ほど強い魔力があると言われています。

 アニエス侯爵家は皆、風の魔力持ちなのですが、皇妃様は植物を操る魔力のようです。
 セレスティーナ様が大事に至らなくて本当に良かったです。

 皇太子殿下が本当に心配そうにセレスティーナ様を抱きしめられていました。
 やっぱり皇太子殿下はセレスティーナ様のことを溺愛されていらっしゃるみたいです。

 そのお気持ちはわかります。
私の趣味のお菓子作りをとても褒めてくださり、拙いお菓子を美味しいと喜んで下さるのです。

 そして、そのお礼だと言って、手作りのアクセサリーを下さいました。

 ペリドットの小さな石の中に、銀の薔薇が咲いています。
 とても繊細で美しいブレスレットです。これが手作りなんて、セレスティーナ様はすごいと思います。

 しかも、防御魔法が付与されているそうです。
 こんな素敵なプレゼントを下さるなんて、嬉しくて仕方ありません。
 拙いお菓子ですが、もっともっと美味しいものをセレスティーナ様に食べていただきたいと思います。

 

 



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