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第1章
甘えるって難しい
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「お母様、セレに刺繍教えて?」
アル兄様に甘えるように言われましたけど、どうやればいいのかわかりません。
グレイスの時に甘やかされたことなどありませんでしたから。
仕方がないので、刺繍を教えてもらう作戦にしました。
グレイスとしてなら刺繍もそれなりに出来ましたけど、セレスティーナだとまだ手が小さいので、思うように出来ないのです。
「あら?セレは刺繍嫌いだったのに、どういう風の吹き回しかしら?」
え。えっと、セレスティーナ、刺繍嫌いだったんですか!
「あ、アル兄様に作ってって言われたの」
「あらあら。本当にセレはアレクシスが好きね」
何とか納得してもらえたみたいです。あとで、アル兄様と話を合わせておかないと。
「それで、どんな模様にする?」
「アル兄様に似合うのがいい」
「アレクシスに似合うのねぇ。そうね、あんまり難しいのはアレだから・・・」
「難しくてもいい!兄様のしるしを入れたい!」
お母様が考えてくれているのを遮って、しるしを刺繍したいと訴えました。
しるしというのは、王族が持っている自分だけの紋章のことです。
お父様はサルビア。お母様はラン。アル兄様はユリ。私はスズランです。
そのしるしは印蝋に用いられたり、ブローチにして正装の時に胸元に飾られます。
「じゃあ、ユリとアレクシスの象徴の龍なんかどう?難しいけど、出来る?」
「出来ます!」
セレスティーナの手でどれだけ出来るのかはわかりませんが、せっかくですから頑張ってみましょう。
象徴は、国王や王太子にのみ与えられたしるしで、正式行事の際はそれが刺繍された衣装を身に纏います。
グレイスの時にも刺繍はいくらかしましたが、お父様も婚約者である王太子殿下も誰にも喜んで貰えなかったので、差し上げることをやめてしまいました。
それでも、聖女として刺繍したハンカチなどは孤児院に送っていましたが、子供らしいデザインにしていましたから、上手く出来るでしょうか。
セレスティーナは刺繍嫌いだったみたいですから、拙い方がいいかもしれません。なら、難しいデザインの方が拙さが出やすいと思います。
甘え方がわからなくて、刺繍を教わることになってしまいましたが、セレスティーナが戻ってきた時に上手く出来るようになっていたらいいと思います。
セレスティーナは王族ですし、この先婚約者ができれば刺繍をして差し上げることもあるでしょうから。
その日から、私はお母様に刺繍を教わることになりました。
何故か、お父様とお母様から自分のも作って欲しいと頼まれました。なので、アル兄様のを作り終えたら、お父様とお母様のも作ります。鳳凰とサルビア、それにランですか。難易度が高いです。
アル兄様に甘えるように言われましたけど、どうやればいいのかわかりません。
グレイスの時に甘やかされたことなどありませんでしたから。
仕方がないので、刺繍を教えてもらう作戦にしました。
グレイスとしてなら刺繍もそれなりに出来ましたけど、セレスティーナだとまだ手が小さいので、思うように出来ないのです。
「あら?セレは刺繍嫌いだったのに、どういう風の吹き回しかしら?」
え。えっと、セレスティーナ、刺繍嫌いだったんですか!
「あ、アル兄様に作ってって言われたの」
「あらあら。本当にセレはアレクシスが好きね」
何とか納得してもらえたみたいです。あとで、アル兄様と話を合わせておかないと。
「それで、どんな模様にする?」
「アル兄様に似合うのがいい」
「アレクシスに似合うのねぇ。そうね、あんまり難しいのはアレだから・・・」
「難しくてもいい!兄様のしるしを入れたい!」
お母様が考えてくれているのを遮って、しるしを刺繍したいと訴えました。
しるしというのは、王族が持っている自分だけの紋章のことです。
お父様はサルビア。お母様はラン。アル兄様はユリ。私はスズランです。
そのしるしは印蝋に用いられたり、ブローチにして正装の時に胸元に飾られます。
「じゃあ、ユリとアレクシスの象徴の龍なんかどう?難しいけど、出来る?」
「出来ます!」
セレスティーナの手でどれだけ出来るのかはわかりませんが、せっかくですから頑張ってみましょう。
象徴は、国王や王太子にのみ与えられたしるしで、正式行事の際はそれが刺繍された衣装を身に纏います。
グレイスの時にも刺繍はいくらかしましたが、お父様も婚約者である王太子殿下も誰にも喜んで貰えなかったので、差し上げることをやめてしまいました。
それでも、聖女として刺繍したハンカチなどは孤児院に送っていましたが、子供らしいデザインにしていましたから、上手く出来るでしょうか。
セレスティーナは刺繍嫌いだったみたいですから、拙い方がいいかもしれません。なら、難しいデザインの方が拙さが出やすいと思います。
甘え方がわからなくて、刺繍を教わることになってしまいましたが、セレスティーナが戻ってきた時に上手く出来るようになっていたらいいと思います。
セレスティーナは王族ですし、この先婚約者ができれば刺繍をして差し上げることもあるでしょうから。
その日から、私はお母様に刺繍を教わることになりました。
何故か、お父様とお母様から自分のも作って欲しいと頼まれました。なので、アル兄様のを作り終えたら、お父様とお母様のも作ります。鳳凰とサルビア、それにランですか。難易度が高いです。
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