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ラムズベルト侯爵家

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 皇帝陛下に招ばれて、ラムズベルト侯爵様とサングリア子爵夫妻が王宮にやって来た。

 個別に話すのかと思ったけど、違うのね。

 何故か私とハデス様も同席させられた。
 三人が私たちを不審そうに見るのだけど。

 サングリア様のことは心配だし、結果は教えて欲しいけど、陛下たちだけでお話してくだされば良いのに。

 これ巻き込まれた運命なのだと、諦めるべきなのかしら。

「皇帝陛下におかれましては・・・」

「堅苦しい挨拶はいらん。サングリア子爵。ご息女は現在婚約者であるサリュと話し合い中だ。後でこちらに来て貰うから、少々待ってくれ」

「は、はいっ」

「では、ラムズベルト侯爵。貴殿の夫人が娘をサリュの婚約者にしようと色々とやらかしていることに気付いているか?」

 陛下の言葉に、ラムズベルト侯爵様は顔を青くされた。

 陛下は侯爵様は真っ当な方だとおっしゃっていたから、ご存知なかったのでしょうね。

 だけど、娶られたのだから、監視はしておくべきだったのでは?

 もう子供さんも大きくなって、今まで大丈夫だったからと油断したということ?

「つ、まが・・・何、を?」

「こちらのサングリア子爵家のご令嬢には、幼馴染がいてな。単なる幼馴染でしかなかったのだが、その男がサリュに『俺たちは恋人同士で愛し合っていたのに、王家からの婚約の打診は断れないからと泣く泣く別れたのだが、彼女のことを愛しているんだ。どうか彼女を返してくれ』と言ってきた」

「そんなことが・・・」

「それを言うように示唆したのが夫人だ。すでに調査済みで、間違いでも何でもない。幸いにも、ここにいるヴェルセット伯爵夫人が令嬢から事情を聞いてくれてな。サリュと令嬢は現在話し合いをしている。さて、ラムズベルト侯爵。夫人との婚姻の際に約束したな?多額の報酬を与える代わりに、生涯夫人の監視役をするようにと」

 監視役。
かつて、陛下の婚約者候補時代に起こした皇妃様襲撃事件は、証人が平民のしかも破落戸だったことで、ラムズベルト侯爵夫人のご両親から処罰に対する抗議が出た。

 婚約者候補から辞退する代わりに、この件を不問にしてもらいたい、との申し入れがあったのだそう。

 皇妃様のご実家は悩んだ挙げ句に、この件を長引かせれば娘にとっても醜聞になると、この申し入れを受け入れた。

 皇帝陛下、つまり王家側は納得しなかったが、被害者側が受け入れたことで、条件付きで王家側も不問とすることになった。

 それが監視役のラムズベルト侯爵家への嫁入りだったのだ。
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