144 / 215
皇帝一家の事情①
しおりを挟む
エレメンタル帝国皇帝妃ラティエラ様は、帝国の公爵家のご令嬢だったそうだ。
そして、三歳年下の妹様がいらっしゃる。
公爵家は二歳年上のお兄様が継がれたそうだけど、そちらの方は何も問題がない。
妹様は大人しい性格の方で、あちらからの申し入れで侯爵家に嫁がれた。
まぁ、そこまでは問題がなかった。
問題は、お相手のご両親が生まれたお子様にとても甘かったということだ。
先にご令嬢、二歳下に嫡男が生まれたそうだけど、嫡男の方は侯爵家を継ぐために侯爵家当主様は厳しく育てられたそうだ。
隠居された元侯爵夫妻は、嫁を気遣い上の娘の面倒を普段から見て下さっていたらしいけど・・・
決して悪意はなく、悪い方達ではなかったのだと皇妃様もおっしゃっていたし、多分本人の資質もあるのだと思うけど、とても我儘なご令嬢に育ったそうだ。
そのご令嬢が、伯母であるラティエラ様とご一緒にいたハデス様に一目惚れをされ、婚約を打診し、断られ、と色々あったらしい。
最終的に、お城に滞在(ご令嬢から逃げるためらしい)していたハデス様に媚薬を盛って既成事実を作ろうとして、皇帝陛下の逆鱗にふれた。
結果、義妹の嫁いだ侯爵家の願いもあり、他国の伯爵家に嫁に出すことになった。
本人は嫌だと喚いていたそうだけど、それが嫌なら規律の厳しい修道院か、毒杯だと言われて・・・ラティエラ様の妹様とご主人が無理矢理嫁がされたそうだ。
それが、嫁ぎ先で我儘放題で、まぁそれは最初からあちらにも伝えていてそれを納得の上で嫁にしたのだけど、とうとう看過できない問題を起こして離縁されたらしい。
なんていうか・・・
おそろしく自分勝手な方ね。
「嫁ぎ先で何を?」
「まず、嫁ぎ先が受け入れてくれたのは、その伯爵令息には正妻に出来ない恋人がいたからだ。貴族嫡男が、社交に出れない嫁を迎えるわけにはいかない。そこに陛下が付け込んだ。令嬢との間に第一子を授かったら、恋人と別れる必要はない、と。ただし、正妻として最低限大切にしろ、と。そのことは令嬢にも前もって話してあった。令嬢は、自分の魅力があれば、恋人など捨てるだろうと思っていたらしく・・・」
「まぁ。それで思い通りにならずに?」
「それはそうだろう?元々、恋人のために平民になろうとしていたくらいだ。それでも親や領民のことを思って家を捨てられなかった。政略結婚として妻を迎え、最低限妻を大切にすれば恋人と別れずに済むんだからな」
それが正しいとは言わないけど、貴族世界では良くあること。
正妻として最低限とはいえ大切に扱ってくれるのだから、文句は言えないわ。
嫌なら最初からお断りしておくべきだもの。
そして、三歳年下の妹様がいらっしゃる。
公爵家は二歳年上のお兄様が継がれたそうだけど、そちらの方は何も問題がない。
妹様は大人しい性格の方で、あちらからの申し入れで侯爵家に嫁がれた。
まぁ、そこまでは問題がなかった。
問題は、お相手のご両親が生まれたお子様にとても甘かったということだ。
先にご令嬢、二歳下に嫡男が生まれたそうだけど、嫡男の方は侯爵家を継ぐために侯爵家当主様は厳しく育てられたそうだ。
隠居された元侯爵夫妻は、嫁を気遣い上の娘の面倒を普段から見て下さっていたらしいけど・・・
決して悪意はなく、悪い方達ではなかったのだと皇妃様もおっしゃっていたし、多分本人の資質もあるのだと思うけど、とても我儘なご令嬢に育ったそうだ。
そのご令嬢が、伯母であるラティエラ様とご一緒にいたハデス様に一目惚れをされ、婚約を打診し、断られ、と色々あったらしい。
最終的に、お城に滞在(ご令嬢から逃げるためらしい)していたハデス様に媚薬を盛って既成事実を作ろうとして、皇帝陛下の逆鱗にふれた。
結果、義妹の嫁いだ侯爵家の願いもあり、他国の伯爵家に嫁に出すことになった。
本人は嫌だと喚いていたそうだけど、それが嫌なら規律の厳しい修道院か、毒杯だと言われて・・・ラティエラ様の妹様とご主人が無理矢理嫁がされたそうだ。
それが、嫁ぎ先で我儘放題で、まぁそれは最初からあちらにも伝えていてそれを納得の上で嫁にしたのだけど、とうとう看過できない問題を起こして離縁されたらしい。
なんていうか・・・
おそろしく自分勝手な方ね。
「嫁ぎ先で何を?」
「まず、嫁ぎ先が受け入れてくれたのは、その伯爵令息には正妻に出来ない恋人がいたからだ。貴族嫡男が、社交に出れない嫁を迎えるわけにはいかない。そこに陛下が付け込んだ。令嬢との間に第一子を授かったら、恋人と別れる必要はない、と。ただし、正妻として最低限大切にしろ、と。そのことは令嬢にも前もって話してあった。令嬢は、自分の魅力があれば、恋人など捨てるだろうと思っていたらしく・・・」
「まぁ。それで思い通りにならずに?」
「それはそうだろう?元々、恋人のために平民になろうとしていたくらいだ。それでも親や領民のことを思って家を捨てられなかった。政略結婚として妻を迎え、最低限妻を大切にすれば恋人と別れずに済むんだからな」
それが正しいとは言わないけど、貴族世界では良くあること。
正妻として最低限とはいえ大切に扱ってくれるのだから、文句は言えないわ。
嫌なら最初からお断りしておくべきだもの。
1,586
お気に入りに追加
4,664
あなたにおすすめの小説
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
ゼラニウムの花束をあなたに
ごろごろみかん。
恋愛
リリネリア・ブライシフィックは八歳のあの日に死んだ。死んだこととされたのだ。リリネリアであった彼女はあの絶望を忘れはしない。
じわじわと壊れていったリリネリアはある日、自身の元婚約者だった王太子レジナルド・リームヴと再会した。
レジナルドは少し前に隣国の王女を娶ったと聞く。だけどもうリリネリアには何も関係の無い話だ。何もかもがどうでもいい。リリネリアは何も期待していない。誰にも、何にも。
二人は知らない。
国王夫妻と公爵夫妻が、良かれと思ってしたことがリリネリアを追い詰めたことに。レジナルドを絶望させたことを、彼らは知らない。
彼らが偶然再会したのは運命のいたずらなのか、ただ単純に偶然なのか。だけどリリネリアは何一つ望んでいなかったし、レジナルドは何一つ知らなかった。ただそれだけなのである。
※タイトル変更しました
【完結】愛とは呼ばせない
野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。
二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。
しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。
サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。
二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、
まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。
サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。
しかし、そうはならなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる