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私たちは同じ〜王太子婚約者ルージュ視点〜

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 国王陛下と王妃様に念を押されたけど、わたくしはダニエル様のお気持ちを重いとは思いませんでしたの。

 わたくしとダニエル様は、政略的な関係で婚約を結びました。

 ですから、そのお相手から想われるということは、とても素敵なことだと思いましたわ。

 ダニエル様は、とても素敵なお方です。
王太子としてご立派に振舞われていますし、剣の腕も騎士の方々に負けず劣らず。

 知識も多く、多分ものすごく努力されているのだと思いますわ。

 ですから、わたくしへの気持ちが少々重いくらいなんでもないことだと思っていたのです。

 そう。あの日までは。

 ローゼン王国から留学して来られた伯爵家のご令嬢。

 それがジュエル・リビエラ様でした。

 ピンク色の髪とルビーのような瞳をされた、とても可愛らしい方。

 ローゼン王国の王太子殿下との婚約が解消されたことで、お姉様であるフレグランス様の婚約者、トライデント公爵家を頼って来られたようです。

 わたくしはジュエル様のことを、とても好きになりました。

 彼女は伯爵令嬢ですが、ローゼン王国で王太子妃教育を終えていてとても聡明です。

 かといって傲慢ではなく、むしろ控えめ。ですが、必要なことははっきりと口にするという、素晴らしい方でした。

 王弟殿下のご子息ルイス・ウィングバード様も、ジュエル様のことを気にされているようでしたわ。

 わたくしが、ジュエル様と一緒にいたいと思ったことがいけなかったのでしょうか。

 ダニエル様がジュエル様に、ウィングバード様と婚約して欲しいと言い出しましたの。

 その件に関しては、国王陛下や王妃様、王弟殿下が謝罪され、わたくしやダニエル様も謝罪しましたが・・・

 でも、ダニエル様も・・・それからわたくしも、心の奥底ではジュエル様をこのままマクラーレン王国に留めたいと思っていましたの。

 身勝手だとは思いますが、わたくしが王太子妃そして王妃となった時に、ジュエル様にそばにいていただきたかった。

 ジュエル様ご自身は気付いていらっしゃらないみたいですけど、彼女の価値は高すぎるのです。

 ご本人の資質はもちろん、彼女を取り巻く環境の価値も高い。

 ご実家こそ他国の伯爵家ですが、お姉様の婚約者はマクラーレン王国の公爵家の次男。

 しかも、そのお姉様とお母様は、我が国の多くのご婦人たちの憧れの的で、王妃様や王立学園の学園長を筆頭に親衛隊と呼ばれる方々がいるそうですわ。

 そんなご家族に溺愛されているジュエル様。

 彼女がわたくしのそばでいてくださったら、ダニエル様の治世は安泰。

 きっと、わたくしの醜いこの心が透けて見えてしまったのだと思います。
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