62 / 215
どうしてこんなことに③〜ドロシー視点〜
しおりを挟む
「ただ飯食い!お前の飼い主が決まったぞ!」
娼館の主人だというがっしりした体型のハゲ頭が、今日の夕食の蒸した芋を食べていた私のところへやって来た。
私が、この娼館に連れて来られて一ヶ月が経つ。
怪我が治ってすぐに、ここへ連れて来られた。
逃げてやろうと思ったけど、手の甲に罪人という印、焼印が押されているから逃げ場所なんてない。
貴族でもないのに、ずっと手袋なんかしてたら怪しまれる。
そもそも手袋を買うお金すらない。
本当にあの見た目だけイケメンの王太子、あり得ないわ!
アイツ、わざわざ娼館行きになる私のところへやって来て、言ったのよ。
「君が本当に愚かで良かったよ。リビエラ嬢から君が心から謝罪したら恩赦を与えて欲しいと言われていたからね。いやぁ、期待を裏切らない屑で本当に良かった。君には最高な最後を与えてあげるからね」
ハァ?恩赦?
そもそもあの女のせいで、私は大怪我を負ったしこんな目にあってるんじゃない!
心からの謝罪?そんなのあの女がするべきでしょ!
どれだけ悪態を吐いても、周囲の騎士たちは私に顔すら向けようとしない。
そして連れて来られた娼館。
なんでこんな貧乏くさいとこなのよ!客だって、平民じゃない!
私を買おうとする男はいなかった。
ふん!私は可愛いのよ!アンタたちなんかが触れて良い存在じゃないんだから!
だけどお客が取れないと、満足な食事すら与えてもらえない。
そんなおばさんより、私を買いなさいよ!
そう思うのに!
分からないのか、遠慮してるのか、と思ってそう言ってやったら、主人にため息混じりに言われた。
「お前みたいな可愛げもない上に、若いことしか取り柄のないツルペタを買いたいやつなんかいるか!娼婦ってのはな、お客様を心も体も癒して楽しませるのが仕事なんだ。せめて貴族なら、まだ初物として売れたかもしれないがな。飯が食いたければ、寝床の片付けや洗濯、掃除をしろ!いいな!」
意味わかんない!
なによ!若いしか取り柄がないって!ツルペタって!失礼しちゃう!
でも、さすがに食事抜き(あの鬼畜、本当に食事を出さなかったのよ!)は耐えれなくて、男と交わった後のシーツや、部屋の掃除をして、それでも蒸かし芋とか固い黒パンとかだったけど、食べることができた。
そんな日々が続いたある日、ハゲ頭が言ったのよ。
私の買い手がついたって。
え?買い手?
私、ここから出られるの?
ふん!やっぱりね。
わかる人には私の価値がわかるんだわ!
娼館の主人だというがっしりした体型のハゲ頭が、今日の夕食の蒸した芋を食べていた私のところへやって来た。
私が、この娼館に連れて来られて一ヶ月が経つ。
怪我が治ってすぐに、ここへ連れて来られた。
逃げてやろうと思ったけど、手の甲に罪人という印、焼印が押されているから逃げ場所なんてない。
貴族でもないのに、ずっと手袋なんかしてたら怪しまれる。
そもそも手袋を買うお金すらない。
本当にあの見た目だけイケメンの王太子、あり得ないわ!
アイツ、わざわざ娼館行きになる私のところへやって来て、言ったのよ。
「君が本当に愚かで良かったよ。リビエラ嬢から君が心から謝罪したら恩赦を与えて欲しいと言われていたからね。いやぁ、期待を裏切らない屑で本当に良かった。君には最高な最後を与えてあげるからね」
ハァ?恩赦?
そもそもあの女のせいで、私は大怪我を負ったしこんな目にあってるんじゃない!
心からの謝罪?そんなのあの女がするべきでしょ!
どれだけ悪態を吐いても、周囲の騎士たちは私に顔すら向けようとしない。
そして連れて来られた娼館。
なんでこんな貧乏くさいとこなのよ!客だって、平民じゃない!
私を買おうとする男はいなかった。
ふん!私は可愛いのよ!アンタたちなんかが触れて良い存在じゃないんだから!
だけどお客が取れないと、満足な食事すら与えてもらえない。
そんなおばさんより、私を買いなさいよ!
そう思うのに!
分からないのか、遠慮してるのか、と思ってそう言ってやったら、主人にため息混じりに言われた。
「お前みたいな可愛げもない上に、若いことしか取り柄のないツルペタを買いたいやつなんかいるか!娼婦ってのはな、お客様を心も体も癒して楽しませるのが仕事なんだ。せめて貴族なら、まだ初物として売れたかもしれないがな。飯が食いたければ、寝床の片付けや洗濯、掃除をしろ!いいな!」
意味わかんない!
なによ!若いしか取り柄がないって!ツルペタって!失礼しちゃう!
でも、さすがに食事抜き(あの鬼畜、本当に食事を出さなかったのよ!)は耐えれなくて、男と交わった後のシーツや、部屋の掃除をして、それでも蒸かし芋とか固い黒パンとかだったけど、食べることができた。
そんな日々が続いたある日、ハゲ頭が言ったのよ。
私の買い手がついたって。
え?買い手?
私、ここから出られるの?
ふん!やっぱりね。
わかる人には私の価値がわかるんだわ!
381
お気に入りに追加
4,869
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!
風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。
結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。
レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。
こんな人のどこが良かったのかしら???
家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる