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王太子殿下vsお姉様
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「ふふっ。ふふふっ。うちの可愛い妹は貴方のオモチャじゃなくてよ」
「ええ。そんなことは考えていませんよ。ローゼン王国で王太子妃教育を終えた優秀なご令嬢に、マクラーレン王国の王太子妃の友人として側にいていただきたいだけです」
「「「・・・」」」
どうして私とルイス様の婚約の話なのに、マクラーレン王国ダニエル王太子殿下と私のフレグランスお姉様が火花を散らしているのかしら。
二人とも笑顔なのに恐ろしくて、私もルイス様もルージュ様も口を挟めないのだけど。
そもそも、伯爵家とはいえ貴族家の婚約なんだもの。
お父様の許可なく結ぶことはできないし、ダニエル殿下は、あくまでも王太子殿下。
国王陛下やルイス様のお父様の王弟殿下でもないのだから、ルイス様の婚約の決定権はないはず。
それなのに、どうしてこの状況なのかしら。
私はニコニコと笑顔のままの二人から、戸惑ってどうすれば良いのかわからないという表情の、ルイス様とルージュ様に視線を向けた。
「何だか、お姉様がすみません」
「いや・・・こっちこそダニエルがすまない。そもそもアイツが言い出したことが原因なんだ」
今回のことで、ルイス様から婚約者がいらっしゃらないと教えていただいたけど。
ちょっとびっくりしたわ。
王弟殿下のご子息で、王太子殿下の従兄弟である公爵令息に婚約者がいらっしゃらないなんて。
王位を簒奪するつもりはありませんよアピールらしいけど・・・
あの王太子殿下と、とても優秀でお美しい公爵令嬢なのよ?
そんな心配必要ないと思うのだけど。
もしかしたらルイス様は、公にしたくない恋人がいらっしゃるのかもしれないわ。
だから、婚約者を決められないのかも。
もしそうなら、王太子殿下にこっそり教えてくださればいいのに。
何にしろ、私からは断りづらいのだから。
「あちらでお茶でも飲みましょうか?」
「そうしたいが、ダニエルはルージュ嬢が離れると秒で察知する」
「察知・・・まぁ、でもそれならあの睨み合いは終わるのでは?」
やっぱりダニエル殿下の、ルージュ様への執着が異常過ぎるわ。
ルージュ様がそれで良いのなら、私がとやかく言うことではないけど。
不貞されるよりは、いいかしら。
愛されてることは間違いないものね。
「そう、だが・・・離れようとしたと判断されるとルージュ嬢が監き・・・いや、何でもない」
いや、何でもなくないですよね?
今監禁って言いかけましたよね?
怖っ。
ダニエル殿下、愛が重すぎ。
そんな私とルイス様の会話を聞いていたルージュ様が、にっこりと微笑まれた。
「なら、簡単ですわ。ダニエル様、わたくし喉が渇いてしまいましたわ」
「ええ。そんなことは考えていませんよ。ローゼン王国で王太子妃教育を終えた優秀なご令嬢に、マクラーレン王国の王太子妃の友人として側にいていただきたいだけです」
「「「・・・」」」
どうして私とルイス様の婚約の話なのに、マクラーレン王国ダニエル王太子殿下と私のフレグランスお姉様が火花を散らしているのかしら。
二人とも笑顔なのに恐ろしくて、私もルイス様もルージュ様も口を挟めないのだけど。
そもそも、伯爵家とはいえ貴族家の婚約なんだもの。
お父様の許可なく結ぶことはできないし、ダニエル殿下は、あくまでも王太子殿下。
国王陛下やルイス様のお父様の王弟殿下でもないのだから、ルイス様の婚約の決定権はないはず。
それなのに、どうしてこの状況なのかしら。
私はニコニコと笑顔のままの二人から、戸惑ってどうすれば良いのかわからないという表情の、ルイス様とルージュ様に視線を向けた。
「何だか、お姉様がすみません」
「いや・・・こっちこそダニエルがすまない。そもそもアイツが言い出したことが原因なんだ」
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ちょっとびっくりしたわ。
王弟殿下のご子息で、王太子殿下の従兄弟である公爵令息に婚約者がいらっしゃらないなんて。
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あの王太子殿下と、とても優秀でお美しい公爵令嬢なのよ?
そんな心配必要ないと思うのだけど。
もしかしたらルイス様は、公にしたくない恋人がいらっしゃるのかもしれないわ。
だから、婚約者を決められないのかも。
もしそうなら、王太子殿下にこっそり教えてくださればいいのに。
何にしろ、私からは断りづらいのだから。
「あちらでお茶でも飲みましょうか?」
「そうしたいが、ダニエルはルージュ嬢が離れると秒で察知する」
「察知・・・まぁ、でもそれならあの睨み合いは終わるのでは?」
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怖っ。
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そんな私とルイス様の会話を聞いていたルージュ様が、にっこりと微笑まれた。
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