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愛しい婚約者《ソル視点》

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 ルーナ嬢が頷いてくれたのを見て、ホッと息を吐いた。

 イザヴェリ公爵から、ルーナ嬢がモーリス王国の王太子との婚約を避けるために、ガラティア王国に留学するのだと聞いて、どうしても婚約者になりたいと思った。

 アルビナから、月の精霊王の愛し子であるルーナ嬢が、モーリス王国王太子に処刑され、それを助けるために時を巻き戻すのだと聞いた。

 太陽の精霊王と月の精霊王は、お互いの力を合わせることで、時の巻き戻しができるそうだ。

 それは、精霊王たちに力を注いで、人として転生した神たちが持っていた力なのだろう。

 アルビナもシンも、僕とルーナ嬢のことを何よりも大切に思ってくれている。

 だから、僕にも力を貸して欲しいと言われた時、快く引き受けた。

 アルビナの対である、月の精霊王シンの愛し子。彼女を救いたいと思った。

 そして、時の巻き戻しが成功して、僕は11歳に戻っていた。
 どうやら、愛し子は巻き戻る前の記憶が消えないらしい。

 父上に頼んで、イザヴェリ公爵令嬢の絵姿を手に入れてもらった。
 彼女に会いたいと思った。
僕にはまだ婚約者はいなかったから、父上は何も言わずに絵姿を手に入れてくれた。

 その絵姿を見てー
僕は恋に落ちた。

 煌めく銀の髪と瞳。妖精のような彼女のことが頭から離れなくなった。

 だけど、彼女はモーリス王国の公爵令嬢だ。いきなりガラティア王国から婚約を申し込んでも、イザヴェリ公爵に受け入れてもらえるだろうか?

 そんな時に父上から、イザヴェリ公爵令嬢がガラティア王国に留学してくると教えていただいた。

 モーリス王国は、13歳になると学園に入学するそうだ。

 ルーナ嬢は11歳の年にモーリス王国の王太子と婚約し、13歳の年から学園に通っていた。
 そして婚約者である王太子は、15歳の卒業パーティーで、ルーナ嬢を処刑したとアルビナから聞いた。

 彼女は、王族から婚約の申し込みが来る前に、ガラティアに留学することにしたようだ。

 どうやら、それでもモーリス王国の国王陛下は諦めてないらしく、2年で留学を取りやめてモーリス王国の学園に入学する様に条件をつけたようだ。

 それはそうだろう。
魔力持ちがいれば、国は栄えると伝承がある。
 実際、先先代の王女がモーリス王国に嫁いだ時、モーリス王国は豊穣の年だった。

 だから、モーリス王国としては絶対にルーナ嬢を手放したくはないだろう。
 それに、王太子と婚姻させれば、魔力持ちの子供が生まれる可能性もある。

 それならば。
それなら、僕と婚約すればモーリス王国からの婚約は避けられる。

 僕は、彼女が生き残る道を選びたい。そして、彼女と共にありたい。
 だから、父上に彼女との婚約を願い出た。

 父上は、彼女の父親であるイザヴェリ公爵からも、その申し出があることを教えてくれた。
 ただし、ルーナ嬢が望んだらという条件付きだった。
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