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1度目の断罪

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「ルーナ・イザヴェリ!私の大切なエリアナを傷つけたことは明白だっ!この悪女めっ!!」

 モーリス王国の王立学園の卒業パーティー。その会場のど真ん中で、私に対して怒鳴っているのは、フィリップ・モーリス王太子殿下。この国の王太子殿下であり、私の婚約者様です。

 金髪碧眼のフィリップ様は、真っ白な衣装に、ピンクのリボンを付けていました。碧いドレスに金色のリボンをつけた、男爵令嬢を抱き寄せながら。

 私とフィリップ様が婚約したのは、私たちが10歳の時です。
 モーリス王国では、王族に嫁げるのは公爵家か侯爵家の、純潔の乙女と限られています。

 王家からの婚約の打診に、臣下である公爵家が従うのは当然です。
 貴族の結婚とは、家と家の契約です。
政略結婚は当たり前のことなのです。

 それから5年ー
私なりにフィリップ様に歩み寄ってきたつもりでした。

 厳しい王太子妃教育の合間をぬって、フィリップ様との時間を取るようにしてきました。

 それでも学園に入学すると、学業の上に王妃教育が始まり、フィリップ様とお会いする時間を取ることも難しくなってきたのです。

 いえ。王妃教育は王宮で行われますから、その際に王妃様がお茶会を開いて下さり、フィリップ様をお呼びして下さいました。
 最初の頃はおいでになって下さっていたフィリップ様ですが、いつの間にか公務がお忙しいからとおいでになられなくなりました。

 学園では、私とフィリップ様のクラスは別で、お昼休みなどもフィリップ様はご友人とお取りになり、私とご一緒して下さっていたのは最初の1年くらいです。

 私たちが2年になった年、1人の男爵令嬢が学園に入学してきました。
 エリアナ・ブランコ男爵令嬢。
ピンク色の髪と瞳の、小柄でとても愛らしい容姿のご令嬢です。

 そのご令嬢とフィリップ様が懇意にしているという噂を耳にするようになり、私自身も何度かその場面を見ることがありました。

 ですが、私がフィリップ様をお諌めすることはありませんでした。

 以前、少々素行のよろしくないご子息と親しくされていた時にお諌めしたら、激昂されたのです。

 友人関係に口を出すな、と。王太子妃気取りをするなと言われました。

 その結果がー
目の前のこれです。私が一体何をしたというのでしょうか。

 辛い王太子妃教育も王妃教育も、いずれはフィリップ様の隣に立つためにと我慢して頑張って来たのに。

 好きとかそういう恋愛関係ではなかったけれど、それでもフィリップ様とお互い支え合って生きていきたいと思っていたのに。

 私は、卒業パーティーのドレス姿のまま、フィリップ様の取り巻きの子息たちに引きずられて、断頭台へと連れて来られました。

 おそらく、国王陛下やお父様たちに知られる前に、私を断罪してしまいたいのでしょう。

「首を刎ねろ」

 最後に聞こえたのは、フィリップ様の冷たい声でしたー

 









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