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第二十九話 練習の日々
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翌日から、私はさっそく今までの練習や勉強、ウィルフレッド様を毎日治療するのに加えて、ラピア様から貰った道具を使って練習を始めた。
言われた通りに水晶に魔力を流し続け、もう一つの方では一定に保つ練習を続けるが、やはりすぐには上達はしなかった。
しかも、ラピア様が仕込んだ罰とかいうもののせいで、ちょっとでも油断すると水晶が私のおでこに飛んでくるから、全く油断できない。
本当にこれ、別のことに出来なかったのかしら。凄く痛いし、衝撃で頭がクラクラするわ……。
「エレナお姉ちゃん……大丈夫? おでこ、真っ赤になってるよ?」
「毎日毎日たんこぶを作っていて……心配です」
「大丈夫よルナちゃん、シーちゃん。お姉ちゃん、これでもとっても強いんだから」
練習を始めてから一ヶ月が経ったある日。私の練習を見学しにきたルナちゃんとシーちゃんが、私のおでこを見ながら心配してくれた。
私は別に強くなんてないけど、二人を安心させるためだから、大目に見てほしい。
「……そうだ! ちょっと待ってて!」
「……? ええ」
ルナちゃんは両手で花の形を作ると、水色の魔法陣を作りだす。すると、ルナちゃんの手の中には、掌サイズの氷塊ができていた。
「これをこうして……これで痛くなくなるよ」
氷塊を自分のハンカチで包み込んだルナちゃんは、私のおでこにあててくれた。たんこぶになっている所がひんやりとして、気持ちいいし痛みも引いていく気がするわ。
「ありがとう。ルナちゃんのおかげで、お姉ちゃんもっと頑張れそうよ」
「う~……お兄様のために頑張ってくれるのは嬉しいんだよ。でも……エレナお姉ちゃんが痛いのは、悲しい……」
「ルナちゃん……」
ポロポロと涙を流すルナちゃんを、そっと抱きしめてあげた。
あの兄あってこの妹ありと言うべきかしら。二人共、本当にとても優しいわ。こんな優しい子に、これ以上心配をかけるのは、可哀想よね。
「心配をかけてごめんね。今日はもうしないから、一緒に本でも読みましょう」
「……本……そっか……ううん、今日はいい!」
「えっ?」
「バイバイ!」
私の腕の中で泣いていたはずのルナちゃんは、突然元気になったと思ったら、シーちゃんを置いて部屋を出て行ってしまった。
いつもなら、本を読んであげると提案すると、大喜びで読んでほしい本を持ってくるというのに……。
「えっと……?」
「も、申し訳ありません……私もご主人様が何をお考えなのか、わからないです……」
置いてかれたシーちゃんが困惑しているのを見るに、突拍子もない行動だったのだろう。
本当にどうしたのだろうか。私の前では強がっていただけで、どこかで悲しくて泣いていないか心配だわ。
「ご主人様のことは……お任せください。エレナ様は、どうぞ練習の続きをされてください」
「わかったわ。ルナちゃんのこと、お願いね」
本当は一緒に行きたかった。でも、日頃からずっと一緒にいるシーちゃんが任せてくれというなら、そうした方がきっといいだろう。そう思った私は、探したい気持ちをグッと堪えて、シーちゃんを見送った。
さて、せっかく練習の機会を与えてくれたんだから、もっと練習をして上達しなきゃ。そうすれば、ルナちゃんに痛いところを見せなくて済むのにも繋がるしね。
「よし、集中っ!」
水晶を両手で持ち、魔力を流すと、中の液体が波打ち始める。
これ、ただ魔力を流し続けるだけだけど、何度もやり続けていると本当に疲れてくる。本当に集中していないと、またおでこに突撃してくるわ。
「……もっともっと集中……」
自分に言い聞かせながら、深く深呼吸をする。
周りを気にせず、水晶に魔力を流すことに集中をするの。ウィルフレッド様を治したいという想いを魔力に変えて……。
うん、良い感じだわ。最初の頃に比べて、少しは維持できる時間が増えてきている気がする。この調子なら、もしかしたら最後まで出来るかも?
「エレナ殿、いらっしゃいますか?」
「あっ、ウィルフレッドさ――ふぎゃあ!?」
良い感じと思った矢先、扉のノックの音と共と、ウィルフレッド様の声が聞こえてきた。それに気を取られてしまった私に、水晶が容赦なく襲い掛かってきた。
「エレナ殿!? どうかされましたか!?」
バンッ! と勢いよく開いたドアの前には、焦りの表情を浮かべるウィルフレッド様と使用人の姿があった。
一方の私はというと……おでこを抑えながら、痛みのせいで体を丸めていた。
「だ、大丈夫です……例の水晶が……」
「ああ、練習中だったのですね……集中力を削いでしまい、申し訳ない」
ウィルフレッド様と使用人は何も悪くないのに、揃って頭を下げられてしまうと、むしろこちらの方が申し訳なくなってしまう。
「エレナ殿、最近たくさん練習をされているようですが、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です」
「あまり根を詰めすぎないでくださいね」
「もう、それをウィルフレッド様が言いますか? あなただって、毎朝必ず鍛錬をしてるじゃないですか」
「ははっ、何の話かさっぱりですね」
ジトッとした目で見つめると、あまりにもわかりやすい惚け方をするウィルフレッド様。
一応、私や使用人達が、邪魔にならないように見守っているから、大事に至ることは無いと思うけど、忙しいのに鍛錬までしていて、体を壊さないか心配だわ。
「ところで、どうかされたのですか? 最近お仕事が忙しいんですよね?」
「ええ、仰る通り。この後もまだ片付けなくてはいけない仕事が山盛りですよ」
ラピア様の元に行った日から今日まで、ウィルフレッド様は忙しなく働いているのを、私は知っているわ。
本人は関係ないと言っていたけど、私と一緒にラピア様の所に行ったから、仕事が溜まってしまったんじゃないかと、密かに思っている。
「そんな忙しいのに、わざわざ会いに来てくれたんですか?」
「それもありますが、要件がございまして」
「なんでしょうか?」
「一週間後の夜、予定を空けておいてくれませんか?」
……珍しいわね。急にどうしたのだろう? どこかに出かけるなら、夜よりも昼間の方が良いと思うのだけど。
「えっと、急にどうしてですか?」
「理由は当日までの秘密です」
ウィルフレッド様が隠しごとをするなんて、ますます珍しい。
でも、せっかくのお誘いを断るのは申し訳ないし、私もウィルフレッド様と一緒に出掛けたい。
「わかりました」
「ありがとうございます。では来週の時間を空けるために仕事をしなければいけないでので、失礼します」
「あ……はい」
本当はもっと話したかったけれど、呼び止める間もなく部屋を去っていってしまった。
残念だけど、来週は一緒にいられるんだから良しとしよう。今私がするべきことは、もっと練習を重ねて、上達することだ。
「さあ、練習を再開しましょう……いったぁ~い!!」
再開して早々に、失敗して水晶にお仕置きをされる。
ま、負けないんだから……絶対にウィルフレッド様を治せるくらいの聖女になってみせるんだから!
言われた通りに水晶に魔力を流し続け、もう一つの方では一定に保つ練習を続けるが、やはりすぐには上達はしなかった。
しかも、ラピア様が仕込んだ罰とかいうもののせいで、ちょっとでも油断すると水晶が私のおでこに飛んでくるから、全く油断できない。
本当にこれ、別のことに出来なかったのかしら。凄く痛いし、衝撃で頭がクラクラするわ……。
「エレナお姉ちゃん……大丈夫? おでこ、真っ赤になってるよ?」
「毎日毎日たんこぶを作っていて……心配です」
「大丈夫よルナちゃん、シーちゃん。お姉ちゃん、これでもとっても強いんだから」
練習を始めてから一ヶ月が経ったある日。私の練習を見学しにきたルナちゃんとシーちゃんが、私のおでこを見ながら心配してくれた。
私は別に強くなんてないけど、二人を安心させるためだから、大目に見てほしい。
「……そうだ! ちょっと待ってて!」
「……? ええ」
ルナちゃんは両手で花の形を作ると、水色の魔法陣を作りだす。すると、ルナちゃんの手の中には、掌サイズの氷塊ができていた。
「これをこうして……これで痛くなくなるよ」
氷塊を自分のハンカチで包み込んだルナちゃんは、私のおでこにあててくれた。たんこぶになっている所がひんやりとして、気持ちいいし痛みも引いていく気がするわ。
「ありがとう。ルナちゃんのおかげで、お姉ちゃんもっと頑張れそうよ」
「う~……お兄様のために頑張ってくれるのは嬉しいんだよ。でも……エレナお姉ちゃんが痛いのは、悲しい……」
「ルナちゃん……」
ポロポロと涙を流すルナちゃんを、そっと抱きしめてあげた。
あの兄あってこの妹ありと言うべきかしら。二人共、本当にとても優しいわ。こんな優しい子に、これ以上心配をかけるのは、可哀想よね。
「心配をかけてごめんね。今日はもうしないから、一緒に本でも読みましょう」
「……本……そっか……ううん、今日はいい!」
「えっ?」
「バイバイ!」
私の腕の中で泣いていたはずのルナちゃんは、突然元気になったと思ったら、シーちゃんを置いて部屋を出て行ってしまった。
いつもなら、本を読んであげると提案すると、大喜びで読んでほしい本を持ってくるというのに……。
「えっと……?」
「も、申し訳ありません……私もご主人様が何をお考えなのか、わからないです……」
置いてかれたシーちゃんが困惑しているのを見るに、突拍子もない行動だったのだろう。
本当にどうしたのだろうか。私の前では強がっていただけで、どこかで悲しくて泣いていないか心配だわ。
「ご主人様のことは……お任せください。エレナ様は、どうぞ練習の続きをされてください」
「わかったわ。ルナちゃんのこと、お願いね」
本当は一緒に行きたかった。でも、日頃からずっと一緒にいるシーちゃんが任せてくれというなら、そうした方がきっといいだろう。そう思った私は、探したい気持ちをグッと堪えて、シーちゃんを見送った。
さて、せっかく練習の機会を与えてくれたんだから、もっと練習をして上達しなきゃ。そうすれば、ルナちゃんに痛いところを見せなくて済むのにも繋がるしね。
「よし、集中っ!」
水晶を両手で持ち、魔力を流すと、中の液体が波打ち始める。
これ、ただ魔力を流し続けるだけだけど、何度もやり続けていると本当に疲れてくる。本当に集中していないと、またおでこに突撃してくるわ。
「……もっともっと集中……」
自分に言い聞かせながら、深く深呼吸をする。
周りを気にせず、水晶に魔力を流すことに集中をするの。ウィルフレッド様を治したいという想いを魔力に変えて……。
うん、良い感じだわ。最初の頃に比べて、少しは維持できる時間が増えてきている気がする。この調子なら、もしかしたら最後まで出来るかも?
「エレナ殿、いらっしゃいますか?」
「あっ、ウィルフレッドさ――ふぎゃあ!?」
良い感じと思った矢先、扉のノックの音と共と、ウィルフレッド様の声が聞こえてきた。それに気を取られてしまった私に、水晶が容赦なく襲い掛かってきた。
「エレナ殿!? どうかされましたか!?」
バンッ! と勢いよく開いたドアの前には、焦りの表情を浮かべるウィルフレッド様と使用人の姿があった。
一方の私はというと……おでこを抑えながら、痛みのせいで体を丸めていた。
「だ、大丈夫です……例の水晶が……」
「ああ、練習中だったのですね……集中力を削いでしまい、申し訳ない」
ウィルフレッド様と使用人は何も悪くないのに、揃って頭を下げられてしまうと、むしろこちらの方が申し訳なくなってしまう。
「エレナ殿、最近たくさん練習をされているようですが、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です」
「あまり根を詰めすぎないでくださいね」
「もう、それをウィルフレッド様が言いますか? あなただって、毎朝必ず鍛錬をしてるじゃないですか」
「ははっ、何の話かさっぱりですね」
ジトッとした目で見つめると、あまりにもわかりやすい惚け方をするウィルフレッド様。
一応、私や使用人達が、邪魔にならないように見守っているから、大事に至ることは無いと思うけど、忙しいのに鍛錬までしていて、体を壊さないか心配だわ。
「ところで、どうかされたのですか? 最近お仕事が忙しいんですよね?」
「ええ、仰る通り。この後もまだ片付けなくてはいけない仕事が山盛りですよ」
ラピア様の元に行った日から今日まで、ウィルフレッド様は忙しなく働いているのを、私は知っているわ。
本人は関係ないと言っていたけど、私と一緒にラピア様の所に行ったから、仕事が溜まってしまったんじゃないかと、密かに思っている。
「そんな忙しいのに、わざわざ会いに来てくれたんですか?」
「それもありますが、要件がございまして」
「なんでしょうか?」
「一週間後の夜、予定を空けておいてくれませんか?」
……珍しいわね。急にどうしたのだろう? どこかに出かけるなら、夜よりも昼間の方が良いと思うのだけど。
「えっと、急にどうしてですか?」
「理由は当日までの秘密です」
ウィルフレッド様が隠しごとをするなんて、ますます珍しい。
でも、せっかくのお誘いを断るのは申し訳ないし、私もウィルフレッド様と一緒に出掛けたい。
「わかりました」
「ありがとうございます。では来週の時間を空けるために仕事をしなければいけないでので、失礼します」
「あ……はい」
本当はもっと話したかったけれど、呼び止める間もなく部屋を去っていってしまった。
残念だけど、来週は一緒にいられるんだから良しとしよう。今私がするべきことは、もっと練習を重ねて、上達することだ。
「さあ、練習を再開しましょう……いったぁ~い!!」
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