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第四十三話 大至急の連絡
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突然叩かれたコレットや、すぐ近くで見ていたお義母様だけではなく、一部始終を見ていた貴族達も、シーンと静まり返った。
いきなりビンタをされている場面に出くわしたら、こうなるのも無理はない。
こちらとしては都合がいいから、今のうちにコレットとお義理母に、話したいことを話しておこう
「ブラハルト様のことを知りもしないで、勝手なことを言わないで頂戴。あのお方は、私を悪評に巻き込まないように、最初に愛さないと仰ったのに、今日までずっと私のことを大切にしてくれた、不器用だけど優しいお方ですの。家と領地、そしてそこに住む民のために、寝る時間も惜しんで仕事に励む、素晴らしいお方なんですの」
直前に、公衆の面前で頬を叩いた人間とは思えないくらい、冷静にブラハルト様のことを伝え続ける。
「それに比べて、コレットもお義母様も……いえ、くだらない噂でブラハルト様を傷つけ続ける周りの方々も、何様のつもりですの?」
「親が心配しているというのに、なんて口の利き方ですの!?」
「あ、あたしもお母様も、エルミーユお姉様のことが心配なんだよ!」
「黙りなさい。それ以上綺麗事を並べるようなら、あのことを話してもよろしくてよ」
あのこととは、私やお母様へ行った仕打ちや、私の出生の真実についてだ。
私は生まれた時から、全ての記憶を持っているから、大々的に告発しようと思えば、いつだってできる。
それをしなかったのは、家にいる時はどんな罰を与えられるかわからなかったし、嫁いでからは、報復を恐れて告発しなかった。そもそも、告発しても信じてもらえるかもわからない。
だから、ここで本当の私のことを言うつもりはない。
お義母様もコレットも、それはわかっているだろうけど、絶対に私が言わないと言い切れないせいか、少し気まずそうに視線を逸らしつつ、小さく舌打ちをしていた。
「これ以上、根も葉もない噂で大切な夫を傷つけるようでしたら、私が許しませんから、そのおつもりで」
堂々と言い切った私は、呆気に取られて静まり返る会場を後にして、休憩場として指定されている中庭へとやってきた。
そして、周りにマリーヌ以外にいないことを確認してから、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「エルミーユ様、大丈夫ですか?」
「ええ。はぁ……またやってしまいました。最初は、ブラハルト様に止められたから、なんとか抑えられましたけど、あそこまで言われたら、我慢できませんでした……」
「きっと坊ちゃまは許してくれますよ。ただ、エルミーユ様の身を案じて、注意はするかもしれませんが」
「そうかもしれませんが……」
優しいブラハルト様なら、きっとそうなのだろうけど、だからといって、その優しさにずっと甘えていては、なにも変わらない。
だから私は、怒りの制御すら出来ない自分への罰として、自分の頬を思い切り叩いた。
「え、エルミーユ様!? なにをしてるんですか!?」
「お気になさらず」
「気にするなって……ああもう、頬が真っ赤じゃありませんか!」
「これくらい、放っておけば治りますわ」
叩いた頬が、ジンジンと痛むけど、この程度の痛みなんてどうってことはない。
実家にいる時は、これ以上の痛みなんて日常茶飯事だったもの。
「あまり心配をかけないでください……そうだ、前から思っていたことなんですが、あそこまで言われて、どうして過去のことを話さないのですか? 坊ちゃまが、エルミーユ様の過去を、自分から詮索しないという契約を交わしたのは知ってますけど、自分から言うのは禁止されてませんよね?」
「そうですけど、報復としてブラハルト様やアルスター家、マリーヌをはじめとした使用人、領地や領民……どこになにをするか、わかったものじゃありませんもの」
家のことや自分のことを第一に考えるお父様ならまだしも、厄介なのはお義母様とコレットだ。
二人共、表向きは猫を被っているから評判はいいけど、お義母様は自分の思い通りにならないとヒステリックを起こすし、コレットも喚き散らす性格だ。
そんな二人が、揃って思い通りにならなくて報復をしようとしたら……考えたくもないわ。
「少し休んだら、会場にこっそり戻りましょうか。突然いなくなったら、ブラハルト様が戻ってきた時に心配されるでしょうしね」
「ええ、そうです……ね……うっ……」
「マリーヌ、どうかしましたか?」
「なんだか、お腹の調子が良くないようでして……」
つい先程までは普通にしていたのに、急にお腹を押さえたと思ったら、顔も真っ青になっていた。お腹も、ゴロゴロと低い音が鳴っている。
「すみません、エルミーユ様。少々お花を摘みに行ってきます……」
「わかりましたわ。ここで休憩がてら待っていますので、ゆっくり行ってきてください」
「は、はい……」
マリーヌは短く答えると、若干怪しい足取りでその場を後にした。
あの様子だと、随分と痛みは深刻そうな感じだったわね……大丈夫かしら……もし何かの病気とかだったら、どうしましょう……。
「変なことを考えても仕方ないですわね」
ブンブンと頭を横に振って、悪い考えを払拭した私は、中庭にあった噴水の近くに置かれたベンチに腰を降ろし、ふぅ……と小さく溜息をした。
「……どうして、皆様はブラハルト様のことを悪く仰るのだろう……確かにブラハルト様は、社交界に出席してある時は、表情に乏しいから、少々恐ろしく見えるのは理解できますが……」
それにしたって、ブラハルト様の陰口は、なんというか……悪意があるように感じる。
陰口なのだから、悪意があるのは当然と言えば当然だけど……言葉では上手く言い表せないけど、とにかく嫌なものを感じる。
ただ単に、ブラハルト様を愛しているから、過剰にそう思うだけかもしれないけど。
「あ、あなたがエルミーユ様ですね!!」
「……? はい、そうでございますが」
ブラハルト様のことを考えていると、一人の若い男性が息を切らせながら走ってきた。身なりからして、どこかの家の使用人だろう。
「はぁ……ぜぇ……ごほっごほっ……」
「大丈夫ですか? 焦らなくても結構ですから、まずは深呼吸をして、息を整えてくださいませ」
彼は、私の提案に素直に従い、その場で何度か深呼吸をする。
そのおかげか、ここに来た時よりかは、幾分か顔色が良くなり、呼吸も整った。
「ふぅ……ふぅ……だ、大至急のご連絡がありまして……!」
「至急ですか? 一体どなたからでしょう? それと、あなたは?」
「申し遅れました……私はアセット家の使用人でございます! 本日は屋敷の方で業務があったのですが、そこでブラハルト伯爵がお声をかけてきて、エルミーユ様を急いで呼んできてくれとのことです!」
「ブラハルト様が?」
会場にいないのは知っていたけど、アセット家の屋敷の方に行っていたのね。
どうしてそんな所に行ってるのかとか、大至急の連絡とはなんなのかとか、色々聞きたいことはあるけど……とにかく早く行かないと!
「そこに案内してもらってもよろしいかしら?」
「もちろんです。ささ、こちらです!」
私は彼の案内の元、パーティー会場から少し離れたところにある、アセット家の屋敷の中へと通され、とある部屋の前へと連れてこられた。
「ここです! ブラハルト伯爵が、この部屋の前で血相変えて、急いで呼んできてくれと叫んでおりました!」
「わかりました。案内していただき、誠にありがとう存じます。入ってもよろしいかしら?」
「もちろんです!」
何があったかはわからないけど、ブラハルト様が私を呼んでいるというのなら、急がなくちゃ。
そう思い、勢いよく部屋の扉を開けると、そこには何の変哲もない、生活感が溢れる部屋が広がっていた。
「ブラハルト様……?」
誰かの私室と言われても、何の違和感もない部屋の中には、ブラハルト様の姿は無い。
それどころか、部屋の中には人っ子一人いなかった。
おかしい、彼はここにブラハルト様がいると言っていたのに……もしかして、急ぎ過ぎて部屋を間違えたとか?
「あの、ブラハルト様はどこに――」
振り返るとほぼ同時に、部屋の扉はバタンッという音と共に閉められた。
急いで開けようとしても、外からカギがかけられたのか、いくらドアノブを動かしても、体当たりをしても、扉は開かなかった。
「もしかして、閉じ込められた……? どうして……んうっ!?」
扉を見ながら、自分の置かれている状況に困惑していると、突然背後からやってきた何かに、口元を覆われた。
それに驚いてしまった私は、その場で暴れまわると、何か柔らかいものを強く踏んだ。
そのおかげで、なんとか謎の奇襲からは逃げられたけど、同時にとても強い眠気に襲われた。
一体何が……い、意識が保っていられない……とにかく、ここから逃げなきゃ……いけないのに……立っていられない……。
「うっ……に、げ……」
「ちっ、あの野郎。薬の配合を間違えたのか?」
「あな……た……だ、れ……?」
薄れゆく意識の中、反射的に声のした方に向くと、そこには一人の男性が立っていた。
この人、どこかで……駄目だ、頭がボーっとして……視界も、どんどん暗く……。
いきなりビンタをされている場面に出くわしたら、こうなるのも無理はない。
こちらとしては都合がいいから、今のうちにコレットとお義理母に、話したいことを話しておこう
「ブラハルト様のことを知りもしないで、勝手なことを言わないで頂戴。あのお方は、私を悪評に巻き込まないように、最初に愛さないと仰ったのに、今日までずっと私のことを大切にしてくれた、不器用だけど優しいお方ですの。家と領地、そしてそこに住む民のために、寝る時間も惜しんで仕事に励む、素晴らしいお方なんですの」
直前に、公衆の面前で頬を叩いた人間とは思えないくらい、冷静にブラハルト様のことを伝え続ける。
「それに比べて、コレットもお義母様も……いえ、くだらない噂でブラハルト様を傷つけ続ける周りの方々も、何様のつもりですの?」
「親が心配しているというのに、なんて口の利き方ですの!?」
「あ、あたしもお母様も、エルミーユお姉様のことが心配なんだよ!」
「黙りなさい。それ以上綺麗事を並べるようなら、あのことを話してもよろしくてよ」
あのこととは、私やお母様へ行った仕打ちや、私の出生の真実についてだ。
私は生まれた時から、全ての記憶を持っているから、大々的に告発しようと思えば、いつだってできる。
それをしなかったのは、家にいる時はどんな罰を与えられるかわからなかったし、嫁いでからは、報復を恐れて告発しなかった。そもそも、告発しても信じてもらえるかもわからない。
だから、ここで本当の私のことを言うつもりはない。
お義母様もコレットも、それはわかっているだろうけど、絶対に私が言わないと言い切れないせいか、少し気まずそうに視線を逸らしつつ、小さく舌打ちをしていた。
「これ以上、根も葉もない噂で大切な夫を傷つけるようでしたら、私が許しませんから、そのおつもりで」
堂々と言い切った私は、呆気に取られて静まり返る会場を後にして、休憩場として指定されている中庭へとやってきた。
そして、周りにマリーヌ以外にいないことを確認してから、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「エルミーユ様、大丈夫ですか?」
「ええ。はぁ……またやってしまいました。最初は、ブラハルト様に止められたから、なんとか抑えられましたけど、あそこまで言われたら、我慢できませんでした……」
「きっと坊ちゃまは許してくれますよ。ただ、エルミーユ様の身を案じて、注意はするかもしれませんが」
「そうかもしれませんが……」
優しいブラハルト様なら、きっとそうなのだろうけど、だからといって、その優しさにずっと甘えていては、なにも変わらない。
だから私は、怒りの制御すら出来ない自分への罰として、自分の頬を思い切り叩いた。
「え、エルミーユ様!? なにをしてるんですか!?」
「お気になさらず」
「気にするなって……ああもう、頬が真っ赤じゃありませんか!」
「これくらい、放っておけば治りますわ」
叩いた頬が、ジンジンと痛むけど、この程度の痛みなんてどうってことはない。
実家にいる時は、これ以上の痛みなんて日常茶飯事だったもの。
「あまり心配をかけないでください……そうだ、前から思っていたことなんですが、あそこまで言われて、どうして過去のことを話さないのですか? 坊ちゃまが、エルミーユ様の過去を、自分から詮索しないという契約を交わしたのは知ってますけど、自分から言うのは禁止されてませんよね?」
「そうですけど、報復としてブラハルト様やアルスター家、マリーヌをはじめとした使用人、領地や領民……どこになにをするか、わかったものじゃありませんもの」
家のことや自分のことを第一に考えるお父様ならまだしも、厄介なのはお義母様とコレットだ。
二人共、表向きは猫を被っているから評判はいいけど、お義母様は自分の思い通りにならないとヒステリックを起こすし、コレットも喚き散らす性格だ。
そんな二人が、揃って思い通りにならなくて報復をしようとしたら……考えたくもないわ。
「少し休んだら、会場にこっそり戻りましょうか。突然いなくなったら、ブラハルト様が戻ってきた時に心配されるでしょうしね」
「ええ、そうです……ね……うっ……」
「マリーヌ、どうかしましたか?」
「なんだか、お腹の調子が良くないようでして……」
つい先程までは普通にしていたのに、急にお腹を押さえたと思ったら、顔も真っ青になっていた。お腹も、ゴロゴロと低い音が鳴っている。
「すみません、エルミーユ様。少々お花を摘みに行ってきます……」
「わかりましたわ。ここで休憩がてら待っていますので、ゆっくり行ってきてください」
「は、はい……」
マリーヌは短く答えると、若干怪しい足取りでその場を後にした。
あの様子だと、随分と痛みは深刻そうな感じだったわね……大丈夫かしら……もし何かの病気とかだったら、どうしましょう……。
「変なことを考えても仕方ないですわね」
ブンブンと頭を横に振って、悪い考えを払拭した私は、中庭にあった噴水の近くに置かれたベンチに腰を降ろし、ふぅ……と小さく溜息をした。
「……どうして、皆様はブラハルト様のことを悪く仰るのだろう……確かにブラハルト様は、社交界に出席してある時は、表情に乏しいから、少々恐ろしく見えるのは理解できますが……」
それにしたって、ブラハルト様の陰口は、なんというか……悪意があるように感じる。
陰口なのだから、悪意があるのは当然と言えば当然だけど……言葉では上手く言い表せないけど、とにかく嫌なものを感じる。
ただ単に、ブラハルト様を愛しているから、過剰にそう思うだけかもしれないけど。
「あ、あなたがエルミーユ様ですね!!」
「……? はい、そうでございますが」
ブラハルト様のことを考えていると、一人の若い男性が息を切らせながら走ってきた。身なりからして、どこかの家の使用人だろう。
「はぁ……ぜぇ……ごほっごほっ……」
「大丈夫ですか? 焦らなくても結構ですから、まずは深呼吸をして、息を整えてくださいませ」
彼は、私の提案に素直に従い、その場で何度か深呼吸をする。
そのおかげか、ここに来た時よりかは、幾分か顔色が良くなり、呼吸も整った。
「ふぅ……ふぅ……だ、大至急のご連絡がありまして……!」
「至急ですか? 一体どなたからでしょう? それと、あなたは?」
「申し遅れました……私はアセット家の使用人でございます! 本日は屋敷の方で業務があったのですが、そこでブラハルト伯爵がお声をかけてきて、エルミーユ様を急いで呼んできてくれとのことです!」
「ブラハルト様が?」
会場にいないのは知っていたけど、アセット家の屋敷の方に行っていたのね。
どうしてそんな所に行ってるのかとか、大至急の連絡とはなんなのかとか、色々聞きたいことはあるけど……とにかく早く行かないと!
「そこに案内してもらってもよろしいかしら?」
「もちろんです。ささ、こちらです!」
私は彼の案内の元、パーティー会場から少し離れたところにある、アセット家の屋敷の中へと通され、とある部屋の前へと連れてこられた。
「ここです! ブラハルト伯爵が、この部屋の前で血相変えて、急いで呼んできてくれと叫んでおりました!」
「わかりました。案内していただき、誠にありがとう存じます。入ってもよろしいかしら?」
「もちろんです!」
何があったかはわからないけど、ブラハルト様が私を呼んでいるというのなら、急がなくちゃ。
そう思い、勢いよく部屋の扉を開けると、そこには何の変哲もない、生活感が溢れる部屋が広がっていた。
「ブラハルト様……?」
誰かの私室と言われても、何の違和感もない部屋の中には、ブラハルト様の姿は無い。
それどころか、部屋の中には人っ子一人いなかった。
おかしい、彼はここにブラハルト様がいると言っていたのに……もしかして、急ぎ過ぎて部屋を間違えたとか?
「あの、ブラハルト様はどこに――」
振り返るとほぼ同時に、部屋の扉はバタンッという音と共に閉められた。
急いで開けようとしても、外からカギがかけられたのか、いくらドアノブを動かしても、体当たりをしても、扉は開かなかった。
「もしかして、閉じ込められた……? どうして……んうっ!?」
扉を見ながら、自分の置かれている状況に困惑していると、突然背後からやってきた何かに、口元を覆われた。
それに驚いてしまった私は、その場で暴れまわると、何か柔らかいものを強く踏んだ。
そのおかげで、なんとか謎の奇襲からは逃げられたけど、同時にとても強い眠気に襲われた。
一体何が……い、意識が保っていられない……とにかく、ここから逃げなきゃ……いけないのに……立っていられない……。
「うっ……に、げ……」
「ちっ、あの野郎。薬の配合を間違えたのか?」
「あな……た……だ、れ……?」
薄れゆく意識の中、反射的に声のした方に向くと、そこには一人の男性が立っていた。
この人、どこかで……駄目だ、頭がボーっとして……視界も、どんどん暗く……。
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