16 / 58
第十六話 見守っててね
しおりを挟む
「なになに……? シエル・マリーヌ様を合格といたします。詳しい事に関しては別紙に……これって!」
「合格判定……だよな? 兄上?」
「ああ、間違いなく合格判定だ! シエル、今度編入して学園の一生徒になれるんだ!」
「…………」
ジーク様とクリス様が何か仰ってるのは分かりますが、私は合格のショックが大きすぎて、その場で呆然と立っている事しか出来ませんでした。
そして……それから間もなく、私は大の字で倒れてしまいました。
「シエル!? どうした!」
「大丈夫かい? どこかぶつけた?」
「いえ、大丈夫です。合格したって思ったら……ぐすん……嬉しくて力が抜けちゃって……ひっぐ……」
緊張の意図が切れてしまったのか、私は涙を流すのを止める事が出来ませんでした。
私なんかが合格……ずっと勉強なんて手が出せなかった私が……学校に通えるなんて……信じられません……。
「お前は合格したんだ。立って前を向け」
「ジークの言う通りだ。君は難関と言われる試験を突破した勝者だ。胸を張るといい」
「ジーク様……クリス様……」
私は手を差し伸べる二人の手を掴んで立ち上がると、涙を拭ってから大きく頷きました。
これは夢なんじゃないかと思ってしまうくらい、いまだに信じられませんが……二人の暖かい手と、強く握られる感触が、これは夢ではないと教えてくれました。
****
「お似合いでございますよ、シエル様」
「うわぁ……うわぁ~!!」
合格の通知があった日から少し時が経ち――ついに登校初日となった私は、いつも身の回りの面倒をみてくれるメイド様の手伝いの元、制服に袖を通していました。
これが、ジェニエス学園の制服……! 制服を着ているだけなのに、嬉しくてまた泣いちゃいそうです……ぐすん。
「シエル、私だ。入っていいかい?」
「あ、どうぞー」
ノックの音と共に、クリス様の声が聞こえてきたので招き入れると、同じ様な制服を着たクリス様が部屋に入ってきました。
当然と言えばそうなんですが、クリス様もジェニエス学園の制服を着ていらっしゃいます。それと同じ服を着てるんですよね私……。
「ふむ、よく似合っている。やはり君はこの制服を着るべき人間だったんだね」
「そ、そんな……ありがとうございます。そうだ、ジーク様は?」
「まだ寝ていると思うよ。基本的にジークはあまり朝は強くないからね。だから先日は変な勘違いをしたのかもしれない」
「そ、そうなんでしょうか?」
うーん、その辺りは付き合いが長いクリス様の方がわかってるでしょうし、私がどうこう言っても仕方ないですね。
「シエル、起きた――兄上も来ていたのか」
「噂をすればだな。おはようジーク」
「おはようございます」
「……おはよう。早速もう着替えているようだな……悪くない」
「全く、我が弟ながら変な所で素直に褒められないとは……あんな大胆な事は出来るのに」
どんな言葉でも、褒めてくれている事には違いありません。私はそれで嬉しいと思うので、全然問題無しです。
「朝食はすでに準備されているそうだ。念の為に早めに食べて、忘れ物がないかの確認をしておこう」
「そうですね。では行きましょう!」
私はお二人と一緒に食事をしてから、一度自室に戻ってきた私は、忘れ物がないかをチェックします。三人でチェックしたので、これで忘れ物に関しては大丈夫でしょう。
……ふぅ、緊張してきました。学校に通えるのは楽しみに思っていますが、勉強はついていけるのとか、お友達は出来るのかとか、考えれば考える程、不安要素は出てきます。
「どうした、そんな不安そうな顔をして」
「あ、いえ……初めての事なので、色々考えてしまって」
「そうか……俺達がついているから、心配する事は無い」
「ほう、随分と大きく出たものだな弟よ」
「茶化すな」
ふんっと鼻を鳴らしながらそっぽを向くジーク様と、クスクスと面白そうに笑うクリス様。その姿は、本当に中が宜しいんだなと思えます。
私も……お兄ちゃんとかお姉ちゃんがいたら……こんな感じだったのでしょうか。ちょっぴり憧れます。
「さて、想像以上に早く準備が終わってしまったな。まだかなり時間がある」
「それなら……私、登校前に行きたい所があるんですけど……」
私の行きたい所。それは私の大切な人が眠っているあの場所。最近は勉強漬けの毎日だったから、学校に通う前にちゃんと報告がしたいんです。
「……ああ、あそこか」
「なるほど。折角の初めての登校の今は、丁度いいタイミングかもしれないね。合格通知が来てから忙しくて、行けていなかったようだし」
「えっ? 私、まだどこに行きたいか言ってませんけど……」
「言わなくてもわかる事はある」
まさに以心伝心と言うのでしょうか。なんだか嬉しいような、気恥ずかしいような、不思議な気分です。
「では……お言葉に甘えさせてもらいます」
「ああ。行くぞ……お前の母上の元へ」
「あの墓地から学園まで間に合わない距離じゃないとはいえ、時間があるわけではない。早く行こうか」
三人で頷き合ってから、私達は馬車に乗ってお母さんの元へと向かいます。
朝からバタバタしてしまって……お二人にはまた申し訳ない事をしてしまいました。これで返さなければならない恩が、また一つ増えてしまいました。
「すまない、少し急いでもらえるかな?」
「かしこまりました。なにかにお捕まりを」
「え……? きゃあ!」
「しっかり捕まってろ」
クリス様のお願いに応えるように、馬車はいつもの倍以上の速度で動き始めました。それに驚いてしまった私は、倒れそうになってしまいましたが……ジーク様が抱き抱えてくれたおかげで、怪我をせずに済みました。
お、男の人ってこんなに逞しいんですね……事故とはいえ、男の人にこんなに密着した事なんて無いので、ドキドキしてしまいます……。
「あ、ありがとうございます」
「礼はいらん。それよりも、あまり喋るな……舌噛むぞ」
「はっ……はい」
私を守る為の言うのはわかります。わかりますが……顔が近いです! こんな綺麗でカッコいい顔が近くに……!? 胸が爆発しちゃいそうです!!
「なんだ、やればできるじゃないか」
「何の話だ?」
「こっちの話さ。それよりも人に言っておいて、自分が舌を噛むような情けない事をしないでくれよ?」
「兄上こそ……おしゃべりなのは良いが、気を付けろよ」
お二人が何か話していたようですが、私は緊張のせいで半ば頭がフワフワしてしまった為、全然聞いていませんでした……。
そんな事をしている間に、馬車は花畑へと到着していました。
「到着いたしました。お怪我はございませんか?」
「問題ない」
「僕も無いよ」
「ふにゅ~……」
「シエル様……お身体は大丈夫でしょうか?」
「だいじょーぶでしゅ……ちょっといりょいりょあって……体に力が……」
結局ずっとジーク様とくっついていた結果、私の身体が耐えきれなくなり……ふにゃふにゃになってしまいました。
仕方ないじゃないですか! 抱き寄せて守ってくれたり、囁くようにずっと大丈夫だって言われ続けていたら、ふにゃふにゃにもなりますよ!
「しかたない、俺が背負っていく」
「え、そんな大丈夫――ひゃん!」
断る前に、私の体はジーク様の背中の上に乗せられました。さっきも凄いって思ってたのに、更に凄い事に……!? そろそろ倒れそうです……。
「全く、それをいつもやればいいのに、時々日和るのはなんなんだ?」
「そんなの知るか……シエル、ちゃんと捕まれ」
「ふにゃぁ……」
「しっかりしろ。そんな腑抜けた顔で会うつもりか」
「はっ……し、しっかりしましゅ」
ジーク様のおかげ? で何とか正気を取り戻した私は、無事にお花畑に到着しました。今日も沢山の花が咲いていて、とても綺麗です。叶うならここでお母さんとお茶がしたかったです。
「時間は無い。早く報告に行こうじゃないか」
「わかりました。いきましょう!」
「ああ」
ここまで運んでくれた従者様にお礼を言ってから、私達は急いで墓地のある元へ向かうと、そこには以前見た通り、静かにお母さんが私を迎えてくれました。
「お母さん、来たよ。ごめんね、また来るとか言っておいて……こんなに遅くなって」
私は来る時にクリス様に用意してもらったお花をお母さんの前に置いてから、静かに両手を合わせました。
聞いてお母さん、私……今日からジェニエス学園に行けるんだよ。勉強もできるし、友達もたくさん作れるんだ。それに、ジーク様とクリス様も一緒なんだ。初めての事ばかりで不安もあるけど、きっと大丈夫だから……お母さんも安心して見守っててね。
「もういいのか?」
「はい。あまり時間も無いですし、ちゃんと伝えたい事は言えましたので」
「では出発しよう」
本当はもっと一緒にいたいけど、お二人にご迷惑をおかけするわけにもいきませんし、登校初日から遅刻するわけにもいきません。名残惜しいけど、出発しましょう。
『いってらっしゃい、気を付けてね』
「……えっ……?」
今後ろから、お母さんの声が聞こえたような……? まさか、きっと空耳でしょう。こんな所で油を売ってないで、早く二人の後を追いかけないとですね。
「……うん! いってきます……お母さん!」
「合格判定……だよな? 兄上?」
「ああ、間違いなく合格判定だ! シエル、今度編入して学園の一生徒になれるんだ!」
「…………」
ジーク様とクリス様が何か仰ってるのは分かりますが、私は合格のショックが大きすぎて、その場で呆然と立っている事しか出来ませんでした。
そして……それから間もなく、私は大の字で倒れてしまいました。
「シエル!? どうした!」
「大丈夫かい? どこかぶつけた?」
「いえ、大丈夫です。合格したって思ったら……ぐすん……嬉しくて力が抜けちゃって……ひっぐ……」
緊張の意図が切れてしまったのか、私は涙を流すのを止める事が出来ませんでした。
私なんかが合格……ずっと勉強なんて手が出せなかった私が……学校に通えるなんて……信じられません……。
「お前は合格したんだ。立って前を向け」
「ジークの言う通りだ。君は難関と言われる試験を突破した勝者だ。胸を張るといい」
「ジーク様……クリス様……」
私は手を差し伸べる二人の手を掴んで立ち上がると、涙を拭ってから大きく頷きました。
これは夢なんじゃないかと思ってしまうくらい、いまだに信じられませんが……二人の暖かい手と、強く握られる感触が、これは夢ではないと教えてくれました。
****
「お似合いでございますよ、シエル様」
「うわぁ……うわぁ~!!」
合格の通知があった日から少し時が経ち――ついに登校初日となった私は、いつも身の回りの面倒をみてくれるメイド様の手伝いの元、制服に袖を通していました。
これが、ジェニエス学園の制服……! 制服を着ているだけなのに、嬉しくてまた泣いちゃいそうです……ぐすん。
「シエル、私だ。入っていいかい?」
「あ、どうぞー」
ノックの音と共に、クリス様の声が聞こえてきたので招き入れると、同じ様な制服を着たクリス様が部屋に入ってきました。
当然と言えばそうなんですが、クリス様もジェニエス学園の制服を着ていらっしゃいます。それと同じ服を着てるんですよね私……。
「ふむ、よく似合っている。やはり君はこの制服を着るべき人間だったんだね」
「そ、そんな……ありがとうございます。そうだ、ジーク様は?」
「まだ寝ていると思うよ。基本的にジークはあまり朝は強くないからね。だから先日は変な勘違いをしたのかもしれない」
「そ、そうなんでしょうか?」
うーん、その辺りは付き合いが長いクリス様の方がわかってるでしょうし、私がどうこう言っても仕方ないですね。
「シエル、起きた――兄上も来ていたのか」
「噂をすればだな。おはようジーク」
「おはようございます」
「……おはよう。早速もう着替えているようだな……悪くない」
「全く、我が弟ながら変な所で素直に褒められないとは……あんな大胆な事は出来るのに」
どんな言葉でも、褒めてくれている事には違いありません。私はそれで嬉しいと思うので、全然問題無しです。
「朝食はすでに準備されているそうだ。念の為に早めに食べて、忘れ物がないかの確認をしておこう」
「そうですね。では行きましょう!」
私はお二人と一緒に食事をしてから、一度自室に戻ってきた私は、忘れ物がないかをチェックします。三人でチェックしたので、これで忘れ物に関しては大丈夫でしょう。
……ふぅ、緊張してきました。学校に通えるのは楽しみに思っていますが、勉強はついていけるのとか、お友達は出来るのかとか、考えれば考える程、不安要素は出てきます。
「どうした、そんな不安そうな顔をして」
「あ、いえ……初めての事なので、色々考えてしまって」
「そうか……俺達がついているから、心配する事は無い」
「ほう、随分と大きく出たものだな弟よ」
「茶化すな」
ふんっと鼻を鳴らしながらそっぽを向くジーク様と、クスクスと面白そうに笑うクリス様。その姿は、本当に中が宜しいんだなと思えます。
私も……お兄ちゃんとかお姉ちゃんがいたら……こんな感じだったのでしょうか。ちょっぴり憧れます。
「さて、想像以上に早く準備が終わってしまったな。まだかなり時間がある」
「それなら……私、登校前に行きたい所があるんですけど……」
私の行きたい所。それは私の大切な人が眠っているあの場所。最近は勉強漬けの毎日だったから、学校に通う前にちゃんと報告がしたいんです。
「……ああ、あそこか」
「なるほど。折角の初めての登校の今は、丁度いいタイミングかもしれないね。合格通知が来てから忙しくて、行けていなかったようだし」
「えっ? 私、まだどこに行きたいか言ってませんけど……」
「言わなくてもわかる事はある」
まさに以心伝心と言うのでしょうか。なんだか嬉しいような、気恥ずかしいような、不思議な気分です。
「では……お言葉に甘えさせてもらいます」
「ああ。行くぞ……お前の母上の元へ」
「あの墓地から学園まで間に合わない距離じゃないとはいえ、時間があるわけではない。早く行こうか」
三人で頷き合ってから、私達は馬車に乗ってお母さんの元へと向かいます。
朝からバタバタしてしまって……お二人にはまた申し訳ない事をしてしまいました。これで返さなければならない恩が、また一つ増えてしまいました。
「すまない、少し急いでもらえるかな?」
「かしこまりました。なにかにお捕まりを」
「え……? きゃあ!」
「しっかり捕まってろ」
クリス様のお願いに応えるように、馬車はいつもの倍以上の速度で動き始めました。それに驚いてしまった私は、倒れそうになってしまいましたが……ジーク様が抱き抱えてくれたおかげで、怪我をせずに済みました。
お、男の人ってこんなに逞しいんですね……事故とはいえ、男の人にこんなに密着した事なんて無いので、ドキドキしてしまいます……。
「あ、ありがとうございます」
「礼はいらん。それよりも、あまり喋るな……舌噛むぞ」
「はっ……はい」
私を守る為の言うのはわかります。わかりますが……顔が近いです! こんな綺麗でカッコいい顔が近くに……!? 胸が爆発しちゃいそうです!!
「なんだ、やればできるじゃないか」
「何の話だ?」
「こっちの話さ。それよりも人に言っておいて、自分が舌を噛むような情けない事をしないでくれよ?」
「兄上こそ……おしゃべりなのは良いが、気を付けろよ」
お二人が何か話していたようですが、私は緊張のせいで半ば頭がフワフワしてしまった為、全然聞いていませんでした……。
そんな事をしている間に、馬車は花畑へと到着していました。
「到着いたしました。お怪我はございませんか?」
「問題ない」
「僕も無いよ」
「ふにゅ~……」
「シエル様……お身体は大丈夫でしょうか?」
「だいじょーぶでしゅ……ちょっといりょいりょあって……体に力が……」
結局ずっとジーク様とくっついていた結果、私の身体が耐えきれなくなり……ふにゃふにゃになってしまいました。
仕方ないじゃないですか! 抱き寄せて守ってくれたり、囁くようにずっと大丈夫だって言われ続けていたら、ふにゃふにゃにもなりますよ!
「しかたない、俺が背負っていく」
「え、そんな大丈夫――ひゃん!」
断る前に、私の体はジーク様の背中の上に乗せられました。さっきも凄いって思ってたのに、更に凄い事に……!? そろそろ倒れそうです……。
「全く、それをいつもやればいいのに、時々日和るのはなんなんだ?」
「そんなの知るか……シエル、ちゃんと捕まれ」
「ふにゃぁ……」
「しっかりしろ。そんな腑抜けた顔で会うつもりか」
「はっ……し、しっかりしましゅ」
ジーク様のおかげ? で何とか正気を取り戻した私は、無事にお花畑に到着しました。今日も沢山の花が咲いていて、とても綺麗です。叶うならここでお母さんとお茶がしたかったです。
「時間は無い。早く報告に行こうじゃないか」
「わかりました。いきましょう!」
「ああ」
ここまで運んでくれた従者様にお礼を言ってから、私達は急いで墓地のある元へ向かうと、そこには以前見た通り、静かにお母さんが私を迎えてくれました。
「お母さん、来たよ。ごめんね、また来るとか言っておいて……こんなに遅くなって」
私は来る時にクリス様に用意してもらったお花をお母さんの前に置いてから、静かに両手を合わせました。
聞いてお母さん、私……今日からジェニエス学園に行けるんだよ。勉強もできるし、友達もたくさん作れるんだ。それに、ジーク様とクリス様も一緒なんだ。初めての事ばかりで不安もあるけど、きっと大丈夫だから……お母さんも安心して見守っててね。
「もういいのか?」
「はい。あまり時間も無いですし、ちゃんと伝えたい事は言えましたので」
「では出発しよう」
本当はもっと一緒にいたいけど、お二人にご迷惑をおかけするわけにもいきませんし、登校初日から遅刻するわけにもいきません。名残惜しいけど、出発しましょう。
『いってらっしゃい、気を付けてね』
「……えっ……?」
今後ろから、お母さんの声が聞こえたような……? まさか、きっと空耳でしょう。こんな所で油を売ってないで、早く二人の後を追いかけないとですね。
「……うん! いってきます……お母さん!」
6
お気に入りに追加
982
あなたにおすすめの小説
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
婚約破棄……それは事件の香り。
さくしゃ
恋愛
「ソフィア・アルメリア! 君との婚姻を破棄する!」
第一王子ヨハネスの誕生パーティーが開かれた会場には、王国中の貴族たちが集まっている。皆、普段口にすることのできない料理に舌を打つ中、楽しげな空気を壊す宣言がなされた。皆の視線が声のした方に向けられる中、突然の暗点ーー
メイドが慌てて灯りをつけるとそこにはーー血を流して倒れたヨハネスと、彼の返り血を浴びたソフィアの姿があった。
「自身は犯人ではない!」
と主張するソフィア。果たして彼女の証言は事実なのか。そうだとしたら真犯人はーー
婚約破棄✖️ミステリー✖️コメディ。果たしてこの物語の結末は!?
【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません
との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗
「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ!
あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。
断罪劇? いや、珍喜劇だね。
魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。
留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。
私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で?
治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな?
聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。
我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし?
面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。
訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結まで予約投稿済み
R15は念の為・・
追放された令嬢は英雄となって帰還する
影茸
恋愛
代々聖女を輩出して来た家系、リースブルク家。
だがその1人娘であるラストは聖女と認められるだけの才能が無く、彼女は冤罪を被せられ、婚約者である王子にも婚約破棄されて国を追放されることになる。
ーーー そしてその時彼女はその国で唯一自分を助けようとしてくれた青年に恋をした。
そしてそれから数年後、最強と呼ばれる魔女に弟子入りして英雄と呼ばれるようになったラストは、恋心を胸に国へと帰還する……
※この作品は最初のプロローグだけを現段階だけで短編として投稿する予定です!
【完結】公爵家のメイドたる者、炊事、洗濯、剣に魔法に結界術も完璧でなくてどうします?〜聖女様、あなたに追放されたおかげで私は幸せになれました
冬月光輝
恋愛
ボルメルン王国の聖女、クラリス・マーティラスは王家の血を引く大貴族の令嬢であり、才能と美貌を兼ね備えた完璧な聖女だと国民から絶大な支持を受けていた。
代々聖女の家系であるマーティラス家に仕えているネルシュタイン家に生まれたエミリアは、大聖女お付きのメイドに相応しい人間になるために英才教育を施されており、クラリスの側近になる。
クラリスは能力はあるが、傍若無人の上にサボり癖のあり、すぐに癇癪を起こす手の付けられない性格だった。
それでも、エミリアは家を守るために懸命に彼女に尽くし努力する。クラリスがサボった時のフォローとして聖女しか使えないはずの結界術を独学でマスターするほどに。
そんな扱いを受けていたエミリアは偶然、落馬して大怪我を負っていたこの国の第四王子であるニックを助けたことがきっかけで、彼と婚約することとなる。
幸せを掴んだ彼女だが、理不尽の化身であるクラリスは身勝手な理由でエミリアをクビにした。
さらに彼女はクラリスによって第四王子を助けたのは自作自演だとあらぬ罪をでっち上げられ、家を潰されるかそれを飲み込むかの二択を迫られ、冤罪を被り国家追放に処される。
絶望して隣国に流れた彼女はまだ気付いていなかった、いつの間にかクラリスを遥かに超えるほどハイスペックになっていた自分に。
そして、彼女こそ国を守る要になっていたことに……。
エミリアが隣国で力を認められ巫女になった頃、ボルメルン王国はわがまま放題しているクラリスに反発する動きが見られるようになっていた――。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる
みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。
「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。
「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」
「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」
追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる