25 / 35
第二十五話 告白
しおりを挟む
同日の夜。コック様が作り置きしてくれた料理を食べ終わった私は、カイン様と一緒に私の部屋でゆっくりしていました。
うぅ、あれからずっと私に出来る事は無いかと考えていましたが、何も良い案が思いつきません。所詮私は無力な人間でしかないという現実が、私に重くのしかかるだけでしたわ。
「大丈夫か? 顔色が悪いけど……」
「体調は悪くないですけど、やっぱり不安で……」
屋敷の方々は大丈夫なのだろうか、グロース国の民達は大丈夫なのだろうか、これからエルピス国はどうなってしまうのだろうか。考えれば考える程、不安で頭がパンクしそうです。
「心配する気持ちはわかる。だが彼らなら大丈夫だ」
「…………」
「……うん、一人でいると色々と考えてしまうだろう。今日はずっと一緒にいよう」
「ワンワンッ!!」
「おっと、君もいるのに数に数えていなかった。すまなかった」
「はふっ」
わかればいいんだと言うように、モコは少し鼻を高くしてから、満足げに部屋の中に置いてある小屋に入っていきました。
いつもなら可愛いと思うのですが、今の私にはそこまでの余裕はありません。
「ありがとうございます、カイン様。その……寝るまで一緒にいてもらえると嬉しいですわ」
「寝るまで? 寝る時も一緒にいるつもりだったんだけどね」
……えっと、寝るときもって……一緒の部屋で寝るという事ですの!? さすがにそれは恥ずかしいというか、結婚もしていない男女が、一緒のベッドでなんて……!
「ああ、もちろん俺は床で寝るから心配しなくていい。野営の訓練はしてるから、どこでも寝れるんだ」
「そうでしたか、それなら安心……じゃないですよ! 確かに一緒に寝るのは恥ずかしいですけど、だからといって床に寝るなんて駄目に決まっております!」
床なんかで寝たら、絶対に風邪を引いてしまいますわ! それに、私の為に一緒にいてくれるというのに、カイン様を床にだなんて……論外すぎます! むしろ、私が床に寝るのが筋ですわ!
「そうか? 俺は別に構わないんだが……言っておくけど、マシェリーが床に寝るとかいう選択肢は、何を差し出されても承諾しないから諦めてほしい」
「うっ……」
よ、読まれておりましたわ……出会ってから毎日を一緒に過ごし、話をしていると、思考を読まれてしまうのですね……。
「俺だって、少しは学んでいるんだ。付き合ってもいない男女が、一緒のベッドに寝るのはおかしいとわかってる。だから俺は床で寝る」
「駄目です!」
「その理由は? 俺を納得させる理由があるなら、聞かせてほしい」
「り、理由? えっと……そうですわ、カイン様は騎士団長として忙しいのですから、ちゃんとベッドに寝て休んでほしいんですの!」
「慣れているから大丈夫と言っただろう?」
「慣れていようが、駄目なものは駄目ですのー!!」
互いに一歩も譲らず、終いには互いを力づくでベットに寝かせようと取っ組み合いになると、そのまま二人してベッドに倒れてしまいました。
もう、私ったら何をしているのかしら……なんてはしたない事を……。
「大丈夫か、マシェリー」
「ええ……大丈夫ですわ……え?」
静かに目を開けると、私の目と鼻の先に、カイン様のお顔がありました。更に付け加えると、私はカイン様に覆い被さられる形になっていました。
「…………」
「…………」
ど、どうしましょう……ドキドキしすぎて、微動だに出来ませんわ。カイン様も全然退く気配がないどころか、私から目線を外しませんし……。
元々美しい顔立ちだとは思っておりましたが、自分の好意に気づいてから、カイン様がより美しく見えます。綺麗な二色の目に、シュッとした鼻、小ぶりな唇……全てが美しいですわ。
「マシェリー……」
「カイン様……どうして私の頬に手を? もしかして、血が欲しいのですか? でしたら血を出すので少々お待ちくださいませ。あ、首からにしますか?」
「いや、そうじゃない。血とか関係なしに……君と口づけをしたい」
血が関係しない口づけ。それは、相手を助けるとかではなく、ただ愛する者同士がする行為でしかありません。それをカイン様が求めるだなんて……もしかして、カイン様は……?
「どうして、ですか?」
「君が好きだから。一人の女性として、心から愛している」
「っ……!!」
「だから、君が欲しい」
カイン様の唐突な告白に頭が真っ白になっているうちに、カイン様の顔がゆっくりと近づいてきます。
わ、私の事が好きだなんて……ど、どうすれば……頭が真っ白すぎて、もう何も考えられない!!
「……マシェリー?」
「あっ……」
咄嗟の防衛反応が出てしまったのか、私は無意識のうちに、私とカイン様の口の間に手を入れて、口づけを拒んでしまいました。
そんな、違う……私はカイン様を拒絶したいんじゃないのに……どうして!?
「ご、ごめんなさい! その……私、ちょっと混乱してしまって……」
「……俺こそすまない。俺はまた、君の気持ちを度外視してしまった。何が学んでいるだ……俺は何も成長していない」
「そんな、自分を責めないでください! 私は、嫌だったわけじゃないんです! 突然だったので、混乱してしまって!」
気まずそうに顔を逸らしたカイン様でしたが、私の言葉に反応するように、目を丸くしながら再び私に視線を向けました。
「私も……あなたが好き……だと思うのですが……恋をした事がないので、この気持ちが恋心なのかはわかりません。あなたに告白された事は嬉しいですし、あなたとなら口づけをしていい……いえ、したいと思ってますの」
「……マシェリー……ありがとう。君の気持ち、とても嬉しく思うよ。俺と付き合ってくれないか?」
「……はい。不束者ですが、よろしくお願い致しますわ」
互いにベッドに倒れながらの告白という、なんとも不思議な告白の仕方でしたが、無事に結ばれた私達は、そのままゆっくりと口づけを交わしました。
「……恋人の口づけってはじめてしましたけど、想像の何百倍も幸せで、ドキドキするんですね」
「ああ、そうだね。俺も普段感じないような胸の高鳴りを感じたよ」
「そう、ですよね……」
せっかく好きな人と結ばれたのに、私は嬉しさと共に、罪悪感に苛まれていました。それには、もちろん理由がありますわ。
「皆様が大変な思いをしているというのに、私だけこんな事をしていて良いのでしょうか……」
「実はみんなが出ていく前に、せっかく二人きりになれるのだから頑張れと言われてね」
「え?」
「全員揃って、俺の事を応援してたんだよ。だから、そこは気にしなくていい」
え、えっと……皆様はカイン様の気持ちにお気づきになられていたって事ですか? 知らなかったのは私だけ!? それはさすがに鈍感すぎませんか!?
「それに……戦争で俺達が離れ離れになる可能性も、絶対無いとは言えない。だから、俺は後悔したくなくて告白したんだ」
「そうだったんですね。それなら……私は気にしないでおきます。ここで英気を養って、来るべき日に備えておきます!」
「っと……マシェリー……」
少しだけ吹っ切れた私は、カイン様に抱きつくと、ギューッと力を入れましたわ。
カイン様の声、熱、息、音……どれもが愛おしい。もちろん、両国の民達も、私にとっては大切で、愛おしい民ですわ。
……私は国王になる予定でしたが、それは叶いませんでした。でも、だからって危険に晒されている国民を、助けないわけにはいきません。必ず……何かしらの方法で助けて見せますわ! そして、カイン様とモコがいる、幸せな日常を手に入れますの!
うぅ、あれからずっと私に出来る事は無いかと考えていましたが、何も良い案が思いつきません。所詮私は無力な人間でしかないという現実が、私に重くのしかかるだけでしたわ。
「大丈夫か? 顔色が悪いけど……」
「体調は悪くないですけど、やっぱり不安で……」
屋敷の方々は大丈夫なのだろうか、グロース国の民達は大丈夫なのだろうか、これからエルピス国はどうなってしまうのだろうか。考えれば考える程、不安で頭がパンクしそうです。
「心配する気持ちはわかる。だが彼らなら大丈夫だ」
「…………」
「……うん、一人でいると色々と考えてしまうだろう。今日はずっと一緒にいよう」
「ワンワンッ!!」
「おっと、君もいるのに数に数えていなかった。すまなかった」
「はふっ」
わかればいいんだと言うように、モコは少し鼻を高くしてから、満足げに部屋の中に置いてある小屋に入っていきました。
いつもなら可愛いと思うのですが、今の私にはそこまでの余裕はありません。
「ありがとうございます、カイン様。その……寝るまで一緒にいてもらえると嬉しいですわ」
「寝るまで? 寝る時も一緒にいるつもりだったんだけどね」
……えっと、寝るときもって……一緒の部屋で寝るという事ですの!? さすがにそれは恥ずかしいというか、結婚もしていない男女が、一緒のベッドでなんて……!
「ああ、もちろん俺は床で寝るから心配しなくていい。野営の訓練はしてるから、どこでも寝れるんだ」
「そうでしたか、それなら安心……じゃないですよ! 確かに一緒に寝るのは恥ずかしいですけど、だからといって床に寝るなんて駄目に決まっております!」
床なんかで寝たら、絶対に風邪を引いてしまいますわ! それに、私の為に一緒にいてくれるというのに、カイン様を床にだなんて……論外すぎます! むしろ、私が床に寝るのが筋ですわ!
「そうか? 俺は別に構わないんだが……言っておくけど、マシェリーが床に寝るとかいう選択肢は、何を差し出されても承諾しないから諦めてほしい」
「うっ……」
よ、読まれておりましたわ……出会ってから毎日を一緒に過ごし、話をしていると、思考を読まれてしまうのですね……。
「俺だって、少しは学んでいるんだ。付き合ってもいない男女が、一緒のベッドに寝るのはおかしいとわかってる。だから俺は床で寝る」
「駄目です!」
「その理由は? 俺を納得させる理由があるなら、聞かせてほしい」
「り、理由? えっと……そうですわ、カイン様は騎士団長として忙しいのですから、ちゃんとベッドに寝て休んでほしいんですの!」
「慣れているから大丈夫と言っただろう?」
「慣れていようが、駄目なものは駄目ですのー!!」
互いに一歩も譲らず、終いには互いを力づくでベットに寝かせようと取っ組み合いになると、そのまま二人してベッドに倒れてしまいました。
もう、私ったら何をしているのかしら……なんてはしたない事を……。
「大丈夫か、マシェリー」
「ええ……大丈夫ですわ……え?」
静かに目を開けると、私の目と鼻の先に、カイン様のお顔がありました。更に付け加えると、私はカイン様に覆い被さられる形になっていました。
「…………」
「…………」
ど、どうしましょう……ドキドキしすぎて、微動だに出来ませんわ。カイン様も全然退く気配がないどころか、私から目線を外しませんし……。
元々美しい顔立ちだとは思っておりましたが、自分の好意に気づいてから、カイン様がより美しく見えます。綺麗な二色の目に、シュッとした鼻、小ぶりな唇……全てが美しいですわ。
「マシェリー……」
「カイン様……どうして私の頬に手を? もしかして、血が欲しいのですか? でしたら血を出すので少々お待ちくださいませ。あ、首からにしますか?」
「いや、そうじゃない。血とか関係なしに……君と口づけをしたい」
血が関係しない口づけ。それは、相手を助けるとかではなく、ただ愛する者同士がする行為でしかありません。それをカイン様が求めるだなんて……もしかして、カイン様は……?
「どうして、ですか?」
「君が好きだから。一人の女性として、心から愛している」
「っ……!!」
「だから、君が欲しい」
カイン様の唐突な告白に頭が真っ白になっているうちに、カイン様の顔がゆっくりと近づいてきます。
わ、私の事が好きだなんて……ど、どうすれば……頭が真っ白すぎて、もう何も考えられない!!
「……マシェリー?」
「あっ……」
咄嗟の防衛反応が出てしまったのか、私は無意識のうちに、私とカイン様の口の間に手を入れて、口づけを拒んでしまいました。
そんな、違う……私はカイン様を拒絶したいんじゃないのに……どうして!?
「ご、ごめんなさい! その……私、ちょっと混乱してしまって……」
「……俺こそすまない。俺はまた、君の気持ちを度外視してしまった。何が学んでいるだ……俺は何も成長していない」
「そんな、自分を責めないでください! 私は、嫌だったわけじゃないんです! 突然だったので、混乱してしまって!」
気まずそうに顔を逸らしたカイン様でしたが、私の言葉に反応するように、目を丸くしながら再び私に視線を向けました。
「私も……あなたが好き……だと思うのですが……恋をした事がないので、この気持ちが恋心なのかはわかりません。あなたに告白された事は嬉しいですし、あなたとなら口づけをしていい……いえ、したいと思ってますの」
「……マシェリー……ありがとう。君の気持ち、とても嬉しく思うよ。俺と付き合ってくれないか?」
「……はい。不束者ですが、よろしくお願い致しますわ」
互いにベッドに倒れながらの告白という、なんとも不思議な告白の仕方でしたが、無事に結ばれた私達は、そのままゆっくりと口づけを交わしました。
「……恋人の口づけってはじめてしましたけど、想像の何百倍も幸せで、ドキドキするんですね」
「ああ、そうだね。俺も普段感じないような胸の高鳴りを感じたよ」
「そう、ですよね……」
せっかく好きな人と結ばれたのに、私は嬉しさと共に、罪悪感に苛まれていました。それには、もちろん理由がありますわ。
「皆様が大変な思いをしているというのに、私だけこんな事をしていて良いのでしょうか……」
「実はみんなが出ていく前に、せっかく二人きりになれるのだから頑張れと言われてね」
「え?」
「全員揃って、俺の事を応援してたんだよ。だから、そこは気にしなくていい」
え、えっと……皆様はカイン様の気持ちにお気づきになられていたって事ですか? 知らなかったのは私だけ!? それはさすがに鈍感すぎませんか!?
「それに……戦争で俺達が離れ離れになる可能性も、絶対無いとは言えない。だから、俺は後悔したくなくて告白したんだ」
「そうだったんですね。それなら……私は気にしないでおきます。ここで英気を養って、来るべき日に備えておきます!」
「っと……マシェリー……」
少しだけ吹っ切れた私は、カイン様に抱きつくと、ギューッと力を入れましたわ。
カイン様の声、熱、息、音……どれもが愛おしい。もちろん、両国の民達も、私にとっては大切で、愛おしい民ですわ。
……私は国王になる予定でしたが、それは叶いませんでした。でも、だからって危険に晒されている国民を、助けないわけにはいきません。必ず……何かしらの方法で助けて見せますわ! そして、カイン様とモコがいる、幸せな日常を手に入れますの!
1
お気に入りに追加
593
あなたにおすすめの小説
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる