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第七話 蝕んでいた毒
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■カイン視点■
マシェリーと別れて自室に戻ってきた俺は、騎士団員の訓練メニューを考えていた……はずなのだが、先程から溜息ばかり出て、全然進む気配がない。
俺は今日だけで二度も失敗をしてしまった。一度目はマシェリーに血を貰った時、二度目はマシェリーにおやすみの挨拶をした時。
失敗から学んだ事もあったけど、それと同時にマシェリーに嫌な思いをさせてしまったのも事実だ。次からは気を付けないと。
そんな事を思っていると、セバスが紅茶セットを持って部屋に入ってきた。
「わざわざ夜更けに呼び出してすまない」
「いえ、ワタクシも坊ちゃまとお話がございましたので」
「セバスの事だ。大方、マシェリー関連の事だろう?」
「はい。その口ぶりからして、もう分かってると思いますが……女性に安易に口づけするような事はしませんように。マシェリー様がお優しいから、この程度で済みましたが……別の方だったらどうなっていた事か」
セバスの言う通りだ。マシェリーの心が広いおかげでビンタで済んだが、下手したらグロース国の姫の唇を奪ったとして、国際問題にもなりかねなかった。
もちろん一般の女性だったとしても、許される行為ではなかっただろう。本当に申し訳ない事をしてしまった。
「ついさっきも怒られたところだ。気を付ける」
「……一応ご確認ですが、何かされたのですか?」
「おやすみの挨拶と、母がよくしてくれていたおやすみの口づけを」
「そんなの駄目に決まっているでしょう!? それはあくまで家族や恋仲といった、親しい間柄でするものですぞ!」
「……そうか。わかった、これからは控えるよ」
「そうしていただけると幸いでございます」
やはりあれもいけない事だったのか。マシェリーの反応もあまり良くなかったから、薄々はそんな気がしていたんだが……。
どうにも他人との付き合いかがよくわからない。これもヴァンパイアの血が入ってるからという理由で恐れられ、避けられ続けた結果、コミュニケーションが不得手になったからかもしれない。
「それにしても……恋仲、か。俺にはそんな者はできた事がないから、いまいちよくわからないな」
「いつか坊ちゃまにも、素敵な女性が現れるでしょう。そうすれば、自ずとわかるはずです」
「そういうものなのか。セバスは知っているのか?」
「ええ、それはもちろん。私にもかつては妻がいましたからな」
セバスの奥方か……俺が生まれる前に亡くなってしまったと聞いているが、とても愛し合っていたというのは聞いた事がある。
「恋をすると、どんな感じなんだ?」
「それは難しい質問ですな。ワタクシの場合ですと、相手と出会った時に胸が高鳴り、もっと一緒にいたいとか、触れあいたいとか、喜ばせたいとか、笑顔が見たいとか……そんな感情がありましたぞ」
「……やはりよくわからない」
「焦る必要はありません。人生というのは長いですからな」
別に焦っているわけではない。ただ純粋に、気になっただけなんだ。
「ところで坊ちゃま、お話とは何でございましょう?」
「ああ、忘れるところだった。マシェリーの事なんだけど」
「まさか、他にも粗相を?」
「さすがに一日で三度もしないよ。これを見てくれ」
俺は机の引き出しから、青紫色の小さな結晶を取り出した。その結晶は、今もほんのりと禍々しい光を放っている。
「これは?」
「マシェリーから血をいただいた時、血以外に不純物があると感じたんだ。それを俺の体から抽出し、結晶化したものだ。セバス、これの成分はわかるか?」
「少々調べてみましょうか」
セバスは俺から結晶を受け取ると、目を閉じて意識を集中させる。すると、セバスと結晶がほんのりと光り始め……数秒程で光が消えた。
「念の為もう一度確認なのですが、これはマシェリー様の血液に混ざり込んでいたのですね?」
「うん、そうだね」
「……信じがたいですが、これは毒です」
毒、か……何となくそんな気はしていたけど、予想は的中していたって事か。ほんのわずかだったけど、俺の体に入った時に、変な違和感と倦怠感を感じていたからね。
「かなり珍しい種類ですな。即効性はありませんが、長期的に摂取する事で徐々に体を蝕み、死に至らしめる毒ですぞ」
「症状は?」
「主に咳や吐血、運動能力の低下……そのうち筋力も無くなって動けなくなり、免疫力も落ち、最終的に死に至る。これの厄介な所は、毒を盛られているのに本人が気づきにくいところでして。無味無臭の為、食事にまぜられても気づけないのです。症状も普通の病気に近いですからな」
「誰がそんな非道な事を?」
「それはわかりかねます。ご本人に聞くのが宜しいかと」
マシェリーに毒を盛るだなんて、最低な奴もいたものだな。しかも、こんなジワジワと苦しみを与える方法を取るなど、言語道断だ。
「それで、治せるか?」
「残念ながら、治療薬は見つかっておりません」
「そうか……」
治療薬が無いのでは、治す事は当然できない。俺にはこのままマシェリーの命の灯が消えるのを、指を咥えて見る事しか出来ないのか? 流石にそれはあまりにも可哀想だ。
……いや、あるじゃないか。むしろ、俺しかマシェリーを助ける事が出来ない。
「俺が彼女の血と一緒に、毒素を吸い出すのはどうだ? 一気に吸ったら体に負担がかかるだろうから、少しずつにはなるだろうが」
「それでは坊ちゃまの体に毒が回ってしまいますぞ?」
「問題無いよ。この結晶のように、体外に出すから」
「な、なるほど……確かにそれなら……でも、失敗したら体に毒素が残ってしまいます」
「ヴァンパイアの血がある俺の体は、一般人よりかは頑丈だ。だから、残っても問題無いと思うよ」
みんなが思っている以上に、ヴァンパイアの血がもたらす力は凄い。これのおかげで、俺は普通の人よりも強い体を持っている。
その体のおかげで、周りの人達からは避けられ、暴言を吐かれた事もあるが、そんなのは些細な事さ。
「坊ちゃまは、どうしてそんなにマシェリー様に肩入れをするのですか? コミュニケーションが苦手な坊ちゃまにしては、随分と珍しいです」
「うん、なんていうか……俺の事情を聞いた上で、変に深入りをせずに励ましてくれて……少しでも理解しようとしてくれたのが、何だ嬉しくて……不思議ともう少し一緒にいてもいいかなって思ったんだ」
もちろんそれだけではない。俺の人外の力で誰かを助けられるんだから、使わなければ損というものだからね。
「だから、マシェリーが出ていこうとしない限り、面倒をみるつもりだよ」
「かしこまりました。我々も微力ながらお手伝いいたします」
そうと決まれば、明日の朝にはちゃんとマシェリーと話をしないといけないな……あ、でもまた変な事を言ったりやったりしたら……普通を心がけて……。
いや待て、普通って何なんだ? 自分では何もおかしくないと思っていた事がおかしかったのだから、俺が普通ではないのはわかるが……正解がわからない……。
「ふふ、坊ちゃま……あなたにも、ようやく親しい方ができたのかもしれませんね。それは最悪の出会いでしたが。ですが……一人ぼっちだったあなたにとって、とても素晴らしい一歩になった事……セバスは嬉しく思いますぞ」
「なにを一人でボソボソと喋っているんだ?」
「ただの年寄りの戯言ですよ」
「そうか。それよりも、普通に接したいのに、普通がよくわからないんだ。教えてくれないか?」
「ワタクシでよろしければ」
その後、俺は騎士団の仕事をキリのいいところまで終わらせた後、セバスから普通というものを学んだ。
結局あまりわからなかったけど、少しは身になったはず。これからもマシェリーと接する時は、傷つけないように注意するようにしよう。
マシェリーと別れて自室に戻ってきた俺は、騎士団員の訓練メニューを考えていた……はずなのだが、先程から溜息ばかり出て、全然進む気配がない。
俺は今日だけで二度も失敗をしてしまった。一度目はマシェリーに血を貰った時、二度目はマシェリーにおやすみの挨拶をした時。
失敗から学んだ事もあったけど、それと同時にマシェリーに嫌な思いをさせてしまったのも事実だ。次からは気を付けないと。
そんな事を思っていると、セバスが紅茶セットを持って部屋に入ってきた。
「わざわざ夜更けに呼び出してすまない」
「いえ、ワタクシも坊ちゃまとお話がございましたので」
「セバスの事だ。大方、マシェリー関連の事だろう?」
「はい。その口ぶりからして、もう分かってると思いますが……女性に安易に口づけするような事はしませんように。マシェリー様がお優しいから、この程度で済みましたが……別の方だったらどうなっていた事か」
セバスの言う通りだ。マシェリーの心が広いおかげでビンタで済んだが、下手したらグロース国の姫の唇を奪ったとして、国際問題にもなりかねなかった。
もちろん一般の女性だったとしても、許される行為ではなかっただろう。本当に申し訳ない事をしてしまった。
「ついさっきも怒られたところだ。気を付ける」
「……一応ご確認ですが、何かされたのですか?」
「おやすみの挨拶と、母がよくしてくれていたおやすみの口づけを」
「そんなの駄目に決まっているでしょう!? それはあくまで家族や恋仲といった、親しい間柄でするものですぞ!」
「……そうか。わかった、これからは控えるよ」
「そうしていただけると幸いでございます」
やはりあれもいけない事だったのか。マシェリーの反応もあまり良くなかったから、薄々はそんな気がしていたんだが……。
どうにも他人との付き合いかがよくわからない。これもヴァンパイアの血が入ってるからという理由で恐れられ、避けられ続けた結果、コミュニケーションが不得手になったからかもしれない。
「それにしても……恋仲、か。俺にはそんな者はできた事がないから、いまいちよくわからないな」
「いつか坊ちゃまにも、素敵な女性が現れるでしょう。そうすれば、自ずとわかるはずです」
「そういうものなのか。セバスは知っているのか?」
「ええ、それはもちろん。私にもかつては妻がいましたからな」
セバスの奥方か……俺が生まれる前に亡くなってしまったと聞いているが、とても愛し合っていたというのは聞いた事がある。
「恋をすると、どんな感じなんだ?」
「それは難しい質問ですな。ワタクシの場合ですと、相手と出会った時に胸が高鳴り、もっと一緒にいたいとか、触れあいたいとか、喜ばせたいとか、笑顔が見たいとか……そんな感情がありましたぞ」
「……やはりよくわからない」
「焦る必要はありません。人生というのは長いですからな」
別に焦っているわけではない。ただ純粋に、気になっただけなんだ。
「ところで坊ちゃま、お話とは何でございましょう?」
「ああ、忘れるところだった。マシェリーの事なんだけど」
「まさか、他にも粗相を?」
「さすがに一日で三度もしないよ。これを見てくれ」
俺は机の引き出しから、青紫色の小さな結晶を取り出した。その結晶は、今もほんのりと禍々しい光を放っている。
「これは?」
「マシェリーから血をいただいた時、血以外に不純物があると感じたんだ。それを俺の体から抽出し、結晶化したものだ。セバス、これの成分はわかるか?」
「少々調べてみましょうか」
セバスは俺から結晶を受け取ると、目を閉じて意識を集中させる。すると、セバスと結晶がほんのりと光り始め……数秒程で光が消えた。
「念の為もう一度確認なのですが、これはマシェリー様の血液に混ざり込んでいたのですね?」
「うん、そうだね」
「……信じがたいですが、これは毒です」
毒、か……何となくそんな気はしていたけど、予想は的中していたって事か。ほんのわずかだったけど、俺の体に入った時に、変な違和感と倦怠感を感じていたからね。
「かなり珍しい種類ですな。即効性はありませんが、長期的に摂取する事で徐々に体を蝕み、死に至らしめる毒ですぞ」
「症状は?」
「主に咳や吐血、運動能力の低下……そのうち筋力も無くなって動けなくなり、免疫力も落ち、最終的に死に至る。これの厄介な所は、毒を盛られているのに本人が気づきにくいところでして。無味無臭の為、食事にまぜられても気づけないのです。症状も普通の病気に近いですからな」
「誰がそんな非道な事を?」
「それはわかりかねます。ご本人に聞くのが宜しいかと」
マシェリーに毒を盛るだなんて、最低な奴もいたものだな。しかも、こんなジワジワと苦しみを与える方法を取るなど、言語道断だ。
「それで、治せるか?」
「残念ながら、治療薬は見つかっておりません」
「そうか……」
治療薬が無いのでは、治す事は当然できない。俺にはこのままマシェリーの命の灯が消えるのを、指を咥えて見る事しか出来ないのか? 流石にそれはあまりにも可哀想だ。
……いや、あるじゃないか。むしろ、俺しかマシェリーを助ける事が出来ない。
「俺が彼女の血と一緒に、毒素を吸い出すのはどうだ? 一気に吸ったら体に負担がかかるだろうから、少しずつにはなるだろうが」
「それでは坊ちゃまの体に毒が回ってしまいますぞ?」
「問題無いよ。この結晶のように、体外に出すから」
「な、なるほど……確かにそれなら……でも、失敗したら体に毒素が残ってしまいます」
「ヴァンパイアの血がある俺の体は、一般人よりかは頑丈だ。だから、残っても問題無いと思うよ」
みんなが思っている以上に、ヴァンパイアの血がもたらす力は凄い。これのおかげで、俺は普通の人よりも強い体を持っている。
その体のおかげで、周りの人達からは避けられ、暴言を吐かれた事もあるが、そんなのは些細な事さ。
「坊ちゃまは、どうしてそんなにマシェリー様に肩入れをするのですか? コミュニケーションが苦手な坊ちゃまにしては、随分と珍しいです」
「うん、なんていうか……俺の事情を聞いた上で、変に深入りをせずに励ましてくれて……少しでも理解しようとしてくれたのが、何だ嬉しくて……不思議ともう少し一緒にいてもいいかなって思ったんだ」
もちろんそれだけではない。俺の人外の力で誰かを助けられるんだから、使わなければ損というものだからね。
「だから、マシェリーが出ていこうとしない限り、面倒をみるつもりだよ」
「かしこまりました。我々も微力ながらお手伝いいたします」
そうと決まれば、明日の朝にはちゃんとマシェリーと話をしないといけないな……あ、でもまた変な事を言ったりやったりしたら……普通を心がけて……。
いや待て、普通って何なんだ? 自分では何もおかしくないと思っていた事がおかしかったのだから、俺が普通ではないのはわかるが……正解がわからない……。
「ふふ、坊ちゃま……あなたにも、ようやく親しい方ができたのかもしれませんね。それは最悪の出会いでしたが。ですが……一人ぼっちだったあなたにとって、とても素晴らしい一歩になった事……セバスは嬉しく思いますぞ」
「なにを一人でボソボソと喋っているんだ?」
「ただの年寄りの戯言ですよ」
「そうか。それよりも、普通に接したいのに、普通がよくわからないんだ。教えてくれないか?」
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