38 / 74
第三十八話 緊張の実技試験
しおりを挟む
恋心を自覚してから数週間後、私達はついに期末試験の日を迎えていた。
毎日のように勉強をしたおかげで、ソーニャちゃんの筆記試験はかなり余裕があったみたい。エルヴィン様も、筆記はかなりの出来だそうだ。
かくいう私も、筆記はかなり自信がある。これも勉強をしっかりしたおかげだろう。
問題は、午後から行われる実技試験だ。結局、私は今回も魔法を成功させていない。ソーニャちゃんは、また随分と上達したみたいで、とても上機嫌で報告してくれたよ。
「き、緊張してきた……」
「だ、だだだ、大丈夫ですよアイリーンさん!!」
緊張で高鳴る胸を抑えてながら、学園の地下のある控室で待っていると、私以上に緊張しているソーニャちゃんが、私を必死に励ましてくれた。
緊張しているのは私だけじゃないのに、一人で勝手に自分を追い込んで……これじゃダメだよね。もっとしっかりしないと。
「二人共落ち着いて。たくさん練習してきたんだから、きっと大丈夫さ」
「そ、そうですよね……ありがとうございます、エルヴィンさん」
元々魔法が得意なエルヴィン様、そして最近とても上達してきたソーニャちゃんと違い、私だけはいまだに魔法の腕は上達していない。
この中で、きっと一番足を引っ張る可能性があるのは、絶対に私だ。そうならないように、たくさん頑張らなきゃ!
「事前に聞いていた話だと、試験はハイキングのはずですよね? どうして学園の地下に連れて来られたのでしょう?」
「学園の訓練用の施設を使うのだろうね。色々な場面を想定した仮想訓練場で、魔法や魔法剣、魔法薬といったものの実戦練習ができるんだ」
「そういえば、編入試験も、この地下を使いましたね」
少しでも気を紛らわそうと、当たり障りの無い話題を振ると、エルヴィン様が丁寧に説明をしてくれた。
「……あんな奴らに負けていられないな」
「あの獣達は良いとして、問題はエルヴィン様ですわ……油断しないようにしませんと」
一緒の部屋にいた生徒達の声が、聞きたくないのに耳に入ってくる。
私のことは何を言っても構わないけど、ソーニャちゃんのことまで悪く言われるのは許せない。絶対に良い成績を取って、見返してやらないと。
「お待たせしました。これより試験を始めます。まずはチーム番号が一から五までの方々、私についてきてください」
「私達、確か三番でしたよね?」
「そうだね。よし、行こうか」
控室にいた三分の一ぐらいの生徒達が、迎えに来た教師の後について部屋を出ていくと、随分と狭い部屋へと連れて来られた。
こんなところで、ハイキングの試験をするの……? 今部屋には、別の控室から来た生徒も含めて五十人くらいはいて、その人数が何とか入れる程度の広さしかない。
「おや、おやおや? これはお揃いで! まさか一緒のチームになるとは!」
「……ゲオルク様……」
私と目が合ったゲオルク様は、とても愉快そうに笑いながら、私の元へとやってきた。
その腕にはルシア様が抱きつき、ゲオルク様を囲うようにシンシア様とミア様もいる。多分、この四人でチームを組んだのだろう。
試験は全学年合同でやるのはわかっていたけど、まさか一緒の組になるとは思ってなかった。面倒なことにならなければいいのだけど……。
「全員揃いましたね。では試験の内容を説明します。各チームは、道中にあるチェックポイントを通って、山頂にある証を制限時間以内に取ってきて、スタートに戻ってきてください。ルールは特にありません。素直に進むもよし、他のチームを蹴落としてもよし」
そ、想像以上に物騒な試験内容かもしれない……セレクディエ学園って、こんな危険な試験をやるだなんて、全然知らなかった。
「ではみなさん、目を閉じてください」
「……?」
突然の指示に戸惑いつつも目を閉じると、部屋の中に高密度な魔力が充満していくのがわかった。
魔法の才能が無い私でもわかるほどなのだから、よほど強大な魔力が使われていると推測できる。
『はい、目を開けてください』
「えっ……!?」
恐る恐る目を開けると、さっきまで狭い部屋の中にいたはずなのに、いつの間にか緑豊かな山のふもとに立っていた。
そうか、エルヴィン様が言っていたことって、こういうことだったんだ! これなら周りに迷惑をかけないで、試験をすることが出来るね。セレクディエ学園って、やっぱり凄い!
『ここは魔法で作った仮想世界です。現実のみなさんは、先程の部屋の中で眠っている状態になっています。この世界の物に実際に触れたり、食したりすることは可能です。好きなように利用してください。ただし、毒を持った植物もありますし、野生動物もいますのでご注意ください』
ど、どこからかさっきの先生の声がする!? いや、今はそんなことはどうでも良い。それよりも、明らかに危険な内容が含まれていたよね!?
『もちろん、この世界で起こったことは、あなた達の体には影響はありませんが、この世界で受けた疲労や痛みは、本物のように感じますので、ご注意ください』
な、なるほど……仮想世界だからって、油断しないようにしないといけないってことだね。
『では、これからみなさんに試験会場の地図をお渡しします。五分後にスタートの合図を出しますので、それまではその場で待機してください』
その言葉を最後に、先生の声は聞こえなくなった。それから間もなく、私達の前に小さな光の玉がフヨフヨと飛んできて、一枚の紙になった。
「これが地図みたい。私達のいる場所はっと……あれ、エルヴィン様、ソーニャちゃん、これ……いくつかチェックポイントがあって、更に進むと山頂なのがわかるんですけど、地図の一部が赤く点滅しているんです」
「本当だね。ふもとを示しているようだが……」
「も、もしかしたら……わたし達の居場所を示しているのかもしれません」
「確かに! ソーニャちゃん冴えてる!」
私はこういう環境は慣れているけど、貴族やお金持ちの人がこんな環境は大変なんじゃないかって少し思っていたけど、これで迷わないようにしているんだね。
「これなら迷わなさそうですね。始まったら、私が先導します。こういう場所は、とても慣れてるので!」
「君にとっては、この程度の山は庭のようなものだろうね」
「あっ、そういえば……アイリーンさんは、小さい頃からごはんの材料を獲りに行ってるって……言ってましたもんね」
「そうそう! だから、安全な道とか、そういうのがわかると思うんだ!」
「僕は賛成だ。ソーニャは?」
「わたしも異論はありませんっ」
よかった、これで魔法が使えない私でも、二人の助けになれそうだ。
自然の中って、結構危ないことが多いから、しっかりと二人をガイドしないとね。あと、必要かはわからないけど、食べ物が必要になったら、きっと私の知識が役に立つはず!
毎日のように勉強をしたおかげで、ソーニャちゃんの筆記試験はかなり余裕があったみたい。エルヴィン様も、筆記はかなりの出来だそうだ。
かくいう私も、筆記はかなり自信がある。これも勉強をしっかりしたおかげだろう。
問題は、午後から行われる実技試験だ。結局、私は今回も魔法を成功させていない。ソーニャちゃんは、また随分と上達したみたいで、とても上機嫌で報告してくれたよ。
「き、緊張してきた……」
「だ、だだだ、大丈夫ですよアイリーンさん!!」
緊張で高鳴る胸を抑えてながら、学園の地下のある控室で待っていると、私以上に緊張しているソーニャちゃんが、私を必死に励ましてくれた。
緊張しているのは私だけじゃないのに、一人で勝手に自分を追い込んで……これじゃダメだよね。もっとしっかりしないと。
「二人共落ち着いて。たくさん練習してきたんだから、きっと大丈夫さ」
「そ、そうですよね……ありがとうございます、エルヴィンさん」
元々魔法が得意なエルヴィン様、そして最近とても上達してきたソーニャちゃんと違い、私だけはいまだに魔法の腕は上達していない。
この中で、きっと一番足を引っ張る可能性があるのは、絶対に私だ。そうならないように、たくさん頑張らなきゃ!
「事前に聞いていた話だと、試験はハイキングのはずですよね? どうして学園の地下に連れて来られたのでしょう?」
「学園の訓練用の施設を使うのだろうね。色々な場面を想定した仮想訓練場で、魔法や魔法剣、魔法薬といったものの実戦練習ができるんだ」
「そういえば、編入試験も、この地下を使いましたね」
少しでも気を紛らわそうと、当たり障りの無い話題を振ると、エルヴィン様が丁寧に説明をしてくれた。
「……あんな奴らに負けていられないな」
「あの獣達は良いとして、問題はエルヴィン様ですわ……油断しないようにしませんと」
一緒の部屋にいた生徒達の声が、聞きたくないのに耳に入ってくる。
私のことは何を言っても構わないけど、ソーニャちゃんのことまで悪く言われるのは許せない。絶対に良い成績を取って、見返してやらないと。
「お待たせしました。これより試験を始めます。まずはチーム番号が一から五までの方々、私についてきてください」
「私達、確か三番でしたよね?」
「そうだね。よし、行こうか」
控室にいた三分の一ぐらいの生徒達が、迎えに来た教師の後について部屋を出ていくと、随分と狭い部屋へと連れて来られた。
こんなところで、ハイキングの試験をするの……? 今部屋には、別の控室から来た生徒も含めて五十人くらいはいて、その人数が何とか入れる程度の広さしかない。
「おや、おやおや? これはお揃いで! まさか一緒のチームになるとは!」
「……ゲオルク様……」
私と目が合ったゲオルク様は、とても愉快そうに笑いながら、私の元へとやってきた。
その腕にはルシア様が抱きつき、ゲオルク様を囲うようにシンシア様とミア様もいる。多分、この四人でチームを組んだのだろう。
試験は全学年合同でやるのはわかっていたけど、まさか一緒の組になるとは思ってなかった。面倒なことにならなければいいのだけど……。
「全員揃いましたね。では試験の内容を説明します。各チームは、道中にあるチェックポイントを通って、山頂にある証を制限時間以内に取ってきて、スタートに戻ってきてください。ルールは特にありません。素直に進むもよし、他のチームを蹴落としてもよし」
そ、想像以上に物騒な試験内容かもしれない……セレクディエ学園って、こんな危険な試験をやるだなんて、全然知らなかった。
「ではみなさん、目を閉じてください」
「……?」
突然の指示に戸惑いつつも目を閉じると、部屋の中に高密度な魔力が充満していくのがわかった。
魔法の才能が無い私でもわかるほどなのだから、よほど強大な魔力が使われていると推測できる。
『はい、目を開けてください』
「えっ……!?」
恐る恐る目を開けると、さっきまで狭い部屋の中にいたはずなのに、いつの間にか緑豊かな山のふもとに立っていた。
そうか、エルヴィン様が言っていたことって、こういうことだったんだ! これなら周りに迷惑をかけないで、試験をすることが出来るね。セレクディエ学園って、やっぱり凄い!
『ここは魔法で作った仮想世界です。現実のみなさんは、先程の部屋の中で眠っている状態になっています。この世界の物に実際に触れたり、食したりすることは可能です。好きなように利用してください。ただし、毒を持った植物もありますし、野生動物もいますのでご注意ください』
ど、どこからかさっきの先生の声がする!? いや、今はそんなことはどうでも良い。それよりも、明らかに危険な内容が含まれていたよね!?
『もちろん、この世界で起こったことは、あなた達の体には影響はありませんが、この世界で受けた疲労や痛みは、本物のように感じますので、ご注意ください』
な、なるほど……仮想世界だからって、油断しないようにしないといけないってことだね。
『では、これからみなさんに試験会場の地図をお渡しします。五分後にスタートの合図を出しますので、それまではその場で待機してください』
その言葉を最後に、先生の声は聞こえなくなった。それから間もなく、私達の前に小さな光の玉がフヨフヨと飛んできて、一枚の紙になった。
「これが地図みたい。私達のいる場所はっと……あれ、エルヴィン様、ソーニャちゃん、これ……いくつかチェックポイントがあって、更に進むと山頂なのがわかるんですけど、地図の一部が赤く点滅しているんです」
「本当だね。ふもとを示しているようだが……」
「も、もしかしたら……わたし達の居場所を示しているのかもしれません」
「確かに! ソーニャちゃん冴えてる!」
私はこういう環境は慣れているけど、貴族やお金持ちの人がこんな環境は大変なんじゃないかって少し思っていたけど、これで迷わないようにしているんだね。
「これなら迷わなさそうですね。始まったら、私が先導します。こういう場所は、とても慣れてるので!」
「君にとっては、この程度の山は庭のようなものだろうね」
「あっ、そういえば……アイリーンさんは、小さい頃からごはんの材料を獲りに行ってるって……言ってましたもんね」
「そうそう! だから、安全な道とか、そういうのがわかると思うんだ!」
「僕は賛成だ。ソーニャは?」
「わたしも異論はありませんっ」
よかった、これで魔法が使えない私でも、二人の助けになれそうだ。
自然の中って、結構危ないことが多いから、しっかりと二人をガイドしないとね。あと、必要かはわからないけど、食べ物が必要になったら、きっと私の知識が役に立つはず!
272
お気に入りに追加
1,815
あなたにおすすめの小説
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
死に戻りの悪役令嬢は、今世は復讐を完遂する。
乞食
恋愛
メディチ家の公爵令嬢プリシラは、かつて誰からも愛される少女だった。しかし、数年前のある事件をきっかけに周囲の人間に虐げられるようになってしまった。
唯一の心の支えは、プリシラを慕う義妹であるロザリーだけ。
だがある日、プリシラは異母妹を苛めていた罪で断罪されてしまう。
プリシラは処刑の日の前日、牢屋を訪れたロザリーに無実の証言を願い出るが、彼女は高らかに笑いながらこう言った。
「ぜーんぶ私が仕組んだことよ!!」
唯一信頼していた義妹に裏切られていたことを知り、プリシラは深い悲しみのまま処刑された。
──はずだった。
目が覚めるとプリシラは、三年前のロザリーがメディチ家に引き取られる前日に、なぜか時間が巻き戻っていて──。
逆行した世界で、プリシラは義妹と、自分を虐げていた人々に復讐することを誓う。
お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た
【コミカライズ決定】契約結婚初夜に「一度しか言わないからよく聞け」と言ってきた旦那様にその後溺愛されています
氷雨そら
恋愛
義母と義妹から虐げられていたアリアーナは、平民の資産家と結婚することになる。
それは、絵に描いたような契約結婚だった。
しかし、契約書に記された内容は……。
ヒロインが成り上がりヒーローに溺愛される、契約結婚から始まる物語。
小説家になろう日間総合表紙入りの短編からの長編化作品です。
短編読了済みの方もぜひお楽しみください!
もちろんハッピーエンドはお約束です♪
小説家になろうでも投稿中です。
完結しました!! 応援ありがとうございます✨️
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる