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第五十話 努力は報われる
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爆発した音と衝撃に驚いてしまった私は、小さく悲鳴を上げながら尻餅をついてしまった。
いたた……うぅ、まさか爆発をするなんて思ってもなかったわ。運が良かったのか、ケガはせずに済んだみたいだけど……試験管は粉々だし、中に入っていた薬品も飛び散ってしまった。
「一発で成功したかと思ったけど、そんな甘いわけはないか」
口では冷静を装ってみたけど、内心では焦りを隠せなかった。普通の実験とかなら、何度失敗しても次に活かせばいいけど……私にはそんな時間なんて、一秒たりとも無いのだから。
「大丈夫、まだ薬は残ってる……次こそ成功させるわ!」
気を取り直して、私は失敗したものを掃除してから、もう一度同じ手順で薬を混ぜ、魔法を使う。すると、今度は爆発はしなかったけど、凄く眩しく光ってしまった。
「め、目がチカチカする……おかしい、このやり方で光るだなんて聞いたことが無い。やっぱり失敗しているんだ……」
最終的に、上手くいくと薬がどんな見た目になるかはわかっている。だから、それ以外の反応が出たら、確実に失敗しているということだ。
ちょっとくらい違う反応が出ても良いだろうと思う人がいるかもしれないけど、想定通りに作らないと、思っていた薬効と違う可能性が大きい。そんなもの、病人やケガ人には飲ませられないでしょう?
「も、もう一回!」
三度目の正直――とはならず、今度はモクモクと煙が立ち込めてきた。それが、ただ煙いだけでおさまらず、くしゃみが止まらなくなってしまった。
「くしゅん! はっくしゅん! ま、また失敗……」
やっぱりいくら知識があっても、魔法の才能が無い私には無理なのだろうか……そんな悪い考えが一瞬頭を過ぎったが、すぐにそんな考えは捨てた。
あのシャフト先生だって、いつも実験は失敗してるくらい、魔法薬は難しいものだ。私みたいな無能は、回数でカバーするしかない!
「も、もうい、っかい……」
四度目の挑戦をしようとしたが、突然激しい疲労感に襲われて座り込んでしまった。
マンドラゴラの時に魔力を使ってしまった上に、最後の仕上げでも魔力を使ってしまったせいで、疲労が溜まってしまったのだろう。いくら魔法薬を作るのに、魔力はそんなにいらないとは言え、私の少ない魔力ではそれすら大変だということだ。
「ちょっとだけ休憩してから、再開しましょう……」
本当はもっと回数を重ねたいところだけど、無理してやったところで更に悪い品質になってしまう。下手したら、事故が起きて大ケガを負ってしまう可能性だってある。
そう、これは必要な休憩。それはわかってるのに、気ばかりが焦り、嫌な考えが頭を過ぎり続ける。
どうせ私じゃ間に合わない――
私なんかじゃ薬なんて作れやしない――
無能な私にはレオ様を助けられない――
「くっ……無能とか、今はそんなことを考えている場合じゃないのに! 他の人が来れない以上、私がやるしかないんだから!」
気合いで立ち上がろうとしたけど、すぐに膝が折れてしまい、倒れこんでしまった。
やっぱり、かなり体に来ているのがわかる。でも、やらなきゃいけないんだ!
今日何度目かわからない、気合の入れ直しを行った私はもう一度魔法薬の仕上げに取り掛かる……が、グツグツと煮え始めてしまい、失敗に終わった。
「もう、いっ……か、い……」
なんとか試験管を手に持ったが、今までの失敗から蓄積されてきた気持ちが爆発してしまい、涙が零れ落ちた。
「出来ない……私には、出来ない……?」
悔しくて、悲しくて、そしてレオ様に申し訳なくて――私は大粒の涙を流し続ける。
もっと私に才能があれば、もっと家族が優しければ、もっと出会った頃の彼に優しくしていれば。どれか一つでも満たしていれば、こんなことは回避できたはずなのに……!
『ちょっと、さっきは元気だったのに、急にどうしちゃったのさ』
「だって……いくら作っても、失敗ばかりで……」
『明らかに疲れすぎだよ、私。ちょっと休んだ方がいいよ』
頭の中に聞こえる過去の私の声の言うことは正しい。でも、呑気に休んでいる間に、レオ様はどんどん苦しむと思うと……!
『時間はまだあるんだよね。ならそこまで休むといいよ!』
「そんなに休むの!?」
『ただでさえ難しんだから、沢山休んで最高の魔法をすればいいのよ!』
その言葉を最後に、幼い私の声は聞こえなくなった。
……認めたくないけど、回数を重ねれば重ねる程、魔力の供給が疎かになってた。やっぱり休憩した方が良いかもしれない。
「……レオ様の顔が見たい……声が聞きたい……」
きっとレオ様なら、こんなことが出来て凄いとか、アメリアなら出来るとか、たくさん褒めてくれるだろう。
それはとても暖かくて、嬉しくて。無くなってみて、思っていたよりも何百倍も、私にとって大切だったんだ。
「その大切な人を守るには……」
私は椅子に深く座り、手を軽く組んでおでこの所に持っていくと、そのまま目を瞑ってゆっくりと呼吸を始める。
時間は……まだあるけど、既に夜にはなっている。このまま呑気にしていたら、タイムリミットになってしまう。
でも焦らない。ううん、体全部で焦ろうとしているのを抑えている。そうじゃないと、万全じゃないのに作ろうとしてしまう。
「すー……ふー……」
しばらく休憩しながら、レオ様とのことを思いだす。
初めて会ったのは深い森の中だったわ。凄く怯えてたけど、何とか仲良くなれましたね。クローバーも分け合って……また会おうって約束もしてくれましたね。
それからしばらく経った後、あなたは努力と運で私の隣に来てくれましたね。正直、最初はこの人何なんだろうと思ってましたが、正体を知った今だと……嬉しかったです。
一緒に暮らし、他愛ないお喋りをしたり、お姫様抱っこをされたり、デートをしたり……色んなことをしてきましたね。
でもね、私はこれでまだ終わりにしたくない。レオ様ともっといろんなことがしたいし、行きたいんです。それに、もっと恩返しもしないといけないんです。
「だから、私……頑張ります。安心して待っててください」
保健室にいるであろうレオ様に声をかけてから、私は再び休息に入る。ここで魔力を回復して、一発で決めてみせるわ!
****
空が少しずつ明るくなり始めた頃、私は休憩を終え、再び二つの薬品の前に立った。
「もう私は、あの時の私じゃない。私には、大切な人を治せる力があるんだ! 今度こそ、レオ様を……愛する人を助けるんだ!」
私は量を間違えないように、事前に作った薬を混ぜる。これで丁度無くなってしまった。次失敗したら、またそこからやり直しになるわ。
そうなったら、時間的に絶対に間に合わないだろう。ミスは絶対に許されない。
「ここが最後の勝負……大丈夫……きっと出来る……ううん、そうじゃない。私は……必ず出来る!!」
一旦言葉を区切ってから、私は両手で思い切り両頬をバチン!! っと叩いた。
さあ、気合は入ったわ。あとは薬の配分を間違えないように入れて……よし。
さっき作った薬は、完全に分量のミスは無かった。ここまではうまくいくんだけど……。
「……よしっ」
これもさっきと同じように、二つの魔法陣が重なり、試験管を暖かい光に包む。
ここまではうまくいく。でもここから魔力コントロールがブレて失敗してしまう。爆発とかが良い例だ。
「あくまで冷静に、心を穏やかに……」
焦りたくなる気持ちをグッと抑え、目を閉じながら魔法陣を通して薬に最後の手順を踏んでいく。
今度こそ、私がレオ様を助けるんだ。あの笑顔を取り戻すために……こんなところで負けるわけにはいかない。私なら出来る。大丈夫、大丈夫……。
「ふぅ……ど、どうかしら……お願い、成功してて……!」
半ばすがる思いで、ゆっくり目を開けて薬を確認した。そこにあったのは、透明な液体が入った試験管だった。
この方法で、透明の液体が出来て、他に何も反応が無かった。それは……成功の証だ。
「やった、やたっ、やったー! はぁ……はぁ……! 私、でき……た……」
ついに出来た魔法薬。その安心感と疲労感で、私の体はついに限界に来ていた。もう立っているのが困難で、前のめりに倒れる一歩手前になっていた。
「あっ……」
もう私には、体を支える力は残されていなかったようだ。何とも間抜けな声を出しながら、体がどんどんと前に倒れて行くのを感じた。
私の前には、せっかく完成させた薬があるのに、このまま倒れた、きっとぶつかって零してしまう。そうなったら、全てが水の泡だ。
それはわかってるのに、体に力が入らない。完全に魔力を使いすぎた。
こんなところでも、無能を発揮するなんて……私って何なんだろう……なんで生まれてきちゃったんだろう……レオ様、本当にごめんなさい……。
いたた……うぅ、まさか爆発をするなんて思ってもなかったわ。運が良かったのか、ケガはせずに済んだみたいだけど……試験管は粉々だし、中に入っていた薬品も飛び散ってしまった。
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口では冷静を装ってみたけど、内心では焦りを隠せなかった。普通の実験とかなら、何度失敗しても次に活かせばいいけど……私にはそんな時間なんて、一秒たりとも無いのだから。
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気を取り直して、私は失敗したものを掃除してから、もう一度同じ手順で薬を混ぜ、魔法を使う。すると、今度は爆発はしなかったけど、凄く眩しく光ってしまった。
「め、目がチカチカする……おかしい、このやり方で光るだなんて聞いたことが無い。やっぱり失敗しているんだ……」
最終的に、上手くいくと薬がどんな見た目になるかはわかっている。だから、それ以外の反応が出たら、確実に失敗しているということだ。
ちょっとくらい違う反応が出ても良いだろうと思う人がいるかもしれないけど、想定通りに作らないと、思っていた薬効と違う可能性が大きい。そんなもの、病人やケガ人には飲ませられないでしょう?
「も、もう一回!」
三度目の正直――とはならず、今度はモクモクと煙が立ち込めてきた。それが、ただ煙いだけでおさまらず、くしゃみが止まらなくなってしまった。
「くしゅん! はっくしゅん! ま、また失敗……」
やっぱりいくら知識があっても、魔法の才能が無い私には無理なのだろうか……そんな悪い考えが一瞬頭を過ぎったが、すぐにそんな考えは捨てた。
あのシャフト先生だって、いつも実験は失敗してるくらい、魔法薬は難しいものだ。私みたいな無能は、回数でカバーするしかない!
「も、もうい、っかい……」
四度目の挑戦をしようとしたが、突然激しい疲労感に襲われて座り込んでしまった。
マンドラゴラの時に魔力を使ってしまった上に、最後の仕上げでも魔力を使ってしまったせいで、疲労が溜まってしまったのだろう。いくら魔法薬を作るのに、魔力はそんなにいらないとは言え、私の少ない魔力ではそれすら大変だということだ。
「ちょっとだけ休憩してから、再開しましょう……」
本当はもっと回数を重ねたいところだけど、無理してやったところで更に悪い品質になってしまう。下手したら、事故が起きて大ケガを負ってしまう可能性だってある。
そう、これは必要な休憩。それはわかってるのに、気ばかりが焦り、嫌な考えが頭を過ぎり続ける。
どうせ私じゃ間に合わない――
私なんかじゃ薬なんて作れやしない――
無能な私にはレオ様を助けられない――
「くっ……無能とか、今はそんなことを考えている場合じゃないのに! 他の人が来れない以上、私がやるしかないんだから!」
気合いで立ち上がろうとしたけど、すぐに膝が折れてしまい、倒れこんでしまった。
やっぱり、かなり体に来ているのがわかる。でも、やらなきゃいけないんだ!
今日何度目かわからない、気合の入れ直しを行った私はもう一度魔法薬の仕上げに取り掛かる……が、グツグツと煮え始めてしまい、失敗に終わった。
「もう、いっ……か、い……」
なんとか試験管を手に持ったが、今までの失敗から蓄積されてきた気持ちが爆発してしまい、涙が零れ落ちた。
「出来ない……私には、出来ない……?」
悔しくて、悲しくて、そしてレオ様に申し訳なくて――私は大粒の涙を流し続ける。
もっと私に才能があれば、もっと家族が優しければ、もっと出会った頃の彼に優しくしていれば。どれか一つでも満たしていれば、こんなことは回避できたはずなのに……!
『ちょっと、さっきは元気だったのに、急にどうしちゃったのさ』
「だって……いくら作っても、失敗ばかりで……」
『明らかに疲れすぎだよ、私。ちょっと休んだ方がいいよ』
頭の中に聞こえる過去の私の声の言うことは正しい。でも、呑気に休んでいる間に、レオ様はどんどん苦しむと思うと……!
『時間はまだあるんだよね。ならそこまで休むといいよ!』
「そんなに休むの!?」
『ただでさえ難しんだから、沢山休んで最高の魔法をすればいいのよ!』
その言葉を最後に、幼い私の声は聞こえなくなった。
……認めたくないけど、回数を重ねれば重ねる程、魔力の供給が疎かになってた。やっぱり休憩した方が良いかもしれない。
「……レオ様の顔が見たい……声が聞きたい……」
きっとレオ様なら、こんなことが出来て凄いとか、アメリアなら出来るとか、たくさん褒めてくれるだろう。
それはとても暖かくて、嬉しくて。無くなってみて、思っていたよりも何百倍も、私にとって大切だったんだ。
「その大切な人を守るには……」
私は椅子に深く座り、手を軽く組んでおでこの所に持っていくと、そのまま目を瞑ってゆっくりと呼吸を始める。
時間は……まだあるけど、既に夜にはなっている。このまま呑気にしていたら、タイムリミットになってしまう。
でも焦らない。ううん、体全部で焦ろうとしているのを抑えている。そうじゃないと、万全じゃないのに作ろうとしてしまう。
「すー……ふー……」
しばらく休憩しながら、レオ様とのことを思いだす。
初めて会ったのは深い森の中だったわ。凄く怯えてたけど、何とか仲良くなれましたね。クローバーも分け合って……また会おうって約束もしてくれましたね。
それからしばらく経った後、あなたは努力と運で私の隣に来てくれましたね。正直、最初はこの人何なんだろうと思ってましたが、正体を知った今だと……嬉しかったです。
一緒に暮らし、他愛ないお喋りをしたり、お姫様抱っこをされたり、デートをしたり……色んなことをしてきましたね。
でもね、私はこれでまだ終わりにしたくない。レオ様ともっといろんなことがしたいし、行きたいんです。それに、もっと恩返しもしないといけないんです。
「だから、私……頑張ります。安心して待っててください」
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****
空が少しずつ明るくなり始めた頃、私は休憩を終え、再び二つの薬品の前に立った。
「もう私は、あの時の私じゃない。私には、大切な人を治せる力があるんだ! 今度こそ、レオ様を……愛する人を助けるんだ!」
私は量を間違えないように、事前に作った薬を混ぜる。これで丁度無くなってしまった。次失敗したら、またそこからやり直しになるわ。
そうなったら、時間的に絶対に間に合わないだろう。ミスは絶対に許されない。
「ここが最後の勝負……大丈夫……きっと出来る……ううん、そうじゃない。私は……必ず出来る!!」
一旦言葉を区切ってから、私は両手で思い切り両頬をバチン!! っと叩いた。
さあ、気合は入ったわ。あとは薬の配分を間違えないように入れて……よし。
さっき作った薬は、完全に分量のミスは無かった。ここまではうまくいくんだけど……。
「……よしっ」
これもさっきと同じように、二つの魔法陣が重なり、試験管を暖かい光に包む。
ここまではうまくいく。でもここから魔力コントロールがブレて失敗してしまう。爆発とかが良い例だ。
「あくまで冷静に、心を穏やかに……」
焦りたくなる気持ちをグッと抑え、目を閉じながら魔法陣を通して薬に最後の手順を踏んでいく。
今度こそ、私がレオ様を助けるんだ。あの笑顔を取り戻すために……こんなところで負けるわけにはいかない。私なら出来る。大丈夫、大丈夫……。
「ふぅ……ど、どうかしら……お願い、成功してて……!」
半ばすがる思いで、ゆっくり目を開けて薬を確認した。そこにあったのは、透明な液体が入った試験管だった。
この方法で、透明の液体が出来て、他に何も反応が無かった。それは……成功の証だ。
「やった、やたっ、やったー! はぁ……はぁ……! 私、でき……た……」
ついに出来た魔法薬。その安心感と疲労感で、私の体はついに限界に来ていた。もう立っているのが困難で、前のめりに倒れる一歩手前になっていた。
「あっ……」
もう私には、体を支える力は残されていなかったようだ。何とも間抜けな声を出しながら、体がどんどんと前に倒れて行くのを感じた。
私の前には、せっかく完成させた薬があるのに、このまま倒れた、きっとぶつかって零してしまう。そうなったら、全てが水の泡だ。
それはわかってるのに、体に力が入らない。完全に魔力を使いすぎた。
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