そこは獣人たちの世界

レクセル

文字の大きさ
上 下
260 / 303
第三章

塔20階へ

しおりを挟む
炎フロアの11から14階は予想どおり上に行くほどひどくなっていった。ただ炎が床から噴き出してるのなんて甘かった。次の階では炎の玉が左右に飛んでいた。進むのにそれほど困らない程度だけどところどころの床から炎も噴出していて、嫌な予感がしたもんだ。
13階ではその嫌な予感が的中。炎の柱の数が増えて飛び交う炎の玉が見づらくなっていた。進行ルートも限られていてさすがに安全面を考慮してウォーターバレットを展開しながら進んだ。14階はさらにひどく炎の柱でできた道をたどろうとすれば正面から炎の玉が跳んでくるのだ。しかも間隔がかなり早いのでいちいち飛び越えてたら危ないくらいに。
一部の炎の玉はウォーターバレットを盾にして受けれたけど、僕が水の加護を持ってなかったらきつかっただろう。魔素纏いがもっとすごい人ならこのくらい受け流せるのかもしれないけど。
15階はほんとに殺そうとしてくるような仕掛けらしき仕掛けは何もなかった。10階で見たあのリス種の人を呼ぶための赤い水晶のような魔道具があるだけだ。もちろん無視して先に進んだけど。

「水じゃないんだ。でも、これやばいよね。」

ちょっと火の次は水系のトラップかと想像していたんだけど、まさかの雷だった。雷というか電気といった方がいいかもしれない。バチバチと音が鳴るほどに放電する棒が床から天井まで通っている。
時々電気の流れが止まるタイミングがあるし、ところどころ間隔の広いところもあるからそこで休みながら行くのがいいだろう。棒と棒の間隔が狭いところは電気が流れ始めるとその棒同士に時々電流が流れてる。元の世界で無防備に当たったら即死級だ。
慎重になりすぎちゃいけないけど焦ってはいけない。休めそうなくらいに広い場所にまで電流の無い間に一気に駆け抜ける。また電流が始まる。この場所だって安全とは言い切れない。屈みながら様子を伺い、また電流の無い間に進む。3回目で階段まで突破できたけど、これってガロが使う雷装の応用なのだろうか。ガロの雷のほうが元すごかったけど。
17階ではうれしくないことに棒が左右に動き始めていた。よく床を見れば棒が動くためのレールみたいのが見える。ちょっとレールをずらして壁から壁に一周させてるんだ。休めそうなスペースを探すのが難しそうだ。かなり危険だけど土のソイルバレットを展開しつつ狭めの隙間も通りながら一気に抜けた。幸い電流には当たらなかったけど、保険は必要だよね。ただ魔素を無駄に使った感は否めない。

「え、えぇ、水ここでか・・・」

思わず声が漏れたのもしょうがないだろう。階段手前とところどころにある少しの足場以外が水ガ貯められていた。16と17階の階段よりもちょっと長く感じたのが気のせいじゃなかったってことだ。
もちろん水だけじゃない。電流の流れる棒もそこら中に配置されている。つまり電気が流れている間は水にも電流が流れることに。あの足場を渡っていけってことだろうけど、場所によっては棒と棒の間隔の狭いところにある足場もある。どこに乗るか考えて進むことになる。
針の時と炎の時のように多分ちゃんとしたルートがあるんだろう。ただ今回は棒が規則的に配置されてないせいで分かりづらいだけなんだと思う。ずっと観察してればわかるかもだけど、ソイルバレットを展開しながらちょっと強引に突破してしまった。
もちろんある程度は乗る足場は考えたけど、ソイルバレットにちょっと電流が当たってヒヤッとしたもんだ。バレットは崩れたけど僕自身に当たらなかったので展開しておいてよかっただろう。
そして19階は足場がさらに狭くなって一応止まっていられるけど、くらいの狭さその近くを棒が動いている。17階と同じような仕組みなんだろうけど動きが早い。休めそうな場所はないといってもいいだろう。一気に駆け抜けたほうがいいかもしれないくらいだ。だが電流を考えれば水に足をつけておくのは愚策なんだよね。

「やるしかないか。」

ドラドさんの浮島をみてから練習してきたのを使うときが来たわけだ。足場としてストーンバレットを浮かせて踏み台にするんだ。土よりも石にしてましとはいえ、進むために強く踏みこめば崩れてしまうのに変わりない。安定しているとはいいがたいけど、あの足場ぢゃすむよりはたぶんましだろう。
電流よけに体の周りにソイルバレット、足場としてストーンバレット。同じ土属性だけどこの二つを同時に使ったのは何気に初めてかもしれない。まぁ他の属性を同時に使うよりは楽なもんだ。結構な数のソイルバレットに電流が当たって崩れたけど、僕の体には当てずに何とか突破して20階の休憩スペースについた。
15階と違って窓もある。外を見ればそこそこ日も高くなり始めていた。少し早いけど、ちょっと疲れもあってそこで昼食にすることに。まぁマジックポーチに入ってるサンドイッチをベットに腰掛けながら食べただけだけど。
マヨネーズたっぷりの焼き肉サンドをほおばって元気も復活したので21階にと上がると、そこら中に樹が生えていた。ここまでよりも危険には見えなかったけど、何かしらあるはずだ。試しにファイアバレットを樹にとぶつけると、ぶつけた個所からぶっとい螺旋の槍状になった樹がこっちに伸びてきた。
慌ててよけたけど、近くで見ると樹の枝が絡まって槍の形を形成しているのがよくわかる。少しすると伸びてきた部分が引っ込んでいく。つまり今度はこの樹に触れてすらいけないってことなんだろうなこれ。最悪触れてもよけれるかもしれないけど、危険なことに変わりはない。来た時は炎とか電気のほうが危険にも思えたけど、そう安心させる手だったのかもと思いつつ進み始めた。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 独自設定、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...