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第二章
水竜の力
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王都のギルドというだけあって、地下訓練場が広くてはいれる場所が15もある。というか階段的にもう一つ下の階もあるみたいで、そっちも訓練場だそうだ。あいてる場所が一つだけあったのでそこに入っていく。
3人とも入ればガロが慣れた手つきで壁の魔道具に触り結界をだし、カレントさんが木の十字型の的を壁の収納から取り出して設置していた。
「よし、これにお前の一番強い魔法を打ち込んでみろ。」
「わかった。」
「キオ・・・いや、好きにやってみろ。」
ガロは何か言いたげだったけど思うようにやらせてくれるらしい。魔物を倒す威力的にはサンダーショットだけど、今一番強い魔法はたぶんウォーターガンだ。ただ水竜と呼ばれてるような人相手に水の魔法を見せていいんだろうか?
いや、こういう相手に無難に見せてもしょうがないか。一番慣れている水で、ウォーターガンで行こう。
そうと決まれば話は早い。集中する時間はそれほど取らず、両手を構えて魔素纏いの要領で作る魔素の筒を作り出す。自分には見えてないけど、そこにあるとはなんとなく感じられる。その中に合うように以前作り出したガン専用の魔法弾を作り出し、放つ。
「ウォーターガン!」
ドンッと鈍い音が手元で響くが、両手を構えていたからか、腕に痛みはない。発射された水の弾丸はまっすぐに木の的に向かい、そして貫いて向こう側の壁にぶち当たってはじけ飛んだ。
「今のがウォーターガン?なんちゅう威力だよ。」
「以前よりも威力が上がってる!?キオ、腕は平気か?」
「え?うん。痛みは全くなかったよ?」
そういえば以前は的じゃなく壁に当たってはじけ飛んだのを見たけど、同じようなはじけ方だったはず。あ、そうか、木の的を貫通してから壁に当たってるから同じなのがおかしいか。
「おいおいおい、入れてた情報じゃギルドに入ったころはバレットを覚えていたはずなんだが、それでこの威力をガンで出せるものなのか?あの木の的に食い込めばいいほう、的を少し削ってはじけ飛ぶもんだと思ってたぞオレは。」
「どこからその情報を入れたんだ?まぁあってる情報だが。」
「あってるのか。オレでもガンであんなきれいに貫けるようになるにはかなり苦労したんだぞ。」
僕は自分の魔法を覚えたときの情報を仕入れられてるのに驚いたけど、カレントさんは僕がウォーターガンで貫いた部分を見て驚いてるようだ。
「ほぉ、カレントにこれほど繊細に貫くことができたのか。意外だな。」
「どういういみだぁそれぇ?まぁいい。ガンとしての威力は確かにすごいようだが、オレが真の水魔法ってのを見せてやるよ。」
「え、あ、はい、おねがいします?」
確か僕の実力も見るって話だったはずだけど、一応は認められたってことかな?それとも差を見せつけてやるってことかな?
「キオ、とりあえずこっちこい。そこにカレントが立つから邪魔になる。」
「りょ、了解。」
僕の隣にまでカレントさんが来てて、ガロに急ぐように手招きされたので慌ててガロの横に移動する。僕の立っていた位置にカレントさんが付くとさっきまでの高圧的ですこしチャラけていた雰囲気が一転。静かにそれでいて凄みのある雰囲気になる。
カレントさんの体の周りに水が舞い始める。カレントさんの着る青い服と青いうろこがこちらから見ていると水の青さを増し、思わずきれいだと思ってしまう。
カレントさんが片腕を前に突き出すと、体の周りを待っていた水が手の前にと集まっていく。ガロが僕のほうにと寄って、腕で軽く後ろに下がらせてきた。
「化身!水龍砲!」
的に向かって水が放たれる。それがただの水ではなく、まるでカレントさん自身をかたどったような水の竜の姿になり、その水の竜が水の爪を立て、的を引き裂き、牙で砕き、破片もろとも的すべてを押し流していった。
圧倒、そういうしかないだろう。確かに僕の魔法はきれいに木の的を貫いたかもしれない。でもあんな風に的すべてを飲み込むような水を作り出すことはできない。それどころか爪で切り裂き、牙で砕くなんて高等なのはもっと無理だと思える。この先もできるのかどうか。
「キオ、気にするな。あいつは確かにあんなだが、あの魔法にだけはこだわりを持ち、あれだけのことができるまでに進化させたんだ。ビャクラクのじじいよりも水に関しては上といえる。」
「ふん!驚いただろ?まぁFとSの差はこれほどあるということだ。だがガロ、お前だって威力も操作性もキオより上だろ?見せてやってないのか?」
「キオに合わせて色々見せていってる。いきなりそんなすごいのを見せられたら差を感じすぎるだろ。」
あぁ、なるほど、僕のことを思ってある程度見せるものを抑えてたわけなのか。つまりガロもこれくらいのことはできるといってもいいと。
「ありがとうございますカレントさん。僕が目指さなきゃいけないところがわかりました。」
「ありがとうってなお前。いや、それより、丁寧にしなくていいし、さんなんてやめろ。呼び捨てでいい。それか水竜とよべ!」
「わ、わかったよ、えっと水竜?」
「あぁ!」
どうやらガロが雷剣と呼ばれるのとは違って水竜と呼ばれるのを誇りに思ってるし、そう呼ばれるのがうれしいようだ。まぁあんな魔法になるまでわざわざいろいろやって、その成果ならうれしいのかな?
3人とも入ればガロが慣れた手つきで壁の魔道具に触り結界をだし、カレントさんが木の十字型の的を壁の収納から取り出して設置していた。
「よし、これにお前の一番強い魔法を打ち込んでみろ。」
「わかった。」
「キオ・・・いや、好きにやってみろ。」
ガロは何か言いたげだったけど思うようにやらせてくれるらしい。魔物を倒す威力的にはサンダーショットだけど、今一番強い魔法はたぶんウォーターガンだ。ただ水竜と呼ばれてるような人相手に水の魔法を見せていいんだろうか?
いや、こういう相手に無難に見せてもしょうがないか。一番慣れている水で、ウォーターガンで行こう。
そうと決まれば話は早い。集中する時間はそれほど取らず、両手を構えて魔素纏いの要領で作る魔素の筒を作り出す。自分には見えてないけど、そこにあるとはなんとなく感じられる。その中に合うように以前作り出したガン専用の魔法弾を作り出し、放つ。
「ウォーターガン!」
ドンッと鈍い音が手元で響くが、両手を構えていたからか、腕に痛みはない。発射された水の弾丸はまっすぐに木の的に向かい、そして貫いて向こう側の壁にぶち当たってはじけ飛んだ。
「今のがウォーターガン?なんちゅう威力だよ。」
「以前よりも威力が上がってる!?キオ、腕は平気か?」
「え?うん。痛みは全くなかったよ?」
そういえば以前は的じゃなく壁に当たってはじけ飛んだのを見たけど、同じようなはじけ方だったはず。あ、そうか、木の的を貫通してから壁に当たってるから同じなのがおかしいか。
「おいおいおい、入れてた情報じゃギルドに入ったころはバレットを覚えていたはずなんだが、それでこの威力をガンで出せるものなのか?あの木の的に食い込めばいいほう、的を少し削ってはじけ飛ぶもんだと思ってたぞオレは。」
「どこからその情報を入れたんだ?まぁあってる情報だが。」
「あってるのか。オレでもガンであんなきれいに貫けるようになるにはかなり苦労したんだぞ。」
僕は自分の魔法を覚えたときの情報を仕入れられてるのに驚いたけど、カレントさんは僕がウォーターガンで貫いた部分を見て驚いてるようだ。
「ほぉ、カレントにこれほど繊細に貫くことができたのか。意外だな。」
「どういういみだぁそれぇ?まぁいい。ガンとしての威力は確かにすごいようだが、オレが真の水魔法ってのを見せてやるよ。」
「え、あ、はい、おねがいします?」
確か僕の実力も見るって話だったはずだけど、一応は認められたってことかな?それとも差を見せつけてやるってことかな?
「キオ、とりあえずこっちこい。そこにカレントが立つから邪魔になる。」
「りょ、了解。」
僕の隣にまでカレントさんが来てて、ガロに急ぐように手招きされたので慌ててガロの横に移動する。僕の立っていた位置にカレントさんが付くとさっきまでの高圧的ですこしチャラけていた雰囲気が一転。静かにそれでいて凄みのある雰囲気になる。
カレントさんの体の周りに水が舞い始める。カレントさんの着る青い服と青いうろこがこちらから見ていると水の青さを増し、思わずきれいだと思ってしまう。
カレントさんが片腕を前に突き出すと、体の周りを待っていた水が手の前にと集まっていく。ガロが僕のほうにと寄って、腕で軽く後ろに下がらせてきた。
「化身!水龍砲!」
的に向かって水が放たれる。それがただの水ではなく、まるでカレントさん自身をかたどったような水の竜の姿になり、その水の竜が水の爪を立て、的を引き裂き、牙で砕き、破片もろとも的すべてを押し流していった。
圧倒、そういうしかないだろう。確かに僕の魔法はきれいに木の的を貫いたかもしれない。でもあんな風に的すべてを飲み込むような水を作り出すことはできない。それどころか爪で切り裂き、牙で砕くなんて高等なのはもっと無理だと思える。この先もできるのかどうか。
「キオ、気にするな。あいつは確かにあんなだが、あの魔法にだけはこだわりを持ち、あれだけのことができるまでに進化させたんだ。ビャクラクのじじいよりも水に関しては上といえる。」
「ふん!驚いただろ?まぁFとSの差はこれほどあるということだ。だがガロ、お前だって威力も操作性もキオより上だろ?見せてやってないのか?」
「キオに合わせて色々見せていってる。いきなりそんなすごいのを見せられたら差を感じすぎるだろ。」
あぁ、なるほど、僕のことを思ってある程度見せるものを抑えてたわけなのか。つまりガロもこれくらいのことはできるといってもいいと。
「ありがとうございますカレントさん。僕が目指さなきゃいけないところがわかりました。」
「ありがとうってなお前。いや、それより、丁寧にしなくていいし、さんなんてやめろ。呼び捨てでいい。それか水竜とよべ!」
「わ、わかったよ、えっと水竜?」
「あぁ!」
どうやらガロが雷剣と呼ばれるのとは違って水竜と呼ばれるのを誇りに思ってるし、そう呼ばれるのがうれしいようだ。まぁあんな魔法になるまでわざわざいろいろやって、その成果ならうれしいのかな?
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