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第1章 異世界転生
第61話
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屋敷に戻る前にこれから俺たちがどう行動すべきか二人に意見を聞いてみる。今この年齢、この状況で神託が出た事実に意識的なものも含めて、いろいろ修正していかなければいけないだろう。
「これからどうしようか迷ってるんだけど何か良い案はある?本来なら学園に入って勉学に励むのが流れだろうけど、こうなってはそうもいかなくなると思うんだ」
「そうですね。はっきり言ってしまえば、今の私達が学園に行っても学ぶ事は多くは無いでしょう。それに、もし勉強が必要なら、私かジュリエッタが教えてさしあげます」
「そうね。今更作法や算術なんかの勉強は必要ないかもね。それに私達がいくら基礎値が高いからといって、魔王軍とまだ戦えるほど甘いあいてじゃない…もし私が決めていいなら、フェミリエとミラと早めに合流して、日ごろの鍛錬を続けながら迷宮でレベルアップを目指すのがいいと思うけどどうかな?」
「私もジュリエッタの意見に賛成です」
神様の所でエルフと獣人の二人の姿を見たけど、中々の美人さんだったな。あの二人が仲間にね…おっと。いかんいかん。何考えてんだオレは…
「その二人は仲間になってくれるのか?それに基礎値が現在の僕らに比べたら低いから、言い方は悪いけど入口を間違えたら足手まといにしかならないからな。もし居場所が分かっているなら今からでも手紙を書いて、時期がくるまで鍛錬をするように書いたらどうだろうか?」
「ふふふ。もう1年前に手紙は送ったわよ」
「えっ!本当に?流石と言うか抜け目ないな~」
「当然よ。彼女達は転生前に魔王軍と一緒に戦った戦友ですもの。ほとんど記憶は消されちゃったけど、また一緒に旅に出て共に戦いたい。そう思ったらいても経ってもいられなくなってね」
「神様は何も言ってなかったけど二人の記憶はどこまで残ってるんだろう?記憶が無かったら知らない女性からの手紙なんてただの怪文書じゃないか?」
「神様がなんとかしてくれるよ。きっと…」
『神頼みかよ!』
「それから。マイアはこの国の姫君だろ?長期の旅なんて許されるのか?野宿する事もあるだろうし」
そういうと、マイアの顔が強張ったと思うと呆れた顔になる。
「この国が滅びようとしているのに、私だけこの王都に残れと仰るのですか?あり得ません。そもそも私は…これは言うべきじゃありませんね。先ほども言いましたがヴェルの隣に一生いると言いました。死んでも付いて行きます」
何を言いたかったんだろうか?だがマイアの決心は固いようだな。
「この件については、陛下にお伺いを立ててからにしよう」
「責任問題にもなりますし、分かりました。私が直談判します」
「うん。それでいいよ。それとさ、旅に出るなら馬車とかも用意しないといけないな。他国に行くのに王室の馬車で行くわけにもいかないし」
「そうね。他国の王女が行くとなれば、外交から始めないといけないから時間が掛かるわね。ここは身分を隠していくのがいいと思うわ」
「そうですね。その件も含めてお父様に相談してみます。それから、勧誘する二人が神託の儀を受けられるのは1年後ですよね?基礎値が上がるとしてもレベルが上がらないんじゃ意味が無くありませんか?」
「そこは心配しなくてもいいんじゃない?基礎値が高ければ高いほどアドバンテージになるのは間違いないわ。これは事実よ。レベリングは急がなくても一緒に行動していけば時間が解決してくれるわよ」
「そうか。そうだろうな。じゃあ次だ。シャロンさん、レリクさん、じいやさんにどう話をする?隠しておいたほうがいい?」
「隠すのは下策だわ。自分たちの行動に制限をかける必要は無いでしょう。あの3人が誰かに話すとも思えないし、きっと協力をしてくれるわよ」
「もし不安でしたら、契約の魔道具を使ったらようのでは?」
今名前を出した3人は既に一蓮托生の仲と言って良い。だからと言って旅に巻き込んでいいわけでも魔王軍と戦う事を強要していいわけでもない。
しかしながら、全てを話して外部に漏れると世界が混乱しかねない。ま、子供の言う事をまともに聞くかどうかは別としてもだ。
そんな訳で3人には、絶対に口外しないと言う魔道具である契約書を使って契約を結ぶ事にした。もしこの契約を結びんだ後に破ろうとすると、契約内容の事を全て忘れてしまうそうだ。
魔法とは本当に便利なものである。まあ信用してないよと言ってるようで心苦しくはあるけど。
会話が止まったのでユグドクラシルの武器を鑑定してみたのだが、レベルが低いためなのか全ての項目が???表示だった。ま、使用しながら解明するしかないな。
屋敷に到着すると、レリクさん達3人を呼び出し、国家機密に係る内容なので他言無用と伝えると、一瞬真顔になった。
「それならばこの方が良いでしょう」と、こちらからもちかけるまでもなく契約のスクロールを使う。なんというか、やはり素晴らしい人達だ。
俺達の過去の部分など隠さねばならない重要な部分は隠しながら、話を進めると3人は信じられないという顔をして言葉を失っていた。
ただでさえ12歳にもなっていないのに、ステータスカードに勇者、聖女、賢者なんて表示されていて、かつ魔王の復活ときたもんだ。
「やっぱり驚きますよね」
「それはそうですよ。まさか、お三方が勇者、聖女、賢者だとは…不都合が無ければ一度、詳しく数値やスキルを見せていただいても?」
俺の言葉にいち早く反応をしたシャロンさんがそう言うので、全員が机の上にステータスカードを出してステータスの数値を詳しく見てみる。ま、俺もチラッと確認しただけなので、色々とゲームのようで興味は尽きないが。
勇者 ヴェルグラッド・フォレスタ
スキル 勇者の心得 火、水、風、土、雷、聖(3)光、闇(3)剣技(4)魔法創造 魔法陣付与 剣技創造 居合斬り 鑑定 アイテムボックス(無限)
聖女 ジュリエッタ・ジーナス
スキル 聖女の心得 火(3)水、風、土、雷(1)聖(5)アイテムボックス(時間停止5t)
賢者 マイア・レディアス
賢者の心得 火、水、風、土、雷、聖(2) 瞬間記憶能力 真偽サーチ アイテムボックス(時間停止5t)
「はあ。まさかこれほどとは、お三方は子供にしては異常だと思っていましたが。それにしても光属性と闇属性は勇者特有の属性と習いましたが、どんな魔法が使えれるのだ?レリクは知っているか?」
「私も知りませんよ。それに、今まで護衛をしていたお嬢様達がまさか伝説の聖女で、ヴェル様が勇者。極めつけに姫殿下が賢者。まるで御伽噺のようで実感が湧きません」
一般的に神託の儀で封印を解かれるのは生活魔法の火、水、風、土(1) 職業スキルで火、水、風、土の四属性の内どれか一つが(2)聖職者、医者、薬師は聖属性(1)戦いに殉じるものは雷属性(1)が与えられるそうだ。
シャロンさんとレリクさんの会話をみれば、俺たち3人は常識から逸脱した存在のようである。
日本にいた時には、アマチュアながらも小説を書いていた自分としたらラノベ設定がそのままこの世界に来たようで、あまりにも話が出来すぎている。少々複雑な気分である。与えられた役割もでかいしな。
ジュリエッタは16歳以降の記憶が封印されていると言う話しなので、シャロンさんを中心として、みんなでステータスの内容を一緒に確認し知識を擦り合わせする事になった。
「通説ですが魔法属性などは()内のレベルが剣技は熟練度が上がる度に使用出来るのですが、鍛錬で上げるには限界があります。戦などで人間を倒しても経験や技術は上がってもそこまで顕著には上がりませんが、魔物を倒せばその目に見えてレベルが上昇しやすいというのが一般的な考えです」
「まあ魔物を倒す機会など冒険者しかいませんからね。強い力を求めるならば冒険者になるのは必然となるのです。魔物を倒せば、その魔物の強さに合わせた魔石が得られるのも魅力的ですし」
「なので王族や王宮で上級職に就く方々でも一度は冒険者になる必要があるのですね。じゃないと剣技や魔法のレベルが低くて仕事に差し支えがある。やっと納得できました」
「まぁ、一般の方々の認識や見解はそれで間違ってはいませんが、私達王族からしてみれば冒険者になるという認識ではありません。あくまでも教育で得られる副産物的な物だと考えられているのです。剣技や魔法関係の職業に就職して食べて行く訳ではありませんから」
「ところで話は変わりますけど魔道具はどんな意味合いで作られるのでしょうか?生活に必要な魔法ならば神託の儀で与えられると思うのですが」
「それは、誰しも高等な教育を受けれるわけではありませんし、例をあげますと火種なんかであれば誰しも使えれます。しかしながら魔力の消費は軽微なのですが、細かな制御が出来なければ火事や大怪我の原因となってしまいます。例えば料理の時常に魔力を放出しっぱなしって事にはできません。魔力を蓄積出来る魔道具ありきでではないと生活ですらままなりません。それに細かな魔力操作は正直面倒ですし何よりも夢中になって魔力切れが怖いのですよ」
「なるほどです。魔法操作の鍛錬は誰しもが出来る訳ではなく、得意不得意があるけど、魔石なら魔力を蓄積出来るし魔法陣で制御できるので出しっぱなしでもいいし、魔力切れの心配もない。全ては魔道具で解決すると言うことなんですね?」
「はい。そのとおりです」
なんとなくは分かったが、俺の知る限り四属性魔法の他にも、水魔法が使えれば氷魔法が使えると言った派生のような魔法も幾つか存在している様だし、俺が使える光属性魔法、闇属性魔法と言ったような特殊な魔法などは手探りで探すしかないかな。
今まで、閃光として使っている光属性魔法は、光の魔石の術式を変えて使っていると誤魔化しているが、ひょっとしたら、光属性魔法は、癒しの魔法かもしれないし、重力魔法は闇属性の派生かもしれない。
次に、シャロンさんは魔鉱石の基礎知識を教えてくれる事になった。ま、知らないのは俺だけっぽいけどね。
そこで説明を受けたのを纏めると、武器に直接魔法を流すなんて事は出来ないようで、魔金属と呼ばれているミスリル、緋緋色金、オリハルコンの武器や防具に魔石を入れれば魔法を付与する事が出来るようだ。
これら魔金属は迷宮でしか手に入れられない希少金属のようで値段も張るみたい。ちなみにミスリルに魔法付与出来るのは1種類、緋緋色金は3種類、オリハルコンは5種類らしい。
魔道具には主に魔糸と呼ばれる糸が使われていて、ミスリルを粉にして溶かした物と液体樹脂に混ぜて糸にコーティングして使うとの事。実際に分解して見せて貰ったが、日本の物に言い換えるならプリント基板のパターンとか半田みたいな感じだった。
これなら、色々と切り替えとかも出来るし日本での知識も役に立ちそうだし、廃材や加工で余ったミスリルを使うのでコストが安いのだとか。エコだよね。
教わった事はメモを取り、ひととおり理解を示すと、基礎の話はまた実演を兼ねて野外で教えて貰う事に決まる。
「これからどうしようか迷ってるんだけど何か良い案はある?本来なら学園に入って勉学に励むのが流れだろうけど、こうなってはそうもいかなくなると思うんだ」
「そうですね。はっきり言ってしまえば、今の私達が学園に行っても学ぶ事は多くは無いでしょう。それに、もし勉強が必要なら、私かジュリエッタが教えてさしあげます」
「そうね。今更作法や算術なんかの勉強は必要ないかもね。それに私達がいくら基礎値が高いからといって、魔王軍とまだ戦えるほど甘いあいてじゃない…もし私が決めていいなら、フェミリエとミラと早めに合流して、日ごろの鍛錬を続けながら迷宮でレベルアップを目指すのがいいと思うけどどうかな?」
「私もジュリエッタの意見に賛成です」
神様の所でエルフと獣人の二人の姿を見たけど、中々の美人さんだったな。あの二人が仲間にね…おっと。いかんいかん。何考えてんだオレは…
「その二人は仲間になってくれるのか?それに基礎値が現在の僕らに比べたら低いから、言い方は悪いけど入口を間違えたら足手まといにしかならないからな。もし居場所が分かっているなら今からでも手紙を書いて、時期がくるまで鍛錬をするように書いたらどうだろうか?」
「ふふふ。もう1年前に手紙は送ったわよ」
「えっ!本当に?流石と言うか抜け目ないな~」
「当然よ。彼女達は転生前に魔王軍と一緒に戦った戦友ですもの。ほとんど記憶は消されちゃったけど、また一緒に旅に出て共に戦いたい。そう思ったらいても経ってもいられなくなってね」
「神様は何も言ってなかったけど二人の記憶はどこまで残ってるんだろう?記憶が無かったら知らない女性からの手紙なんてただの怪文書じゃないか?」
「神様がなんとかしてくれるよ。きっと…」
『神頼みかよ!』
「それから。マイアはこの国の姫君だろ?長期の旅なんて許されるのか?野宿する事もあるだろうし」
そういうと、マイアの顔が強張ったと思うと呆れた顔になる。
「この国が滅びようとしているのに、私だけこの王都に残れと仰るのですか?あり得ません。そもそも私は…これは言うべきじゃありませんね。先ほども言いましたがヴェルの隣に一生いると言いました。死んでも付いて行きます」
何を言いたかったんだろうか?だがマイアの決心は固いようだな。
「この件については、陛下にお伺いを立ててからにしよう」
「責任問題にもなりますし、分かりました。私が直談判します」
「うん。それでいいよ。それとさ、旅に出るなら馬車とかも用意しないといけないな。他国に行くのに王室の馬車で行くわけにもいかないし」
「そうね。他国の王女が行くとなれば、外交から始めないといけないから時間が掛かるわね。ここは身分を隠していくのがいいと思うわ」
「そうですね。その件も含めてお父様に相談してみます。それから、勧誘する二人が神託の儀を受けられるのは1年後ですよね?基礎値が上がるとしてもレベルが上がらないんじゃ意味が無くありませんか?」
「そこは心配しなくてもいいんじゃない?基礎値が高ければ高いほどアドバンテージになるのは間違いないわ。これは事実よ。レベリングは急がなくても一緒に行動していけば時間が解決してくれるわよ」
「そうか。そうだろうな。じゃあ次だ。シャロンさん、レリクさん、じいやさんにどう話をする?隠しておいたほうがいい?」
「隠すのは下策だわ。自分たちの行動に制限をかける必要は無いでしょう。あの3人が誰かに話すとも思えないし、きっと協力をしてくれるわよ」
「もし不安でしたら、契約の魔道具を使ったらようのでは?」
今名前を出した3人は既に一蓮托生の仲と言って良い。だからと言って旅に巻き込んでいいわけでも魔王軍と戦う事を強要していいわけでもない。
しかしながら、全てを話して外部に漏れると世界が混乱しかねない。ま、子供の言う事をまともに聞くかどうかは別としてもだ。
そんな訳で3人には、絶対に口外しないと言う魔道具である契約書を使って契約を結ぶ事にした。もしこの契約を結びんだ後に破ろうとすると、契約内容の事を全て忘れてしまうそうだ。
魔法とは本当に便利なものである。まあ信用してないよと言ってるようで心苦しくはあるけど。
会話が止まったのでユグドクラシルの武器を鑑定してみたのだが、レベルが低いためなのか全ての項目が???表示だった。ま、使用しながら解明するしかないな。
屋敷に到着すると、レリクさん達3人を呼び出し、国家機密に係る内容なので他言無用と伝えると、一瞬真顔になった。
「それならばこの方が良いでしょう」と、こちらからもちかけるまでもなく契約のスクロールを使う。なんというか、やはり素晴らしい人達だ。
俺達の過去の部分など隠さねばならない重要な部分は隠しながら、話を進めると3人は信じられないという顔をして言葉を失っていた。
ただでさえ12歳にもなっていないのに、ステータスカードに勇者、聖女、賢者なんて表示されていて、かつ魔王の復活ときたもんだ。
「やっぱり驚きますよね」
「それはそうですよ。まさか、お三方が勇者、聖女、賢者だとは…不都合が無ければ一度、詳しく数値やスキルを見せていただいても?」
俺の言葉にいち早く反応をしたシャロンさんがそう言うので、全員が机の上にステータスカードを出してステータスの数値を詳しく見てみる。ま、俺もチラッと確認しただけなので、色々とゲームのようで興味は尽きないが。
勇者 ヴェルグラッド・フォレスタ
スキル 勇者の心得 火、水、風、土、雷、聖(3)光、闇(3)剣技(4)魔法創造 魔法陣付与 剣技創造 居合斬り 鑑定 アイテムボックス(無限)
聖女 ジュリエッタ・ジーナス
スキル 聖女の心得 火(3)水、風、土、雷(1)聖(5)アイテムボックス(時間停止5t)
賢者 マイア・レディアス
賢者の心得 火、水、風、土、雷、聖(2) 瞬間記憶能力 真偽サーチ アイテムボックス(時間停止5t)
「はあ。まさかこれほどとは、お三方は子供にしては異常だと思っていましたが。それにしても光属性と闇属性は勇者特有の属性と習いましたが、どんな魔法が使えれるのだ?レリクは知っているか?」
「私も知りませんよ。それに、今まで護衛をしていたお嬢様達がまさか伝説の聖女で、ヴェル様が勇者。極めつけに姫殿下が賢者。まるで御伽噺のようで実感が湧きません」
一般的に神託の儀で封印を解かれるのは生活魔法の火、水、風、土(1) 職業スキルで火、水、風、土の四属性の内どれか一つが(2)聖職者、医者、薬師は聖属性(1)戦いに殉じるものは雷属性(1)が与えられるそうだ。
シャロンさんとレリクさんの会話をみれば、俺たち3人は常識から逸脱した存在のようである。
日本にいた時には、アマチュアながらも小説を書いていた自分としたらラノベ設定がそのままこの世界に来たようで、あまりにも話が出来すぎている。少々複雑な気分である。与えられた役割もでかいしな。
ジュリエッタは16歳以降の記憶が封印されていると言う話しなので、シャロンさんを中心として、みんなでステータスの内容を一緒に確認し知識を擦り合わせする事になった。
「通説ですが魔法属性などは()内のレベルが剣技は熟練度が上がる度に使用出来るのですが、鍛錬で上げるには限界があります。戦などで人間を倒しても経験や技術は上がってもそこまで顕著には上がりませんが、魔物を倒せばその目に見えてレベルが上昇しやすいというのが一般的な考えです」
「まあ魔物を倒す機会など冒険者しかいませんからね。強い力を求めるならば冒険者になるのは必然となるのです。魔物を倒せば、その魔物の強さに合わせた魔石が得られるのも魅力的ですし」
「なので王族や王宮で上級職に就く方々でも一度は冒険者になる必要があるのですね。じゃないと剣技や魔法のレベルが低くて仕事に差し支えがある。やっと納得できました」
「まぁ、一般の方々の認識や見解はそれで間違ってはいませんが、私達王族からしてみれば冒険者になるという認識ではありません。あくまでも教育で得られる副産物的な物だと考えられているのです。剣技や魔法関係の職業に就職して食べて行く訳ではありませんから」
「ところで話は変わりますけど魔道具はどんな意味合いで作られるのでしょうか?生活に必要な魔法ならば神託の儀で与えられると思うのですが」
「それは、誰しも高等な教育を受けれるわけではありませんし、例をあげますと火種なんかであれば誰しも使えれます。しかしながら魔力の消費は軽微なのですが、細かな制御が出来なければ火事や大怪我の原因となってしまいます。例えば料理の時常に魔力を放出しっぱなしって事にはできません。魔力を蓄積出来る魔道具ありきでではないと生活ですらままなりません。それに細かな魔力操作は正直面倒ですし何よりも夢中になって魔力切れが怖いのですよ」
「なるほどです。魔法操作の鍛錬は誰しもが出来る訳ではなく、得意不得意があるけど、魔石なら魔力を蓄積出来るし魔法陣で制御できるので出しっぱなしでもいいし、魔力切れの心配もない。全ては魔道具で解決すると言うことなんですね?」
「はい。そのとおりです」
なんとなくは分かったが、俺の知る限り四属性魔法の他にも、水魔法が使えれば氷魔法が使えると言った派生のような魔法も幾つか存在している様だし、俺が使える光属性魔法、闇属性魔法と言ったような特殊な魔法などは手探りで探すしかないかな。
今まで、閃光として使っている光属性魔法は、光の魔石の術式を変えて使っていると誤魔化しているが、ひょっとしたら、光属性魔法は、癒しの魔法かもしれないし、重力魔法は闇属性の派生かもしれない。
次に、シャロンさんは魔鉱石の基礎知識を教えてくれる事になった。ま、知らないのは俺だけっぽいけどね。
そこで説明を受けたのを纏めると、武器に直接魔法を流すなんて事は出来ないようで、魔金属と呼ばれているミスリル、緋緋色金、オリハルコンの武器や防具に魔石を入れれば魔法を付与する事が出来るようだ。
これら魔金属は迷宮でしか手に入れられない希少金属のようで値段も張るみたい。ちなみにミスリルに魔法付与出来るのは1種類、緋緋色金は3種類、オリハルコンは5種類らしい。
魔道具には主に魔糸と呼ばれる糸が使われていて、ミスリルを粉にして溶かした物と液体樹脂に混ぜて糸にコーティングして使うとの事。実際に分解して見せて貰ったが、日本の物に言い換えるならプリント基板のパターンとか半田みたいな感じだった。
これなら、色々と切り替えとかも出来るし日本での知識も役に立ちそうだし、廃材や加工で余ったミスリルを使うのでコストが安いのだとか。エコだよね。
教わった事はメモを取り、ひととおり理解を示すと、基礎の話はまた実演を兼ねて野外で教えて貰う事に決まる。
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