底辺VTuberのえん罪死刑転生、生前の理不尽さがポイント化されたので無双してきます

第97話 最後の一撃、勇者の勝利

リアナは
優斗が倒れ込んでいる姿を目にし
胸が張り裂けるような痛みに襲われた。

彼女の目からは涙が溢れ出し
感情の抑えが効かなくなる。

「優斗様…！」


リアナは悲痛な叫びを上げ
剣を握りしめて魔王モルゴスに向かって突進した。

彼女の目には怒りと絶望が混じり合い
何もかもを投げ出すかのように全力で斬りかかっていく。


「このっ…！許さない！」


涙で視界が滲む中
リアナは何度も剣を振り下ろすが
その攻撃は全て空を切る。

モルゴスは冷笑を浮かべ
軽々とリアナの攻撃を避け続けた。

彼の動きはまるで影そのもので
優雅かつ素早かった。

「無駄だ、聖剣士リアナよ」


モルゴスは余裕の表情で
リアナの全ての斬撃を難なくかわし
時折嘲笑を浮かべる。

「お前の力では
私に傷一つつけることすらできない」


リアナは必死に攻撃を続けるが
その剣は一度も魔王に触れることなく
むなしく空を切り裂くだけだった。

魔王モルゴスは冷酷な笑みを浮かべ
手を高く掲げた。

闇のエネルギーが魔王の掌に集まり
次第に時間と空間をねじ曲げるような不気味な力が形を成していく。

その名は――

『エターナル・エリミネーション』


「聖剣士リアナよ
お前の存在はここで終わりだ
二度と戻ることはない」

魔王の言葉が響くと同時に
漆黒の球体がその手に現れ
それが徐々に拡大していく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッギギ！！！！！！！！

時空を歪め
全てを消し去る力がリアナに向かって放たれる。



「リアナ！」


優斗が必死に叫ぶが
リアナは目を見開いたままその場に立ち尽くしていた。

エターナル・エリミネーションがリアナに迫る。

暗黒の球体が彼女を飲み込もうとする瞬間
リアナは全力で剣を構え
防御を試みる。

しかし
この魔法は次元そのものを崩壊させるため
どんな防御も無意味だった。


（私、死ぬの…？）


リアナの心に絶望が広がるが
同時に最後まで戦おうという決意も浮かんだ。



魔王モルゴスがリアナに向けて

『エターナル・エリミネーション』

を放とうとしたその瞬間
突如として閃光が走り
優斗の剣がモルゴスの背中を鋭く切り裂いた。


「ぐあっ…！」


モルゴスは苦しそうにうめき声を上げ
一瞬動きを止めた。

その背中には
優斗の剣『銀の閃光』が深く食い込み
暗黒のオーラが揺らいでいた。


「まだ終わってないぞ
モルゴス…！」


優斗は苦痛に歪む身体を無理やり奮い立たせ
渾身の力で攻撃を繰り出していた。

顔に汗が滲み
傷だらけの体だったが
優斗の目には強い決意が宿っていた。


「優斗様…！」


リアナが驚きと感動の声を上げる。


モルゴスは背中に手を当て
激しい怒りをあらわにしながら
ゆっくりと振り返った。

「貴様…まだ立ち上がれるというのか…？」


優斗は力強く剣を構え直し
魔王に向かって立ちはだかった。

「俺は
お前を討伐するためにここにいるんだ

そして、みんなを守るために！」

その言葉と共に
優斗の体から再び光が溢れ出し
周囲を包み込んだ。

モルゴスは背中に食い込んだ痛みを感じながら
ゆっくりと優斗を見つめた。

その目には
これまで見たことのない光景に対する驚きが浮かんでいた。

優斗の攻撃スピードとパワーが
明らかに以前よりも飛躍的に上がっていたのだ。

「なんだ、この力は…？」

モルゴスは呟きながら
優斗の動きを見つめた。

たった今まで倒れ伏していたはずの優斗が
今やまるで別人のように輝き
剣から放たれる一撃一撃が猛烈な速度で彼に迫ってきていた。



優斗の『銀の閃光』は
まるで光そのものとなったかのように
瞬間的にモルゴスの間合いに入り
次々と斬りかかる。

その動きは
モルゴスでさえ捉えきれず
彼の暗黒のオーラが次々と削られていく。

「ありえない！こんなはずではない！」


モルゴスは焦りを隠せず
必死に防御するが
優斗の攻撃はますます鋭さを増していった。

剣の一振りが大気を裂き
光の奔流が魔王を包み込む。

「どうして
こんなにも強くなった…！？」

モルゴスはその驚愕に声を上げながら
圧倒されつつあった。


優斗は激しい光を纏いながら
冷静な表情で魔王を見据える。

「俺は守るべきものがある！

だから
どんな力にも負けないんだよ！」

「なんだとっ！？」

モルゴスは激しい攻撃にさらされながら
突然あることを思い出した。

優斗の持つ『銀の閃光』――その剣の恐ろしさを彼は過去の記憶から引き出していた。



「まさか…あれが
あの伝説の剣だったのか…！」

モルゴスの心に戦慄が走る。



『銀の閃光』――その力はただの剣技の威力だけに留まらない。

どんな絶望的な状況でも
持ち主に知恵と希望を与え続け
決して悲観的にさせない。

さらに恐ろしいのは
戦いの最中でさえ持ち主の経験値を蓄積し
成長を促進してしまうという
まさにチート級の力だ。


「だからか…あの男
倒れたはずなのにどんどん強くなっていく…！」

モルゴスはその力を前に
恐怖と焦りを覚え始めた。

優斗の剣さばきはますます速く
正確になり
攻撃の一撃一撃が確実に魔王の防御を崩し始めていた。


「この剣を持つ限り
俺は絶望しない！」

優斗は声を上げ
さらに攻撃の速度を上げていく。

彼の動きはまるで風のように滑らかで
攻撃を繰り出すたびにモルゴスの闇の力が徐々に削られていくのを感じた。

モルゴスは圧倒的な力を持ちながら
その剣の力の前に追い詰められていくことを痛感し始めた。

魔王モルゴスは
これまで勇者たちとの数多くの戦いで圧倒的な勝利を収めてきた。

その傲慢さが
魔王に大きな過ちを犯させていたのだ。

かつては勇者パーティ全員を打ち負かし
人間界の制圧はもはや時間の問題だと確信していた。


その確信に満ちた勝利の連続が
魔王を油断させ
重大な事実を失念させていた――『銀の閃光』の脅威を。


「あの時…まさか
この剣が優斗に渡っていたとは…」


モルゴスの顔にかすかな焦りが浮かんだ。

魔王は長い間
勇者たちを蹴散らし続け
人間界を絶望に陥れてきた。

そのため
真に恐れるべき存在である『銀の閃光』の力を忘れてしまっていた。


『銀の閃光』は
ただの武器ではない。

持ち主に知恵と希望を与え
決して諦めることを許さない。

そしてその間
戦いの中で持ち主は成長し続け
経験値を積み上げてしまう。

その力が
優斗に生きる意志と戦う力を与えていたのだ。


「そうか…あの剣が
これほどまでに脅威だったとは…」

モルゴスは自分の過ちを痛感した。

勇者たちに圧勝し続けていたことで
『銀の閃光』の存在を軽んじていた。

しかし今
その剣の真価が発揮され始め
魔王の勝利への確信が揺らいでいるのを感じていた。



優斗は『銀の閃光』をしっかりと握りしめ
魔王モルゴスを鋭く見据えた。

疲労で身体は限界に近いはずだったが
その瞳には強い決意が宿っていた。

彼は一歩前に踏み出し
低く静かな声で言った。



「俺が勝つことは
最初から決まっていたんだよ」



その言葉には
揺るぎない自信と確信が込められていた。

モルゴスはその言葉に一瞬反応を見せたが
すぐに冷笑を浮かべる。



「何を言っている？倒れる寸前の貴様が勝利を確信するとは…滑稽だな！」



だが
優斗は微笑みを返しただけだった。

「言っただろ？
この剣がある限り
絶望は俺を打ち負かせない。

それが
銀の閃光の力だ」



モルゴスの表情が硬直する。

優斗の言葉は決して空虚なものではなかった。

優斗の力は戦いを重ねるたびに増し
彼の精神は絶えず強化されていた。

そして
その真実を知ったモルゴスは
内心で恐怖を感じ始めていた。


「さあ死ね、魔王よ
お前の時代はここで終わりだ」


優斗は再び剣を構え
勝利を確信した目で魔王に向かって進んだ。



リアナは
涙で滲む目を拭い
全身の力を振り絞って叫んだ。


「優斗様！ 魔王をやっつけて！
みんなの仇をとって！」

その声は戦場全体に響き渡り
優斗の耳に届いた。

リアナの声には
強い信頼と希望が込められていた。


「知っているよ、リアナ
こいつがどれだけ
みんなに酷いことをしてきたのかをっ！」


優斗は最後の力を振り絞り
『銀の閃光』を高々と掲げた。

剣が再び眩い光を放ち
戦場全体を包み込むかのように輝きを増していく。

魔王モルゴスはその光に目を細め
驚愕の表情を浮かべた。

「これで終わりだ
魔王モルゴス！」


優斗の声が響き渡る。

その瞬間
彼は剣に全ての力を込め
スキル――『ブレイジング・スター』を発動した。

剣から放たれた光の奔流が
一瞬にして魔王に向かって突き進む。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッドドド！！！！！！！！！



まるで流星が落ちるようなその光は
時間すら凍りつくかのような圧倒的なスピードと力で
魔王の防御を打ち破っていく。

モルゴスは必死に闇の力を纏い
抵抗しようとするが
優斗の一撃の前にそれは無力だった。

「ぐあああああああああーーーーーーーーーっ！！」  

モルゴスの絶叫が鳴り響く！

光の刃が魔王モルゴスの体を貫き
その巨大な体が崩れ落ちていく。

暗黒のオーラが瞬く間に消え去り
周囲に漂っていた闇も光に飲み込まれ
跡形もなく消えていった。


そしてその後
静寂が訪れた。

優斗は荒い息をつきながら剣を下ろし
静かに呟いた。

「終わった…」

リアナは目に涙を浮かべながら
優斗に駆け寄った。

「優斗様…本当に…本当にやりました！」

二人は勝利の余韻に浸りながら
崩れ落ちた魔王の残骸を見つめ
戦いの終わりを感じていた。