底辺VTuberのえん罪死刑転生、生前の理不尽さがポイント化されたので無双してきます

宮富タマジ

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第92話過去を越え、未来へ

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ちょうどその頃
優斗は農場でドラゴン討伐の準備を整えていた。

彼の周りには王国の兵士たちが集まり
皆緊張した様子で周囲を見張っていた。

フェンリオが姿を現すのを待ちながら
優斗は集中力を高めていた。

しかし
どこか心の中でリアナのことが気にかかっていた。

「リアナ…？」

と不安が胸をよぎる中
彼は周囲に意識を集中させようとした。

「はっ！」

その時
優斗の胸中に強烈な悪い予感が走った。

まるで誰かが助けを求めているかのように
リアナの存在が彼の心に強く響いた。

「リアナ…！」

優斗は瞬時に感じ取った。

彼女が危機に陥っていることを確信した。

冷や汗が背中を伝い
農場にいる兵士たちの緊張感を感じながらも
優斗の心はリアナの安否に集中していた。

（リアナを助けに行かなければ…しかし）

ちょうどその時
息を切らせた王国兵が優斗のもとに駆け寄ってきた。

「優斗様、大変です！
フロレンシア城が襲撃されました！

さらにリアナ様が城に向かわれる姿を見た者がいるとのこと！」

その言葉に優斗は瞬時に反応した。

「フロレンシア城が…！？」

優斗の顔色が一変し
彼の胸中で焦りと不安が膨れ上がった。

優斗は慌ててGoogle Meetを開き
リアナに呼びかけた。

「リアナ！無事か？応答してくれ！」

心の中で必死に祈りながら
画面を凝視した。

すると
画面の向こうにリアナの姿が現れたが
彼女は血まみれで
息も絶え絶えだった。

瀕死の状態で
リアナは優斗の呼びかけにかすかな声で応じた。

「優斗様…ごめんなさい、私は…もう…」

彼女の言葉は途切れ途切れで
力を失いかけていた。

優斗は画面の向こうのリアナの姿に胸が張り裂けそうになり
必死に叫んだ。

「リアナ！シャドウシフトで
俺を君のところに移動させてくれ！今すぐにだ！」

リアナは息も絶え絶えの中
優斗の言葉を聞き取り
意識を保とうと必死に頷いた。

リアナは優斗の提案にかすかな笑みを浮かべ
力なく首を振った。

「いけません、優斗様
…あなたがここに来たら
二千人の王国兵がフェンリオに殺されてしまいます
…みんな全滅」

リアナの声には苦しみと決意が混ざっていた。

リアナは
自分と赤ちゃんの命よりも
国と兵士たちを守ることを優先していたのだ。

その時
周囲にいた王国兵たちは優斗に向かって叫んだ。

「優斗様！どうか
リアナ様のもとへ行ってください！
あのお方を救ってください！」

彼らの声には焦りと必死さが込められていた。

「でも、俺がここを離れたら…」

優斗は迷いを見せたが
兵士たちは続けた。

「私たちが何とか持ちこたえます！
どうか
リアナ様をお救いください！」

しかし
その時
空から轟音が響き渡り
フェンリオが姿を現した。

巨大なドラゴンが空を裂き
猛然と農場に襲いかかってきた。

王国兵たちは驚きと恐怖に包まれながらも
必死に戦闘態勢を整えた。

（タイミングが悪すぎるっ！）

優斗はすぐに剣を構え
フェンリオを迎え撃つ準備をした。

リアナのことを考えつつも
目の前に迫る危機に集中せざるを得なかった。

フェンリオの圧倒的な強さは
王国兵たちを圧倒していた。

巨体を持つドラゴン『フェンリオ』は鋭い爪と風を巻き起こす翼で次々と兵士たちを薙ぎ倒し
王国兵たちは必死に抗おうとしたが
その力の差は歴然だった。

「このままじゃ全滅する…！」

優斗はフェンリオの強大さを目の当たりにし
すぐに決断した。

彼は剣を高く掲げ
全力でフェンリオに向かって突撃した。

「フェンリオ！すぐに終わらせてやる！」

優斗の剣から放たれた光がフェンリオに向けて放たれ
その強力な攻撃は巨大なドラゴンの体を狙った。

優斗がフェンリオに強力な一撃を放ち
フェンリオが一瞬怯んだ。

その隙をついて
王国兵二千人が一斉に攻撃を仕掛けるという作戦が進行していた。

優斗の存在は
この作戦の要であり
彼がいなければフェンリオを怯ませることは難しい。

しかし
優斗がここから去ってしまえば
兵士たちが全滅する可能性が高く
作戦は崩壊してしまう。

優斗はリアナを救いたい気持ちと
ここで兵士たちを守るべき責任との間で葛藤していた。

突然、空気が一変した。

フェンリオに向けて優斗が攻撃を仕掛けようとした瞬間
眩いばかりの光が戦場に差し込んだ。

その光の中心から現れたのは
かつての勇者レオンハルトだった。

「遅くなってしまい申し訳ない！優斗殿」

レオンハルトは冷静な声でそう言うと
手に握った光の剣

『ルクス・クラウディス』

を構えた。

彼の目には
過去の後悔と共に
強い決意が宿っていた。

「あなたは……」
優斗が呟いた

フェンリオはその光に一瞬怯んだが
すぐに鋭い咆哮を上げ
レオンハルトに向かって突撃した。

だが
レオンハルトは動じることなく

「ホーリーバインド！」

と光の鎖を放ち
フェンリオの動きを一瞬で封じた。

「私を甘くみるな！」

レオンハルトは再び剣に力を込め
光翼の剣舞「Radiant Sword Dance」

を発動。

光の剣から広がる光の羽がフェンリオを包み込み
無数の斬撃がその巨体を貫いた。

フェンリオの巨体が揺れ
怒りの咆哮が響き渡る中
レオンハルトの強力な攻撃が戦場を照らし出した。

フェンリオに強力な一撃を与えた後
勇者レオンハルトは優斗に向かって駆け寄った。

「優斗殿…」

と彼は深い敬意を込めて言葉を放った。

以前の自信に満ちた表情は影を潜め
代わりに過去の後悔と反省が滲み出ていた。

「やはり、あなたは勇者レオンハルト様ですね？」

「はい
かつて私は
大切な勇者パーティである
リアナを見捨ててしまった…
だから彼女に合わせる顔がない
しかし、ここでの戦いは私に任せていただきたい

フェンリオとの戦いを終わらせるために
私はもう一度立ち上がる覚悟である」

彼の瞳には揺るぎない決意が宿り
優斗に託したいという思いが強く込められていた。

レオンハルトは優斗の前に立ち
真剣な眼差しで彼に向き合った。

「優斗殿…リアナを助けてほしい

彼女が今
どれだけ危機的な状況にあるかは分かっている

この戦場は私に任せて
君は彼女の元へ行ってくれ」

レオンハルトの言葉には
リアナに対する深い後悔と
彼女を救いたいという強い願いが込められていた。

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