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第72話 絶望の雷、沈黙の聖剣士

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ゼクスの冷たい笑みが再び広がり
彼の手には雷を纏った剣が現れた。

その剣はまるで雷そのものが凝縮されたかのように輝き
周囲の空気を焦がすような熱を放っていた。



「さあ
この雷剣で君の運命を終わらせてやろう」

ゼクスはその剣を高く掲げ
雷の力をさらに強めていった。

その姿は圧倒的な威圧感を持ち
周囲に雷のエネルギーがビリビリと響き渡る。


「優斗様、何かが来るわ!」

リアナが息を呑みながらゼクスの動きを見つめた。



「リアナ、避けろ!」

優斗が叫んだが
ゼクスの攻撃はすでにリアナに向けられていた。


『ライトニング・ジャッジメント』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッビ!!!



ゼクスが叫び
魔法の電撃剣が一瞬でリアナに向かって放たれた。

剣から放たれる雷撃は直線的に彼女に迫り
回避する余裕を与えないほどの速さだった。



リアナは咄嗟に影の中に溶け込もうとしたが
その瞬間
電撃が彼女の周囲に広がり
影を通じて逃げることを封じてしまった。



「逃げられると思ったか?」

ゼクスは冷たく笑いながら言った。

「くっ…!」

リアナは必死に防御の魔法を展開するが
ゼクスの電撃剣が彼女の防御を貫き
彼女に直撃する。


「リアナ!」

優斗が叫びながら駆け寄ったが
リアナはその強烈な一撃に膝をつき
苦しげに息を吐いていた。


「こんなに強いなんて…!」

リアナは震える手で剣を支えながら
立ち上がろうとしたが
その力はほとんど残っていなかった。



ゼクスは余裕の表情を崩さず
剣を振り払う。

「君たちはまだわかっていない
我々が与える恐怖が如何なるものなのかを」

雷のエネルギーがリアナの体を蝕み
彼女は倒れ込んだまま立ち上がれずにいた。

優斗は剣を握り締め
再びゼクスに立ち向かう準備を整えたが
リアナの姿を見て焦りが胸に湧き上がっていた。


「リアナ!」

優斗は絶望的な状況に陥った彼女を見て
すぐに動き出した。

剣を握りしめ
全力でゼクスに向かって駆け寄る。


「リアナ、そこから離れろ!」

優斗は

『ブレイジング・スター』

の光を剣に纏わせ
一気にゼクスの側面へ斬りかかろうとした。



だが
ゼクスはリアナへの攻撃を終えた直後にもかかわらず
まるで優斗の動きを予測していたかのように冷ややかに振り返った。



「無駄だ」


ゼクスの目が一瞬輝き
雷の力が剣に宿った。



優斗の剣がゼクスに届こうとしたその瞬間
ゼクスは素早く反撃に出た。

彼の雷の剣が高速で振り抜かれ
優斗の防御をあっさりと突き破る。



「くっ…!」


優斗は咄嗟に反応し
防御しようとするが間に合わず!



ーーーーーーーーーーーーーッズ!!!


ゼクスの電撃剣が彼の左肩に深く食い込んだ。

強烈な痛みと共に
彼の体は後ろに弾き飛ばされる。


「優斗様!」

リアナが苦しげな声で叫ぶが
動けないままゼクスを見つめることしかできなかった。


優斗は肩を押さえ
必死に立ち上がろうとするが
左肩からは血が流れ
痛みに耐えきれない表情を浮かべていた。



「もうわかっただろう? 私に対抗できないことが」

ゼクスは余裕の笑みを浮かべながら
優斗のほうに歩み寄る。

彼の剣はまだ電撃を纏っており
次の一撃を加えようとしていた。

優斗は痛みに耐えながらも
剣を握り直し
ゼクスの次の攻撃に備えるが
左肩が使えない状態では満足に戦えないことを理解していた。



「くそ…まだ
終わっていない…!」

優斗は回復魔法を
左肩の患部に展開する。

しかし、傷口が深く
すぐには回復できない。

優斗は必死に立ち上がろうとするが
ゼクスの圧倒的な力の前に
彼の体は限界に近づいていた。


優斗が左肩を押さえ
必死に立ち上がろうとしている間
リアナは最後の力を振り絞り
ゼクスの背後に回り込んでいた。

彼女は剣を握りしめ
影の力を纏わせて一気に斬りかかろうとしていた。


(私が決める…!)

リアナは心の中で叫びながら
全力で斬撃を繰り出した。



しかし
ゼクスはその動きをすでに読んでいた。

彼の目が冷たく光り
リアナが放つ剣を振り向きざまにかわした。



「無駄だ、聖剣士」


ゼクスは余裕の笑みを浮かべながら
すぐに手を挙げ
その手のひらに雷のエネルギーを集中させた。


「これで終わりだ…ライトニング・バースト!」



その瞬間
ゼクスの手から放たれた電撃のビームがリアナに向かって一直線に走った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッビビビ!!!!!!!


リアナは反応する間もなく
そのビームをまともに受けてしまった。



「…っ!」

リアナは驚愕の表情を浮かべたまま
雷撃に体を貫かれ
強烈な痛みが彼女を襲った。


ビームが彼女に命中した瞬間
リアナの体は宙を舞った。

全身が電撃に包まれ
その痛みに彼女の体は震え
感覚が一瞬で麻痺していった。



「リアナ!」

優斗が叫んだが
すでにリアナの体は重力に逆らうように宙に浮かんだ!



地面に落下していくリアナ
その体は動かなくなっていた。

電撃の麻痺効果が彼女の体に残り
指先すら動かすことができない。


「動けない…体が…」

リアナは苦しげに呟き
必死に動こうとするものの
その体は完全に麻痺していた。

視界がぼやけ
リアナは落下していく地面しかできなかった。


ゼクスは冷酷な笑みを浮かべ
彼女に向かって歩み寄る。

「聖剣士よ
君の努力は称賛に値するが…ここでおしまいにしよう」


リアナはゼクスの足音が近づくのを感じながらも
体を動かすことができず
ただ優斗の名前を心の中で叫んでいた。


ゼクスは冷酷な笑みを浮かべながら
落下してくるリアナに向けてさらに電撃を溜め込んだ。

彼の手から雷が再び放たれ
今度は一撃で彼女を気絶させるために照準を合わせた。




「サンダークラッシュ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッガ!!!!!!!


雷鳴と共に
強烈な電撃が再びリアナに向かって放たれた。

宙に浮かんだリアナに直撃し
彼女の体は再び電撃に包まれた。

目が見開いたまま
彼女の意識は完全に途切れ
全身の力が抜けていった。



「リアナーーーーーーーーーッ!」

優斗が叫んだが
その声は彼女には届かなかった。


リアナは気絶し
体が重力に引かれて無防備に落下していった。

彼女の体は何の反応もなく
まるで操り人形のように落ちてくる。

電撃の余波がまだ体を蝕んでおり
意識を失ったまま地面に急激に近づいていく。



「くっ…リアナ!」

優斗は必死に駆け寄ろうとするが
ゼクスに負わされた傷と電撃の影響で動きが鈍く
追いつけない。



そして
リアナの無力な体が地面に激突した。

鈍い音が響き
彼女の体はそのまま動かなくなった。

全身に雷のダメージを受け
さらに激しい衝撃で倒れ込んだリアナは
完全に意識を失ったままだった。


ゼクスはその光景を冷ややかに見下ろし
微かに笑った。

「哀れな聖剣士。実に哀れだ」

優斗はリアナが倒れた場所に駆け寄り
彼女を抱きかかえたが
彼女の体は反応しなかった。

彼女は深く傷つき
雷の麻痺と衝撃によって完全に気絶していた。

「リアナ…頼む…目を開けてくれ!」

優斗は必死に呼びかけたが
リアナの瞳は閉じたままだった。

リアナの無反応な体を抱きかかえた優斗は
全身が震えるのを感じていた。

彼女の目は閉じたまま
意識は完全に失われていた。

電撃の影響で体は動かず
優斗の腕の中でリアナはまるで人形のように沈黙していた。



「リアナ…リアナ
頼む、目を開けてくれ!」

優斗の声は必死だった。

彼女の頬を軽く叩きながら
目を覚ますことを祈るが
リアナは微動だにしない。

彼女の無力な姿が
優斗の心に深い絶望を刻み込んだ。



「頼む!リアナ…!」


優斗は叫び声を上げ
彼女の名前を何度も呼び続けた。

しかし
彼女は依然として反応を示さない。



「くそっ…目を覚ましてくれよ…君がいないと
俺は…」


涙が優斗の頬を伝い落ちる。

彼は震える声で何度もリアナに呼びかけたが
彼女の閉じた瞳は開かれることはなかった。



「リアナ…俺は君を無事に地上に連れ帰るって
みんなに約束したんだ」

彼の声はしだいに途切れ
痛みに満ちた怒りと無力感が混ざり合う。

彼女を救いたいという気持ちが
激しい感情となって彼の胸を締めつけた。

優斗は叫び
彼女の体を抱きしめながら
意識を取り戻してくれるのを
心の底から祈った。

雷の魔法が彼女の体に残る痕跡を見つめると
怒りが沸き起こり
ゼクスに対する憎しみが込み上がる。

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