上 下
66 / 100

第65話 心の剣と繋がる絆

しおりを挟む

リアナは優斗に静かに声をかけた。

「優斗様、少しご相談があるのですが……」

その表情には真剣さが漂っており
優斗は彼女の言葉に自然と耳を傾けた。

優斗は慌てて

「え、何? どうしたの?」

と返事をする。

その声には少し緊張が混じっていた。

リアナは静かに優斗を見つめ


「私たちは、これから戦闘パートナーとして共に戦う関係になるのだと思います」

と告げた。

その言葉には
これからの道を共に進む覚悟が込められていた。

優斗は一瞬
緊張しながらも気を引き締め直し


「そうだね」

と静かに返事をした。彼もまた
これからの戦いに向けた決意を新たにしていた。

しかし
リアナは少し躊躇いながらも
真剣な眼差しで優斗を見つめ


「でも、私としては…優斗様とは戦闘パートナーを超えた
もっと親密な関係でいたいのです」

と静かに打ち明けた。

優斗はリアナの言葉に驚き
瞬時に顔が熱くなり
頬が赤く染まった。


どう返事をすべきか分からず
しばらく言葉を詰まらせていた。

少し動揺した様子で


「それって…『恋人』とか
そういう関係のこと?」

と声を震わせながらリアナに尋ねた。

リアナは『恋人』という言葉を聞くと
優しく微笑み


「ええ、まさにそれです」

と言った。

彼女は真剣な眼差しを向け
穏やかな声で続けた。

「私は、優斗様と恋人の関係でありたいのです」

優斗はリアナの微笑みに一瞬心を奪われたが
すぐに冷静になろうと努めた。しかし
彼女の言葉が頭の中で何度も反響し
胸が高鳴っていた。

『恋人』——そんなこと
想像もしていなかった。

優斗は少し照れくさそうに目をそらしながら


「でも、俺たちは戦いの最中だから…そんなこと考えてる余裕なんてないよ」

と言った。しかし
その言葉は彼自身への言い訳に過ぎなかった。

リアナは少し寂しげな表情を浮かべたが
すぐに優しい微笑みに戻り


「そうですね。でも
いつかこの戦いが終わったら
その時は私たちの関係をもう少し深めてもいいのではないでしょうか?」

と優斗の手にそっと触れた。

優斗は驚きながらも
その手の温もりを感じ
何も言えなかった。

ただ、リアナの言葉と触れた手が
彼の胸の奥で確かに何かを動かしていた。

「これが私の正直な気持ちです」

とリアナが小さく言い
優斗はただ頷くしかなかった。


戦闘の激しさとは対照的な静かな時間が
二人の間に流れていた。

しばらくして
優斗は心の中の疑念を正直に口にした。

「もちろん
俺は構わないけど…リアナは聖剣士でしょ? 
そんな立派な立場の君が
どこの馬の骨かもわからない
俺なんかと恋人になって大丈夫なの?」

リアナはその問いに優しく微笑みながら
優斗をじっと見つめた。

「優斗様、私にとってあなたがどこの馬の骨か
なんて関係ありません。
あなたは私たちを何度も救ってくれました。
それが私にとって
何よりも信頼できる証です」

その言葉に優斗は戸惑いながらも
リアナの真っ直ぐな気持ちに胸を打たれた。

「そ、そうか…」

と言葉を詰まらせながらも
彼女の気持ちに応えたいと思い始めた。

しかし
まだ心のどこかで

(自分がリアナに相応しいのか)

という不安は消えなかった。


リアナは優斗の心の葛藤を察したのか
そっと優斗の手を握り締め


「私の気持ちは変わりません。
それが聖剣士のリアナであろうと
ただのリアナであろうと」

と優しく語った。

優斗は彼女の温かさに触れ
不安が少しずつ薄れていくのを感じた。

リアナは優斗の手を握ったまま
真剣な表情で彼を見つめ
静かに口を開いた。

「優斗様、私はあなたが好きです」

その言葉は
リアナの心からの思いが込められたもので
彼女の目はまっすぐに優斗を捉えていた。

優斗はその一言に驚き
胸がドキリと跳ね上がった。

「リアナ…」

と言葉を詰まらせながらも
彼女の顔を見返す。

優斗の心は動揺しつつも
リアナの気持ちにどう答えるべきかを必死に考えていた。

「君が本気でそう言ってくれるなんて…」

優斗は彼女の言葉に感動し
頬を赤らめながらも


「俺も…リアナが好きだ」

と素直に答えた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺だけステータスが見える件~ゴミスキル【開く】持ちの俺はダンジョンに捨てられたが、【開く】はステータスオープンできるチートスキルでした~

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人はクラスメイトたちと異世界へ召喚されてしまう。 異世界より召喚された者は神からスキルを授かるが、直人のスキルは『物を開け閉めする』だけのゴミスキルだと判明し、ダンジョンに廃棄されることになった。 途方にくれる直人は偶然、このゴミスキルの真の力に気づく。それは自分や他者のステータスを数値化して表示できるというものだった。 しかもそれだけでなくステータスを再分配することで無限に強くなることが可能で、更にはスキルまで再分配できる能力だと判明する。 その力を使い、ダンジョンから脱出した直人は、自分をバカにした連中を徹底的に蹂躙していくのであった。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

異世界大日本帝国

暇人先生
ファンタジー
1959年1939年から始まった第二次世界大戦に勝利し大日本帝国は今ではナチス並ぶ超大国になりアジア、南アメリカ、北アメリカ大陸、ユーラシア大陸のほとんどを占領している、しかも技術も最先端で1948年には帝国主義を改めて国民が生活しやすいように民主化している、ある日、日本海の中心に巨大な霧が発生した、漁船や客船などが行方不明になった、そして霧の中は……

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 よろしくお願いいたします。 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件

羽黒 楓
ファンタジー
借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...