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第30話 毒を越えて再び立つ

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「うっ!」

リアナは牢獄の
冷たい石畳の上で苦痛に喘いでいた。


彼女の体内にはグレイボによって
盛られた猛毒魔法が流れており
その痛みは尋常ではなかった。

魔法の毒は
まるで内側から彼女を蝕むかのように全身に広がり
体の自由を奪っていた。

この魔法は
通常の毒とはまったく異なる性質を
持っていた。

猛毒はグレイボの生命力とリンクしており
彼が生きている限り
リアナの体内で猛威を振るい続ける仕組みだった。


そのため
たとえどんな治療を施しても
彼を倒さない限り解除されることはなかった。

この卑劣な魔法は
相手を確実に弱体化させるための手段として
魔族の間で悪名高かった。



地下牢の冷たい空気が彼女の肌を刺し
痛みにさらに拍車をかけた。

しかし、突然
リアナの体内で何かが変わったのを感じた。

痛みが少しずつ和らぎ
猛毒の圧迫感が徐々に消えていくのだ。

「これは…どういうこと?」

リアナは驚きと戸惑いの
入り混じった声で呟いた。

彼女の体を縛っていた魔力が
消え始めているのを感じた。

息苦しさも
体を締め付けるような痛みも
次第に和らいでいく。

その時、リアナは確信した。

(きっと優斗様がグレイボを討ち取ってくださったのでしょう)


グレイボの命が断たれたことで
リアナを苦しめていた
猛毒魔法もその力を失ったのだ。

施術者が死亡することで初めて解除されるこの魔法は
優斗が成し遂げた勝利によって終わりを迎えた。

「優斗様が…私を救ってくれた…」

リアナの目に喜びと感謝の涙が滲んだ。

彼女は再び自分の体が自由になったことに気づき
その感覚を噛みしめた。

リアナは力を取り戻し
ゆっくりと立ち上がった。

彼女の中に再び戦う力がみなぎってくるのを感じた。


猛毒魔法は消え去ったが
リアナの心には強い決意が残った。

彼女はこの恩を胸に
優斗と共に戦い抜く覚悟を新たにした。


リアナは本来の力を取り戻した。

ゆっくりと牢の扉に歩み寄る。

彼女の視線はしっかりと前を見据え
その瞳には決意の光が宿っていた。

優斗が命を懸けて戦い
自分を救ってくれたことが
リアナの中に新たな覚悟を芽生えさせたのだ。


「もう二度と…捕まったりなんかしない
こんな屈辱、二度と……」

リアナは小さく呟き
その声には強い意志が込められていた。

(優斗様と共にこの闇の支配を終わらせる。そのために戦い続ける!)

と心に誓った


リアナの中で燃え上がる闘志が
彼女を次なる戦いへと駆り立てる。


リアナは足早に牢の出口に向かいながら
心の中で優斗への感謝の言葉を繰り返し呟いた。

優斗の存在が
リアナにとっての新たな希望であり
力の源となっていたのだ。

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