底辺VTuberのえん罪死刑転生、生前の理不尽さがポイント化されたので無双してきます

第26話 最後の試練、グレイボの闇

俺たちはナクシアム城の最上階へとたどり着いた。

階段を上るたびに
リアナを救う決意がますます強くなっていく。

この城の頂点には
魔王の四天王の一人であるグレイボが待ち構えている。

彼を倒さなければ
リアナの命は救えない。


「ここが最上階か……」

カインが小声でつぶやいた。

目の前には巨大な扉が立ちはだかっている。

扉の向こう側には
おそらくグレイボがいるのだろう。

「みんな、準備はいいか？」

俺はカインとフェルナンドに問いかけた。

二人は真剣な表情でうなずく。


俺たちはお互いの決意を確認し
静かに扉を押し開けた。


扉の向こうには広々とした部屋が広がっていた。

中央には暗黒のオーラを放つ玉座があり
その玉座に座っているのはグレイボだった。


彼は長い黒髪を背中に垂らし
冷酷な目つきでこちらを見下ろしていた。


彼の周囲には黒い霧が漂い
空気を凍りつかせるような緊張感が漂っている。



「聞いているよ、お前たちがリアナを助けに来た勇者ってこと」
「そういうことだ、死んでもらうぞ。下劣野郎」


「下劣だと？リアナが猛毒で苦しむ姿こそ、魔族たちにとっては至高の芸術なのだ。」

グレイボの声は冷たいが
不気味なほどに落ち着いている。

その声には揺るぎない自信と
勝者の傲慢さが含まれていた。


「黙れ、グレイボ！
リアナの苦しみは今日終わる！」

俺は剣を抜き
グレイボに向かって突き進んだ。


グレイボはゆっくりと立ち上がり
手をかざすと
部屋全体が闇に包まれた。

俺たちの視界が奪われ
周囲の状況がわからなくなる。

視界を遮る闇の中で
俺たちの呼吸だけが耳に残る。

「さあ、絶望の闇に溺れるがいい……」

グレイボの声が響くと同時に
俺たちに向かって闇の刃が次々と
襲いかかってきた。

闇の刃は
鋭い風を切る音と共に
俺たちの周囲に突き刺さっていく。

俺は反射的に剣を振り回し
刃を弾き返そうとしたが
闇の力は思った以上に強力だった。


「みんな、気をつけろ！ 闇に惑わされるな！」

俺は声を張り上げ
闇の中で剣を振るい続けた。

カインとフェルナンドもそれぞれの武器を構え
闇の刃をかわしながら攻撃を続けている。

フェルナンドの弓から放たれる光弾が闇を切り裂き
カインの魔法が部屋に微弱な光をもたらしていたが
グレイボの闇の魔法がそれを圧倒している。



俺たちは必死に前進し
徐々にグレイボの気配を探り続けた。

闇の中で方向感覚を失いながらも
俺は彼の息遣いと冷酷な笑みが響く声に耳を澄ませた。

恐怖と焦燥が心を支配し
冷や汗が背中を流れる。



突然、闇の中から巨大な影が襲いかかってきた。

グレイボが放った闇の獣が俺たちの周囲を取り囲む。

獣たちは黒い霧から生まれた不気味な姿をしており
その巨大な爪が猛然と俺たちに向かって振り下ろされる。

「後ろだ！」

カインが叫ぶと同時に
俺たちは一斉に飛び退いた。

闇の獣の一撃が地面をえぐり
周囲に深い溝を刻んだ。

俺はすぐに立ち上がり
剣を構え直す。

グレイボの力は圧倒的で
普通の攻撃では打ち勝てない。

「フェルナンド
光弾で闇の獣を押さえろ！」

俺は叫びながら
剣を握りしめた。

フェルナンドが弓を引き
光弾を放つと
闇の獣たちが一瞬後退する。

だが、その隙を突くように
グレイボは再び闇の刃を操り
俺たちに襲いかかってきた。



「くそっ
こうなったら……！」

俺は全身の力を振り絞り
剣を振り下ろした。

光のエネルギーを集めた一撃が
闇の刃とぶつかり合い
一時的に空間が明るくなった。

しかし
その間にグレイボが再び闇の獣を呼び寄せ
圧倒的な数の攻撃が俺たちを襲った。



カインは魔法で獣の動きを封じ
フェルナンドが精密に光弾を放ち続ける中
俺は必死に闇の中を駆け回りながら
グレイボの姿を探し続けた。