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第16話 魔王の策略

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「どうして、俺にこんな力が?」

俺は不思議そうにもう一度自分の手を見つめた。
すると、カインが驚きの声で言った。

「優斗さんのチャンネル登録者数がすごいことになっています!」

「え?」

急いで自分のチャンネル登録者数を
確認すると、なんと……

2万人になっていた。


「2万人……?」

つまり、今の俺の戦力は
『戦力456 × チャンネル登録者数2万人 = 912万』

912万だ。

先ほどまで戦力が1000ちょっとしかなかったのに
今では一気に跳ね上がっている。

リアナの戦力3500万に近い数値になった。

カインはスマホを見せてきた


「ほら、リアナ様が優斗さんのチャンネルとコラボしています!」
「そうか、今、俺はこの戦闘シーンをリアルタイムでYouTubeに投稿している」



「それですよ、リアナ様は優斗さんの動画を見つけ出したんですよ」
「なるほど!」


「リアナ様はメガインフルエンサーです。もっと増えますよ」



それを聞いた瞬間
リアナはまさに女神に見えた。



日本だけでも利用者数が7000万人以上とされるYouTube。
その中で、俺の動画を見てくれる人など誰一人としていなかった。


YouTubeの検索エンジンはおろか
さらにその上をいくGoogle検索エンジンでさえも
俺の動画を探すことができなかったのだ。


俺の動画は100本以上ある。
それなのに、一つも見つけられず
全てが過ぎ去っていったのだ。


カインのスマホからリアナが応援してくれる姿が映った。
リアナの姿、なんて可愛らしいだろうか。

勇気が湧かないはずがない!

俺は残り8体のシャドウスレイヤーを睨みつけた。

5体のシャドウスレイヤーが倒したものの
まだ残り8体が俺やみんなを殺そうとしている。


彼らの冷酷な視線が鋭く突き刺さり
緊張が一瞬にして全身を覆った。

「まだ終わっていないぞ……!」

俺は再び剣を構える。
敵の連携は完璧で一瞬の油断も許されない。

シャドウスレイヤーの一体が先に動き出し
その鋭い毒剣を振りかざしてきた。

「これで終わらせる!」

俺は心の中で叫び
剣に全ての力を込めた。

リアナの応援が俺に力を与えてくれる。
剣を振り下ろし


『ブレイジング・スター』


スキルを発動させた。

剣から放たれる光が一瞬で周囲を包み込み
シャドウスレイヤーたちに向かって突き進んだ。


「ーーーーーーーッギ!!」


強烈な光が8体のシャドウスレイヤーを貫き
彼らは一斉に倒れ込んだ。


冷酷な視線も、もう感じることはなかった。


「やった……!」


俺は剣を握りしめ
息を荒げながらも立ち続けていた。

全身に汗が流れ
疲労が押し寄せる中
勝利の実感が胸に広がった。

カインが駆け寄ってきて、笑顔で言った。
「優斗さん、素晴らしいです! リアナ様も大変喜んでおられる!」



スマホの画面に映るリアナの笑顔が輝いて見えた。
彼女の応援が俺に力を与え
勝利に導いてくれたのだ。


「ありがとう、リアナ。 君のおかげで勝てたよ」

リアナの姿を見つめながら、俺は心から感謝した。

リアナは俺に向かって笑顔で手を振った。


しかし、その時!
リアナは突然苦しみ出した。


「リアナ?」

俺は不安を感じながら
彼女の名前をそっと呼んだ。


リアナは手で口を押さえ始めた。



ーーーーーーーーーッ!!


血を吐いている!


「リアナっ!!」
俺は大声で叫んだ。


「リアナ様!!!」
カインたちも一斉に叫ぶ。



しかし
リアナの動画はそこで途切れた。




「おい! リアナっ! どうしたんだよ!?」
俺はスマホ画面に食らいついた。



その時、街の人の一人が俺に歩み寄ってきた。
彼は城の財務官、ルーカスだった。


「リアナ様は今、闇の帝国にある牢獄に監禁されているのです」
ルーカスは苦悶の表情で話し始めた。



「た、確かにそうだったな……」
俺は何とか自分を落ち着かせようと必死になった。


「そこでひどい拷問を受けているのです」
「拷問……?」
俺は全身に身震いが生じた。

「はい、リアナ様は全身に猛毒を盛られているのです。魔王に、もてあそばれているのです」
「なんだとっ!?」


「なんで、そんなひどいことをっ!!」
カインはルーカスに詰め寄る。


「魔王は残酷な男です。 リアナ様の泣き叫ぶ姿を動画にしてYouTubeに投稿しようとしているのです」
「えっ!?」

俺もカインたちもみんな呆気に取られた。


「そんな動画がアップされたら、人間界は大きな絶望に包まれるでしょう。 英雄リアナ様の悲鳴は、私たちにとって計り知れない脅威です」

「……」

「リアナ様はその魔王の策略をよく存じており、どんな拷問にも悲鳴を上げずに耐えておられるのです」

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