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第四章: 傾国の姫君
第七十三伝:明日へ
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<解放者本部・野営地>
長きに渡る戦いは、連合軍の勝利に終わった。
悪の道に堕ちたヴィルフリート国王は声も上げず絶命し、生存者の兵たちを引き連れてゼルギウスが先頭を歩き、その隣を雷蔵とシルヴィが足を進める。
王国軍の兵士が負傷した解放者軍の騎士を背負い、共に戦った戦友として掴んだ勝利を嚙み締めていた。
その光景は正しく、新たなフレイピオスとしての姿に相応しいものだった。
やがて雷蔵達は解放者のキャンプ地へと差し掛かる。
全員の帰りを待ち、先に城下町から避難していた市民たちの歓声を受けながら彼らは凱旋した。
だが、忘れてはならない。
この戦いは必ずしも、犠牲無しでは成し遂げられなかった事を。
ゼルギウスの後に歩くレーヴィンの前に、一人の少年が姿を現す。
赤毛の少年はその両手に見覚えのある騎士剣を抱いており、恐る恐る彼女に差し出した。
黒い十字型の鍔に、血糊で錆びついた刀身。
柄頭にはこのフレイピオスの王冠を模したものが付けられており、レーヴィンはゆっくりとその少年の前に両膝を着く。
そんな彼女の行動に気が付いたアルカードやギルベルトが同じように座り込み、少年――――フェイトの頭を撫でた。
「……………僕を助けてくれた、騎士のお兄さんが持ってたんだ」
少年はそんなことを口にする。
この剣の持ち主、ハインツ・デビュラールは確かに仕えた主により一度道を違えた。
だが、最期に騎士としての本懐を取り戻した。
そんな事を思ったレーヴィンは、その少年の優しく抱きしめる。
彼女の隣に立っていたアルカードが耐えきれず、大粒の涙を両目から流した。
「ありがとう……。良く、無事にこの剣を届けてくれた。この剣は、君が持っていてくれ」
「で、でも……」
「ハインツは君に命を繋いだ。次は君の番だ」
微かに涙を浮かべながらレーヴィンはもう一度フェイトの頭を撫で、立ち上がる。
そんな様子を見ていたゼルギウスは帰還兵たちの足を一度だけ止め、彼らを迎えた民たちに口を開いた。
「聞いてくれ、皆。これは皆が生きていく国の未来に関わる、大事な話だ。知っている者もいると思うが、私はゼルギウス=ボラット=リヒトシュテイン。あの王城に二年以上幽閉され、存在を抹消されていた男だ。私の事を王位継承者と呼ぶものも居る。ヴィルフリート国王が魔物の変貌を遂げた事によって、我々は王を殺さざるを得なくなった。故に我々は、こうして皆の元に帰ってきた」
彼の話を聞く市民たちの中には、本当にゼルギウスを憎んでいる者も少なからずいるだろう。
だが敢えて、ゼルギウスは話しを続ける。
「この戦いを終えて、喜びを嚙み締める者もいれば悲しみに打ちひしがれている者もいる事だろう。その原因を作ってしまったのは私だ。私が解放者、という組織を作らなければこのような戦乱が起こる事は無かったのかもしれない。……本来ならば、生きていた者もいる筈だ」
ゼルギウスはアルカードとレーヴィンに視線を傾けながら、静かに頷いた。
「故に私は……この国の正式な王位継承者として、一つの選択を取る。それは、王位を廃止する事だ」
国民の中から無数のどよめきが生まれる。
無理もない。
明日を無事に過ごせる保証もない中で、伝統ある国の変化を受け入れる事自体難しい事だろう。
「王という代表者と数人だけで国を導くのはどうしても偏ってしまう。嘗てのエルフ至上主義のように、国の中で身分の差が生まれてしまう。それを無くし、あらゆる人間が平等に生き、対等に渡り合える国を作る。……それが、この戦乱で亡くなった者への贖罪だと私は考えている」
ゼルギウスはその場で膝を着き、額を擦り付けた。
「だから、頼む。皆の力を貸してほしい。この国が二度と間違いを犯さないように、皆の手で国を変えて欲しい。この国がより良いものへと変わり、何代へと続く未来が保証されるのなら……私は喜んで今の地位を捨てよう」
しばらくの静寂と共に、一人の老婆が跪く彼に歩み寄る。
優しい笑顔を浮かべている彼女はゼルギウスの手を握った。
「貴方達がこの国を救ったんです。だから今度は私達が、貴方達を救う番です。みんなでじっくり話し合って、国の方針を決めましょう」
「ご老体……」
「男手も必要だろう。力仕事なら任せてくれ」
「まずは王都を復興させなきゃ。国の将来は、それからにしよう」
多くの人間がゼルギウスの元に集まり、彼の励ましの言葉を掛ける。
国民の多くは本当の事を知らない。
ヴィルフリート国王が私利私欲の為に王座に就いた事も、その裏でロイ・レーベンバンクという巨悪がいる事も。
だが、彼らの苦しみは理解できる。
そんな光景を傍らで見つめていた雷蔵は、静かに笑みを浮かべた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<王都ヴィシュティア郊外>
一方その頃。
郊外の畦道では、一人の青年が冷や汗を流しながらひたすらに地面を駆けている。
氷漬けにされた片腕を斬り落とし、傷口を布で覆いながらも彼は何かから逃げるように走っており、その表情は怯えている。
フィオドール・ヴァレンシア。
ヴィルフリート国王に雇われた殺し屋の一人で、マナニクス魔導研究所から逃げ果せたうちの一人であった。
そんな彼の背後を追走するのは、白衣に身を包んだ男女一組。
志鶴長政と志鶴藤香。
ロイの手によって死体をこの国に運ばれ、彼の実験の第一人者として再び生を受けた人成らざる者。
「はァッ……! はァッ……! こ、この化け物どもがァッ!! 」
そう悲鳴交じりの罵声を浴びせる彼に対して、二人は眉一つ動かさない。
長政は手にした刀の鎺を外しながら一歩前へ踏み出す。
ある程度の距離は離れていたのにも関わらず、長政は僅か一歩だけでフィオドールと距離を詰める。
自身に施された無尽蔵の肉体強化のルーンが作用し、剣の腕は素人に近くとも能力の差でその隙を埋める事が出来る。
相変わらず笑みを浮かべながら刀を引き抜いたその姿は、間違いなく化け物であった。
地面に叩き付けられたフィオドールはそんな彼の姿を見上げながら、声にならない悲鳴を上げる。
「……大人しくしてくれ。何も俺たちは、君を殺そうとしている訳じゃないんだ」
「ほざけェッ!! テメェらなんかに俺を捕まえる義理なんざ無ェだろうがァッ!! 雇用主も魔物になっちまって、最早俺がここにいる道理もねェ! とっとと俺の目の前から失せろォッ!! 」
瞬間、フィオドールの身体が凍り付いたように動かない。
眼球だけを動かすと長政の背後に立っていた黒い長髪の女が、目を光らせながら彼の方を向いている。
もう一人の実験体、志鶴藤香に埋め込まれた魔法のルーンは拘束。
ある一定条件下でしか発動できないデメリットがあるが、それでもその双眸に捉えられた者は彼女が術式を解除するまで逃れる事が出来ない。
「おやおや。そのような言い草、同じ主の下で戦った人間の言葉とは思えませんね」
穏やかな口調の男の声がフィオドールの耳に響き渡る。
ブーツの靴底を鳴らしながら、眼鏡を光らせる白衣の男――ロイ・レーベンバンクはその場から動けないフィオドールを舐めまわすように見つめた。
「どうも、フィオドールさん。研究所からずっと貴方の事を追わせて頂きました。大変だったんですよ、彼らに追いつくのは。まあでも、無事で何よりです」
「ろ、ロイ……! 」
「あぁ、そう怖がらないで。彼の言った通り、僕らは本当に貴方を殺そうとしている訳じゃありません。ただ……貴方に協力してほしいだけなんですよ」
「何……? 」
藤香の拘束術式が解除され、フィオドールの身体は再び地面に落とされる。
腕の傷が痛むが、この男の前で弱さを見せればあっという間に付け込まれるだろう。
「貴方が望んでいる事は知っています。その腕も治しましょう。だから僕に力を貸してほしい」
「嫌だ……って言ったらどうなる」
ロイは笑みを浮かべながら、口を開く。
「拒否権はありませんよ。だってもう、貴方――――逃げ場所がないじゃないですか」
彼の姿はゆっくりとフィオドールに近付いた。
その光景が酷く恐ろしいものに見えて、彼は思わず叫ぶ。
だがその叫び声が虚空に響くばかりで、フィオドールの意識はロイの手を最後に遠のいていった。
長きに渡る戦いは、連合軍の勝利に終わった。
悪の道に堕ちたヴィルフリート国王は声も上げず絶命し、生存者の兵たちを引き連れてゼルギウスが先頭を歩き、その隣を雷蔵とシルヴィが足を進める。
王国軍の兵士が負傷した解放者軍の騎士を背負い、共に戦った戦友として掴んだ勝利を嚙み締めていた。
その光景は正しく、新たなフレイピオスとしての姿に相応しいものだった。
やがて雷蔵達は解放者のキャンプ地へと差し掛かる。
全員の帰りを待ち、先に城下町から避難していた市民たちの歓声を受けながら彼らは凱旋した。
だが、忘れてはならない。
この戦いは必ずしも、犠牲無しでは成し遂げられなかった事を。
ゼルギウスの後に歩くレーヴィンの前に、一人の少年が姿を現す。
赤毛の少年はその両手に見覚えのある騎士剣を抱いており、恐る恐る彼女に差し出した。
黒い十字型の鍔に、血糊で錆びついた刀身。
柄頭にはこのフレイピオスの王冠を模したものが付けられており、レーヴィンはゆっくりとその少年の前に両膝を着く。
そんな彼女の行動に気が付いたアルカードやギルベルトが同じように座り込み、少年――――フェイトの頭を撫でた。
「……………僕を助けてくれた、騎士のお兄さんが持ってたんだ」
少年はそんなことを口にする。
この剣の持ち主、ハインツ・デビュラールは確かに仕えた主により一度道を違えた。
だが、最期に騎士としての本懐を取り戻した。
そんな事を思ったレーヴィンは、その少年の優しく抱きしめる。
彼女の隣に立っていたアルカードが耐えきれず、大粒の涙を両目から流した。
「ありがとう……。良く、無事にこの剣を届けてくれた。この剣は、君が持っていてくれ」
「で、でも……」
「ハインツは君に命を繋いだ。次は君の番だ」
微かに涙を浮かべながらレーヴィンはもう一度フェイトの頭を撫で、立ち上がる。
そんな様子を見ていたゼルギウスは帰還兵たちの足を一度だけ止め、彼らを迎えた民たちに口を開いた。
「聞いてくれ、皆。これは皆が生きていく国の未来に関わる、大事な話だ。知っている者もいると思うが、私はゼルギウス=ボラット=リヒトシュテイン。あの王城に二年以上幽閉され、存在を抹消されていた男だ。私の事を王位継承者と呼ぶものも居る。ヴィルフリート国王が魔物の変貌を遂げた事によって、我々は王を殺さざるを得なくなった。故に我々は、こうして皆の元に帰ってきた」
彼の話を聞く市民たちの中には、本当にゼルギウスを憎んでいる者も少なからずいるだろう。
だが敢えて、ゼルギウスは話しを続ける。
「この戦いを終えて、喜びを嚙み締める者もいれば悲しみに打ちひしがれている者もいる事だろう。その原因を作ってしまったのは私だ。私が解放者、という組織を作らなければこのような戦乱が起こる事は無かったのかもしれない。……本来ならば、生きていた者もいる筈だ」
ゼルギウスはアルカードとレーヴィンに視線を傾けながら、静かに頷いた。
「故に私は……この国の正式な王位継承者として、一つの選択を取る。それは、王位を廃止する事だ」
国民の中から無数のどよめきが生まれる。
無理もない。
明日を無事に過ごせる保証もない中で、伝統ある国の変化を受け入れる事自体難しい事だろう。
「王という代表者と数人だけで国を導くのはどうしても偏ってしまう。嘗てのエルフ至上主義のように、国の中で身分の差が生まれてしまう。それを無くし、あらゆる人間が平等に生き、対等に渡り合える国を作る。……それが、この戦乱で亡くなった者への贖罪だと私は考えている」
ゼルギウスはその場で膝を着き、額を擦り付けた。
「だから、頼む。皆の力を貸してほしい。この国が二度と間違いを犯さないように、皆の手で国を変えて欲しい。この国がより良いものへと変わり、何代へと続く未来が保証されるのなら……私は喜んで今の地位を捨てよう」
しばらくの静寂と共に、一人の老婆が跪く彼に歩み寄る。
優しい笑顔を浮かべている彼女はゼルギウスの手を握った。
「貴方達がこの国を救ったんです。だから今度は私達が、貴方達を救う番です。みんなでじっくり話し合って、国の方針を決めましょう」
「ご老体……」
「男手も必要だろう。力仕事なら任せてくれ」
「まずは王都を復興させなきゃ。国の将来は、それからにしよう」
多くの人間がゼルギウスの元に集まり、彼の励ましの言葉を掛ける。
国民の多くは本当の事を知らない。
ヴィルフリート国王が私利私欲の為に王座に就いた事も、その裏でロイ・レーベンバンクという巨悪がいる事も。
だが、彼らの苦しみは理解できる。
そんな光景を傍らで見つめていた雷蔵は、静かに笑みを浮かべた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<王都ヴィシュティア郊外>
一方その頃。
郊外の畦道では、一人の青年が冷や汗を流しながらひたすらに地面を駆けている。
氷漬けにされた片腕を斬り落とし、傷口を布で覆いながらも彼は何かから逃げるように走っており、その表情は怯えている。
フィオドール・ヴァレンシア。
ヴィルフリート国王に雇われた殺し屋の一人で、マナニクス魔導研究所から逃げ果せたうちの一人であった。
そんな彼の背後を追走するのは、白衣に身を包んだ男女一組。
志鶴長政と志鶴藤香。
ロイの手によって死体をこの国に運ばれ、彼の実験の第一人者として再び生を受けた人成らざる者。
「はァッ……! はァッ……! こ、この化け物どもがァッ!! 」
そう悲鳴交じりの罵声を浴びせる彼に対して、二人は眉一つ動かさない。
長政は手にした刀の鎺を外しながら一歩前へ踏み出す。
ある程度の距離は離れていたのにも関わらず、長政は僅か一歩だけでフィオドールと距離を詰める。
自身に施された無尽蔵の肉体強化のルーンが作用し、剣の腕は素人に近くとも能力の差でその隙を埋める事が出来る。
相変わらず笑みを浮かべながら刀を引き抜いたその姿は、間違いなく化け物であった。
地面に叩き付けられたフィオドールはそんな彼の姿を見上げながら、声にならない悲鳴を上げる。
「……大人しくしてくれ。何も俺たちは、君を殺そうとしている訳じゃないんだ」
「ほざけェッ!! テメェらなんかに俺を捕まえる義理なんざ無ェだろうがァッ!! 雇用主も魔物になっちまって、最早俺がここにいる道理もねェ! とっとと俺の目の前から失せろォッ!! 」
瞬間、フィオドールの身体が凍り付いたように動かない。
眼球だけを動かすと長政の背後に立っていた黒い長髪の女が、目を光らせながら彼の方を向いている。
もう一人の実験体、志鶴藤香に埋め込まれた魔法のルーンは拘束。
ある一定条件下でしか発動できないデメリットがあるが、それでもその双眸に捉えられた者は彼女が術式を解除するまで逃れる事が出来ない。
「おやおや。そのような言い草、同じ主の下で戦った人間の言葉とは思えませんね」
穏やかな口調の男の声がフィオドールの耳に響き渡る。
ブーツの靴底を鳴らしながら、眼鏡を光らせる白衣の男――ロイ・レーベンバンクはその場から動けないフィオドールを舐めまわすように見つめた。
「どうも、フィオドールさん。研究所からずっと貴方の事を追わせて頂きました。大変だったんですよ、彼らに追いつくのは。まあでも、無事で何よりです」
「ろ、ロイ……! 」
「あぁ、そう怖がらないで。彼の言った通り、僕らは本当に貴方を殺そうとしている訳じゃありません。ただ……貴方に協力してほしいだけなんですよ」
「何……? 」
藤香の拘束術式が解除され、フィオドールの身体は再び地面に落とされる。
腕の傷が痛むが、この男の前で弱さを見せればあっという間に付け込まれるだろう。
「貴方が望んでいる事は知っています。その腕も治しましょう。だから僕に力を貸してほしい」
「嫌だ……って言ったらどうなる」
ロイは笑みを浮かべながら、口を開く。
「拒否権はありませんよ。だってもう、貴方――――逃げ場所がないじゃないですか」
彼の姿はゆっくりとフィオドールに近付いた。
その光景が酷く恐ろしいものに見えて、彼は思わず叫ぶ。
だがその叫び声が虚空に響くばかりで、フィオドールの意識はロイの手を最後に遠のいていった。
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