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最終章 僕たちの未来へ☆

鉄大人と最上老人 その二

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「鉄っつぁん。あんた、生きていたのか?」
昭和の名優佐藤慶に似ている風貌の最上龍一は鉄大人の声を聞いて驚いた。
死んだと思い込んでいたからだ。
最上老人には鉄大人との遺恨は無い。
日本のフィクサーの両巨塔として、この国に影響を与えてきた。
鉄大人が元気な頃に政治家の森田に手を出せなかったのは、親米政治家の森田の背後に最上老人がいたから。
最上老人はアメリカとのパイプが強く、常にアメリカの利権を優遇してきた政治家の森田と森田派を庇護して欲しいとアメリカから頼まれたからだ。
やむにやむおえずの事では有る。
そして森田に事後承諾で鉄大人を始末したと言われた最上老人は、鉄大人がいなくなった後に、やむ無しで協力をしてやる事にしたのだが。
無能の森田一党は経済ブローカーの石山と配下の女傭兵にいいようにやられて、その後にまた最上に助けてくれと泣きつかれたのだ。
そんな事は先に話せ!馬鹿!と、ど叱ってやって森田もべそをかいていたが、なきつかれた以上はまず田代を恫喝して、石山の命も狙ったが、石山は姿をくらませた。
最上の手駒の武力装置を使い、どう処理するか考えていた所ではあった。
しかし鉄が生きているとなると…
全ての前提がひっくり返る。
相手にするのが、石山や田代などでは無い。

この男相手だと血みどろの戦いになるのだ。

「いやあ、龍ちゃん。参ったよ。森田や香坂なんぞに殺されかかっちゃった。
秘書で片腕の鷹沢が身を挺して俺を庇ってくれてさあ。なんとか一命をとりとめたんよ。」

「鉄っつぁん。俺はあんたより10歳年上なんだが、いつもいつも龍ちゃんって言われるのもなぁ『苦笑』」

「なんだい?龍ちゃんだって俺の事鉄っつぁんなんて呼んでんじゃねえか。
江戸時代じゃねえんだぜ。『笑』
まあ…いいや。
実は龍ちゃんに頼みがあってなあ。」

「鉄っつぁん。そいつは森田の庇護を止めろって事かね?」

「さっすが。察しが早いね。」

「悪いがそれはできねえ相談だよ。鉄っつぁん。
森田はアメリカさんに頼まれてんだ。
あんな無能でもアメリカには必要な政治家なんだよ。
ただし森田がもうあんたを狙わないように、森田に言って聞かせよう。
俺が仲裁させてもらうよ。
ただし、石山と田代は切り捨ててもらうよ。」


「そいつはできねえなあ『笑』
田代は政治家としちゃあなかなかの奴だし、石山にも恩義が有るからね。
それに元々は森田の馬鹿が俺に牙を向きやがったからだぜ。『笑』」

「鉄っつぁんには悪くはしないんだがね。まあ…確かにあんたは義理堅い性格だが、俺もこの国の天秤を狂わせないようにしなきゃいけない。
アメリカと日本を揉めさせる訳にはいかない。
日本の為にもね。
特に最近はアジア情勢もきな臭いし、ロシアはむちゃくちゃな戦争をやりだしたりしてるからな。」

「アメリカと仲良くする分なら、龍ちゃんならなんとか出来るだろ?
俺は森田だけは始末をつける!って言ってんだせ!」

「そうはいかない。アメリカの機嫌を損ねたら日本の国益を損なう。
俺はこの国を守らなきゃいけない立場だからな。
鉄っつぁんには悪いけどな。」

「龍ちゃん。俺はなあ…前から思ってたんだが、いい加減にいつまで日本人はアメリカの顔色ばかり伺わなきゃいけねえんだ。
今度の再選されるかも知れねえ大統領候補は日本に何を言ってくるかも分からねえ性格だしなあ。
アメリカさんもこれからどんな風な国になっていくかも分からねえんだ。
これからは俺たち日本人も自分たちで自分たちの進む道を…決めて歩いて行かなきゃいけねえんじゃねえのかな?」

「鉄っつぁん。そりゃただの理想だ。
だいたい今の日本に自分たちで自分の国を守れるかい?
もしアメリカの庇護がなくなれば…
例えば中国やロシアなんかが一気に牙を向くかも知れねえんだぜ。
そのためにもアメリカとの安全保障は必要なんだよ。
森田は屑政治家では有るが、アメリカの国益の為なら実際に何でもやって、アメリカの庇護で大物政治家になったんだ。
まあ…自分の保身のためだけどよ。
それでも切り捨てる訳にはいかんよ。」

「どうしてもかい?龍ちゃん。じゃあ俺と血みどろになってやり合う事になるがね。」

「そりゃ脅しか?鉄っつぁん。
俺がそんな脅しにビビると?
あんたにも手練れの女傭兵がいるが、こっちも腕っこきの私設軍隊の一個小隊はいるぞ。」

「思わねえよ!あんたはそんなタマじゃねぇ『笑』
ただなあ…俺はあんたを殺りたかあねえんだ!
俺は無責任な美少年好きのオヤジだが、あんたはこの国にゃあ必要なジジイだからなあ。『笑』」

「ジジイって鉄っつぁんだってジジイじゃねえか。『笑』
それになんであんたそこまでやるんだい?撃たれたからか?」

「俺は龍ちゃんより10若えんだ。俺はまだジジイじゃねえ。
それに俺が絶対に引けねえのはなあ…ダチを殺されたからだよ…」

「ダチ?ダチってのは?誰だい。」

「俺を守って死んだ秘書の鷹沢航平はダチだったんだよ。俺はあいつらを手下なんて思った事ぁねえ。ダチなのさ。
音成もそうだしまだ若いがマモルだってそうさ。俺はダチを森田や香坂に殺されたんだ。
映画のワイルドスピードもダチの為なら世界を敵にまわしても戦うぜ。
あっ誤解されたら困るが、鷹沢はノーマルで恋人もいたんだ。
だから俺と変な関係があった訳じゃねえ。ただのダチだ。
まあ…俺の好みは10代後半の美少年だしなあ…『苦笑』で…龍ちゃんどうするね?
俺には日本の事情も何も関係ない。
ダチの敵を討つだけよ!
それでも俺とやり合うかい?」

◈最上老人は呆れていた。
単に鉄っつぁんはダチのためだけにこの俺を…敵に回してもやり合うつもりかよ!
こいつは絶対に引いてはくれねえ。
さて…どうするか…?

はぁ…森田を捨てるしかねえか『苦笑』

最上
「鉄っつぁん…負けたよ!
はぁ…まあ…アメリカはなんとか俺が交渉するさ。
俺はまだ日本にはアメリカが必要だと思ってるからな。
森田の代わりの政治家は誰か選ぶかな。
早川辺りかな?
だが森田は好きにしな。
もう俺には関係ない。だいたい俺はあのデブが嫌いだったんだ。『笑』」



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