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最終章 僕たちの未来へ☆

復活した男!

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森田康彦の屋敷前に置かれていた惨殺死体。
秘書の工藤だった。
ましてや工藤が何もかも森田の闇を話している動画がマスコミにも流されて!

お台場埠頭で起こった銃撃事件。
白薔薇からの奴隷少年の脱走事件。
白薔薇オフィスの襲撃事件。
そして与党最大派閥森田派総帥の大スキャンダル。
世界中の報道機関が今、日本では見えない戦争が起こっていると、連日ニュースで流れていた。
またアメリカ、中国、ヨーロッパなどから日本の外務省にいったい日本はどうなっている?の問い合わせが有り、外務省はパンク状態。
首相の菊田、官房長官の佐竹などの内閣官房は対応に追われている。
そして最大派閥で80人以上のメンバーがいる森田派は大混乱。
大将の森田が病気療養で休んでいる以上森田派はなんとかナンバー2の早川がなんとかまとめている。
そして早川は白薔薇の事は何も知らなかった。
そしてこの事件の詳しい概要も。
早川はただ森田への従順性を買われてナンバー2の地位についているだけなのだ。
その早川に田代が訪ねて来たのには早川も驚いた。
田代は無派閥で地元では選挙には絶対的に強いので、議員ではいるが、国益などには全く口を出さない典型的な地方の利権だけが目的の政治家だったからだ!
だから当選回数は多いが、大臣経験はない。
しかし田代が俺、早川になんのようだ?

ここは赤坂の料亭。
京都料理が美味く田代が懇意にしている店。
田代が早川を呼び出したのだ。
田代は和服の正装で東京出身の早川はキチンとしたスーツを着こなしている。

田代
「まぁまぁ。早川先生。ほんまよう来てくれましたなあ。」

早川
「田代先生。我々森田派と反身のあなたがなんの御用です。
私も忙しいからこんな暇もないのですがね!」

早川としては今の政局大混乱の始末に追われているのだ。

田代
「早川先生…実は、森田派と言いますか、与党そのもんを救う方法がありますのや。
このままでは日本もえらい事になってまうからなあ!」

早川は怪訝な顔で田代を見る。
田代は早川にこの白薔薇事件の全容を話す。

元々は白薔薇内の覇権争いから山縣鉄老人襲撃事件から起こった事。
森田が警察内部の幹部で将来の総監候補の五十嵐、闇金の大物でパトロンの兵藤、メディア界の大石、白薔薇支配人の香坂、極道組織、政治団体などが結集して、日本の影の最高権力を握ろうとした事。
ところが、経済ブローカーの石山秀政、元は山縣老人の部下音成小夜、さらに白薔薇内部からの寝返り者も複数出て、そして政治家の田代自身も森田たちへの敵対勢力として動いて来た。
そして森田たちは各個撃破されて、極道組織も政治団体も森田を見放し、森田自体も工藤の動画拡散で、もはや死に体になっていた。
早川からすれば全て驚きの情報だった。
要は白薔薇内部の争いだったものが、日本の権力争いに直結したと言う事だ。

早川
「しかし…田代さん…あなたはなんでここまで知ってるんです?
あっ…あんた…まさか?」

田代
「まあまあ。野暮な事はいいっこ無しや。『笑』
それにわしは元々そっちの噂はあったで。
実際にわしは独身やしな。
それにわしは日本の政治家で一番LGBTQ問題には熱心に取り組んで来た!
それはあんさんも認めるやろ!
まあ…森田派は保守的やったから、LGBTQ問題では邪魔ばっかされたけどな。
全く大将の森田が白薔薇の客やった癖になあ。『笑』」

早川
「はあっ…なるほど。それであなたは自分は助かる為に取引をしようと?」

田代
「そりゃそうや!
ただな。わしは元々地元の為に政治家を目指したんや。
わしは地方の貧乏農家の倅やったからな。
わしには国の事まで面倒見る器量はない!
ただ、地元のわしを国会に送り出してくれた有権者の方々に嘘はついた事だけはない!
わしはわしに投票してくれた地元を安心して暮らせるようにするためだけに働いとるんや!
そんな事は当たり前やろ!
最近はやたらとデカい口を叩いて国はどうかとか世界はどうかと有権者にカッコばっかつく政治家が多いが、自分に投票してくれた地元の有権者に政治家が嘘こいてどないすんねん!
それこそ詐欺やで。『笑』」

早川は首都圏選出議員の為に田代とは考えが違うが、田代が政治家として筋を持った政治家なのは理解した。

田代
「それとな。白薔薇にはわしのお気に入りの子がおってな。
この子はこれから大変になるやろうが出来るだけ守ってやりたいんや。
もちろん他の白薔薇の子たちもな。
だからわしはまだ政治家を辞める訳にはいかんのや。『笑』」

早川
「なるほど。田代さん。ではこれからどうしろと言うのですか!」

田代
「簡単なこっちゃ。
森田派内であんたがクーデターを起こせばいい。
森田派を乗っ取ってあんさんが頭になりなされ。
早川派の誕生や。」

早川
「しかし森田先生はあれで力がある。反撃されたら恐ろしい。
それに森田先生にはまだ山縣老人と並んで日本のフィクサーと呼ばれている最上老人がついている。
最上老人の後ろにはアメリカがいるんだ。
森田先生は親米派だったからね。
またアメリカの利権の為に凄く尽力していたし。
それに最上老人が動けば、また財界やメディアや裏社会がまた森田先生を救う為に動くかも知れない。
田代さん。そこはどうするのかね。」

田代
「そうやな。確かにまだ最後の砦の最上の爺さんがおったな。
あの人はわしや石山のあんちゃんでもよう歯が立たん相手や。
ただな…最上の爺さんと渡り合える人がおったら話は別やで。」

早川
「あの老人と渡り合える?
そんな人がいるものか?」

ーーーーー

◈音成小夜はジュディを連れて池袋の闇医者の西野を訪ねていた。
闇医者といっても、元はドイツの大学病院で働いていて、外科技術はトップクラスの腕を持ち、一時は海外の戦場で野戦病院で働いていた。日本に帰ってきて、大学病院内の政争に巻き込まれて医師免許も失ったが、山縣鉄大人に医師としての腕を見込まれて、闇医者として生計を立てていた。
池袋のあるマンションの一室を闇医者の診察場所としていたのだ。
また設備も立派で手術設備も立派に揃っていたのだ。
音成が西野の部屋のインターホンを鳴らすと中から、元は音成の同僚の日野真守が出てきて音成を案内する。

音成
「マモル。ごくろうさま。でじっちゃんは元気か?」

マモル
「じっちゃんなんて。本人が聞いたら怒りますよ。
まあ…しかし目を覚ましたら、呆れる程元気で、看護師の瀬尾さんを怒らせてばかりで困ってますよ。」

音成は苦笑した。
全くあの老人はタフと言うか?
なんと言うか?

ガチャリ!
音成がマモルとジュディを伴い中に入る。
そこで見た光景は!


「おー!おー!あの苦しい!苦しいんだけど、瀬尾さん…
俺は病人だぞ!
首を締めたら!
死んじゃうでしょ!」 

瀬尾
「あー!ジジイがあたしのケツを触るからだろが!
てめえ、血管に空気注射するぞ。こらっ!」


「あっ…瀬尾さん…お前、さしずめ元ヤンだな!
図星だろう『笑』」

瀬尾
「決めた!このジジイ!今から空気注射決定!」


「あ…俺はね…この前…何発も鉛玉ぶち込まれた可哀想な子猫ちゃんなんだよ!
それに空気注射なんかするかぁ?」

瀬尾
「誰が子猫ちゃんだ!気持ち悪いだろ!ジジイ!
私はマンチカン飼ってんだ!
名前はポン太!
だから猫に謝れ!」


「プッ!ポン太とは…
狸みたいな名前よな『笑』」

瀬尾
「殺す!」

看護師の瀬尾は空気注射を鉄大人の静脈に刺そうとした!


「あ~!わわわ!
瀬尾さん…待って待って!
話せば分かる!
分かるから!ゆるしてちょ!」

音成
「なあ…マモル…鉄大人…。
ずっとこの調子…か?『呆れ』」

マモル
「はあっ…目を覚ましてから…
ずっとこうです。『汗』」

音成
「やっぱり鉄大人。
あの襲撃で死んだ方が良かったのかな❓」

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