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第八章 自由への闘い!仲間を守る為に!

警視庁参事官 片瀬茜

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警視庁参事官の片瀬茜は娘の柴野純子と久しぶりに江東区のレストランで食事をしていた。
元夫の柴野健二より純子の事で相談の電話を受けたのだ。
娘が警察の仕事をやめたいと!

「純子。あなたは自分で決めて私と同じ警察官になった訳でしょ?
ましてやあれだけ必死に勉強して学校も出てキャリア組にもなった。
あなたが今、やめたらキャリアの全てが台無しになるのよ。
分かっているの?
だいたいなんで辞めたいなんて言うのよ?
健二さんも心配して私に電話を寄こしたのだし。
理由があったら答えなさい。」

純子はなんとも言えない複雑な表情をしている。
そしてためらいながら口を開いた。

純子
「もう…警察の組織が信用できないから…。」



「はっ…純子。あなた何を言ってるの?
私はあなたがどうして仕事をやめたいのか聞いてるのよ!
警察機構がどうだかなんて、あなたが口を出す事でもないでしょ。」

純子
「お母さん。私は困ってる人を助けたくて警察官になったの?
でも本庁はトモ君とジュン君を連れ去ったままその件は沙汰止み。
そして私は赤坂東署の神田署長や袴田課長から圧力をかけられた。
これっておかしくないの?」


「あなた…何を言っているの?
トモ君とジュン君って誰の事?」

純子
「警察上層部のお母さんが知らない事ないでしょ?
あれだけ大きな組織なんだから!
白薔薇の事よ!」


「白薔薇?白薔薇って何?」

純子が眼鏡の奥の眼を光らして怒りに任せて口を開いた。
思わず声を荒げる。

純子
「白薔薇は非合法少年売春組織の名前よ!
トモ君とジュン君はそこで非合法売春させられていたの!
奴隷としてね!」


「なんですって!そんな馬鹿な事が?」

純子
「私と先輩の真山巡査長が二人を保護したのよ。
そうしたら本庁の一倉警視が二人を連れて行って、それから二人の消息は分からずじまい。
それで終わりよ!」


「一倉?一倉は知ってるわ。
今は私と同じ参事官よ。
共に捜査に当たった事さえある。
確か一倉参事官は…
でも純子あなたそれは…
本当なのね?」

純子
「真山さんに聞いてくれれば分かる。
真山さんは単独で白薔薇を調べてるの?
でもそのせいで命を狙われた。
真山さんは…私を巻き込まない為に…警察を…やめろ…って言ったの。
このままだと…私も…殺されるからって…私が警察キャリアの娘だって…知らないから……ううう…『涙』」

レストラン支配人
「あっ…あの…申し訳ございませんが、他のお客様のご迷惑にもなりますので、もう少しお静かにお話いただければ。」


「あ…すいません。あ…もう帰りますので精算を…。」

レストランを出た茜と純子は運河沿いの公園を歩きながら話す。
夜景が水面に映えて美しい。


「純子。とりあえず辞表はまだ出さないで置きなさい。
ただ赤坂東署には行かないでいいわ。病気療養とでも言っておきなさい。
あっ健二さんには余計な心配をさせないように余計な事は言っちゃ駄目よ。
あの人はただのコックだから。
私が真山巡査部長に話を直接聞くわ。確かにこの件はあなたたちが動くには相手が大きすぎる。
しかし一倉とは。」

純子
「一倉を知っているの?お母さん。」


「切れ者よ。それに一倉は警察内部の大きな派閥に属してる。
でもこれ以上は言わないわ。
あなたも聞かない方がいい。」

純子
「………ねえ。お母さん。お母さんもあまり危険な事はしないでね。
何か私、お母さんにとんでもない事を話しちゃったのかなあ…」


「大丈夫よ。それに危険な事は仕方ないわ。
だって私は警察官なのよ。『笑』」

ーーーーー

真山徹也は単独で白薔薇の事を探っていた。
白薔薇の存在するビルはもちろん知っているが、ビルの所有者は覚三津興行と言う名前で、少し前までニコニコ不動産なんてふざけた名前の持ちビルだったらしいが、会長の山縣鉄と言う人物が事故で死んでから覚三津興行が強引に買収したらしい。
かなり悪どいやり方も使ったようだ。
覚三津のバックには大物政治家の森田康彦が関わっているとも聞いてる。
徐々に背景が見えてきたな。

白薔薇オフィスのあるビルが眼の前に見えるマックスバーガー内で、よれたスーツ姿でマックスチーズバーガーとマックスフィッシュをコーラで流し込んでる真山の前に片瀬茜が姿を現した。


「健康に悪い夕食よ。真山巡査長。ちゃんと夕ご飯は白米を食べなさい。」

茜はとにかく口うるさい性格で良く学生時代の純子にクレームを言われたものだ。

真山
「はっ…なんすかそれ。別に何食っても俺の自由っすよ。
それにあんた。誰?」


「あなたの同業者。」

そう言い茜は手帳を見せた。すると真山の眼が鋭く光る。

真山
「うん?あんたは刺客には見えないな。」


「どうしてそんな風に思う訳?
私たちは同じ警察官同士よ。」

真山は冷笑して茜に返す。

真山
「くっハハハハハ!いやあ…だって今は一番信用出来ませんからね。
3日前に俺を銃撃した奴は警官の制服着てたっすよ。
ましてやしくじって逃げたそいつの顔を覚えてたから調べたら、元警察官だったんですよ。
そりゃあ疑心暗鬼にもなりますよ。『笑』」

茜は真山の話を聞き呆然とした。これはとんでもない事件になってるのかも?
刑事を銃撃して命を狙う。
ましてや制服警官の姿で。
それに茜は最近の大事件

メディア界の大石社主狙撃事件や大手サラ金の金丸の爆殺事件などの過去の日本ではあり得ない大事件が続いて起こっていることが、ひょっとしたら一つの線で繋がるのではないか?と考えていた。


「真山巡査長。私もこの捜査には協力させてもらいます。
それを拒否する事は許しません。
だからあなたの調べた捜査状況を私に報告することを命じます。」

マックスバーガーを口に入れて固まる真山。
頬を掻きながら尋ねる。

真山
「あのさあ。あんたは一体誰なんだよ?」


「私の名は片瀬茜。
階級は警視正。本庁では参事官を務めてる。
それにここが一番大切なのは、
柴野純子警部補の実の母親よ!」

驚いた真山の眼が点になる。
この瞬間、白薔薇を捜査する強力チームが誕生した❗

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