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第七章 僕たちの闘い

壊れたマリオネット 一人目

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今朝、優が錯乱して壱に連れて行かれた夜、務めを終えた少年たちは塞ぎ込んでいた。普段なら務めを終えれば直ぐにシャワーを浴び休むのだが、連れ去られた優が心配で、皆休息室で待っている。

綾人「ヒロ。優は大丈夫だよな!
なあ?…ヒロ」

ヒロは黙ったまま答えない。
手枷を嵌められた手で頭を支えてる。

風太「みんな…もう…休まないか?
明日もお務めが…あるし、身体が保たないよ…。」

ミチル「だったら風太とソラの二人だけ休めよ!
僕は優を待つから。」

ソラ「ぼっ僕は別に…休まなくて!いい…から。
優が…心配だし…」

ミチル「心配?ソラをあれだけ可愛がってくれて、愛してくれた優に…
あれだけの事をしておいてかー!」

ミチルがソラに向かって怒りに任せて絶叫する。
ソラはうなだれて何も言えない。

風太「ソラを責めるのはやめてっ!
みんな…みんな…僕とソラが…上海で何を見てきたと思ってんだよ!
上海の奴隷少年たちは地獄だったよ!
こことは比べ物にすらならない!
あまり言う事を聞かない奴隷は…手足を切り落と……これ以上は酷すぎて言えないよ!
みんなが言う事を聞かないと、白薔薇もここの様にするって僕たちは脅されたんだ!!!
僕とソラはここを!白薔薇のみんなを守る為に強くなるしかない!
そう思った!だから心を鬼にして…」

ミチル「それで優はあんなになったじゃないか?
ただ調教師たちの言う通りにする事だけが白薔薇を守る事か?
カッコつけるなよ!」

風太「なんだって!ふざけるな!ミチルー!」

風太がミチルにいきなり飛び掛かる。
しかし風太は最年少で身体も小さいから逆にミチルに押しのけられて、逆に馬乗りになられた。
裸で取っ組み合いをする少年二人。
ヒロ、綾人、ヒカル、ジュンが慌てて二人を引き離す。

綾人「落ち着け!ミチル。」

ヒロ「風太やめろ!怪我したらどうするんだ。」

離されて項垂れる二人。
ヒロは風太を立たせて身体の埃を払ってやり優しく風太に話しかけた。

ヒロ「風太そうか。それは辛かったな!
ごめんね。風太やソラの気持ちも考えてやれなくて。
でも今は僕たちみんながバラバラになったら駄目だと思うんだ。」

綾人「そうだぜ。ミチル。俺たちは仲間じゃないかよ。
だからあんまり俺たちを悲しませるなよ。」

ヒロを風太を、綾人はミチルを優しく抱きしめる。

ジュンはトモに小さな声で耳打ちをする。

ジュン「トモ。みんなが辛すぎておかしくなり出してる。
早く脱走計画を実行しないとな。」

トモ「そうだね。ジュン。このままじゃまずいね…。
みんなを救う為にも近い内に実行しよう。」

「ああ…しかしトモ。覚悟はしとけよ!
もししくじって捕らえられたら、優の比じゃない拷問を受けるぜ。」

「構わないよ。白薔薇のみんなは…
僕の家族なんだ。」

貴也とカオルには何も出来なかった。まだお仕置きによる手枷後ろ手緊縛にされていたのだ。

皆が倒れたテーブルや椅子を直している時に、ソラの前に置かれた奴隷少年用のスマホに連絡が入る。

ソラ「みんな。優が戻ってくるよ。直ぐに入口に迎えに行こう。」

ガチャリッ!

奴隷住居用の扉の鍵が解錠される。
そこには弐が部下を引き連れて優を連れてきた。
部下の一人が優の首輪の鎖を握っている。
優は白いハイソックスだけの裸で、首輪の鎖を引かれて、手枷足枷を肩幅程の鎖で繋がれている。
心なしかブルブル震えているように見えた。
弐が面倒くさそうに淡々と語る。

「奴隷ども。これから優の世話はお前たちがしろ。以上な。」

弐、以下が皆引き上げ優が置いていかれた。
優はまだブルブル震えている。
ヒロが手を出して優しく声を掛けた。

ヒロ「優おかえり。みんな待ってたよ。」

だが優は皆をまるで悪鬼でも見るような怖がった目をして叫ぶ。

「いやーやめて~」
と叫びながら休息室に走った。

そして大泣きしながら雪彦の十字架人形の足元に縋る。

優「お兄ちゃん!お兄ちゃん!雪彦お兄ちゃん!怖いよう!みんな怖いよう!
知らないお兄ちゃんがいっぱいで僕をいじめるよう~!」

綾人「なっ、なんだこりゃ?」

カオル「優。僕らの事。分からへんのやろか?」

ミチル「そんな…優が…壊れてしまった…。」

ヒロ「………………………!」

ヒカルが優に駆け寄り必死に声を掛けた。

ヒカル「優。怖がらないで…僕たちは優の家族だよ。」

優「いやーいやー来ないでー来ないでー!」

「ゆっ優…優…僕だよ。おんなじ蘭班の…ヒカルだよ…あっあああ~うううっ…あああ~<号泣>」

ヒロがヒカルを背後から抱きしめてヒカルを静止する。

ヒロ「ヒカル…今は刺激するな…優の好きにさせよう…させよう…うっうううっ…『号泣』」

ヒカルはヒロに縋りついて大泣きする。
少年たちは皆、激しく泣いていた。
トモが怒りに満ちた眼でジュンに語りかけている。

トモ「ジュン…僕は良く弐の奴に調教訓練を受けてる。
奴は僕を気に入ってるからね。虐めがいが有るって言われたんだ。
僕は気弱そうだしね。
今度、ジュンと二人で調教訓練を受けたいって弐に言ってみる。
ジュンと最近恋人になったって言ってね。ダブル調教して欲しいってねだってみるよ。
そしてジュンも呼ばれたら!
二人で奴を…」

ジュンは凄まじい目つきでトモを見る。そして怒りに満ちた声で。

「あああ~。弐を殺してやる。
そして二人で脱走しようぜ!
メディアでも警察でも駆け込んで白薔薇を世の中に晒してやるんだ。
そして仲間を救うんだ!
やろうぜ❗️
トモ。<凄笑>」


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