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第1章
第8話 仕切り直し
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入野さんと協力することを決めた翌日、身体中の痛みで目を覚ました。
身体中ですり傷の時のようなヒリヒリする痛みを感じる。
痒さ、寒さ、暑さの次に痛みときたか・・・・・・
生きていた時に想像していた地獄はもっときついイメージだったが、実際ここでの苦痛はがんばれば耐えられるくらいのものだが。
ただ、この感覚をこの先ずっと味わうと考えると中々絶望的な状況だ。
「木六さん、起きてますか?良かったらたまにはデザートでも食べませんか?」
田中さんが今日は恩を売る担当なのだろう。
このままデザートを食べたとしても、既にポイントのことを知ってしまったため恩を素直に感じることは難しい。
ただ急に断るのも不自然だ・・・・・・
「どんなデザートですか?」
「プリンです」
「地獄でプリンってどこで手に入れたんですか?」
「ここにもコンビニのようなお店があるので、そこでいろいろ買えるんですよ」
「じゃあせっかくなのでいただきます」
俺がプリンを食べた後、いつものように3人は外へ出かけて行った。
入野さんの話によると朝に3人で俺についてのポイントの確認を行うらしい。
今朝はもう田中さんが恩を売りに来ているのがわかっていたため、プリンにありがたさは感じていたがどこか素直に喜べない状態だった。
今回のポイントでどのくらい変化するのかは確認しておきたい。
入野さんとは3人での確認が終わった後に近くのビルで合流することになっているので俺は家を出発した。
決めていたビルで入野さんと合流した。
「今朝のポイントはどうなってたんですか?」
「今までのポイントに比べて確実に少なくなってたよ。他の二人はプリンが好きじゃなかったのかとかだんだんありがたみが薄れてるんじゃないかとか言ってた」
「それなら、ちょっとふてぶてしくなったということにしてだんだん態度を悪くしていくのもありですね」
「確かにそれなら尾行してたと思われないかもしれないね」
「まぁ1ヶ月経てば終わるのでなんとか誤魔化せそうです」
「じゃあ、とりあえずここでのポイント稼ぎについて教えるわ。」
そう言うと入野さんはビル1回の受付パネルを操作しだした。
「ここのパネルで装置の空き状況が確認できるの」
「装置ってなんの装置なんですか?」
「現世に行くための装置よ」
「現世に行けるんですか?」
「まぁいろいろ条件はあるけど、行けるの。装置を使う時にそれも説明する」
入野さんにパネルの操作方法を教わり、このビルの空いてる装置のある部屋に予約を取り移動することにした。
「この装置は現世に行けるけど、身体はランダムな義体を使うことになるわ。毎回変わるから常に別人として振る舞う必要がある」
「なるほど」
「あと、現世にいる時間が長いほど次に得られる善行ポイントの量も減っていくの。だから、ただ現世に長いこといてもそれに見合う善行ポイントを稼げないと意味が無いの」
「ちゃんとポイントを稼ぐ作戦を練ってからじゃないと現世に行ってただ時間を潰してしまうことになるってことですね」
「そう、だからまだあなたが入るのは辞めた方がいい」
「現世に行った時の出現場所はどこなんですか?」
「日本国内のどこかだよ」
「それだと急に人が現れて怪しまれるんじゃないですか?」
「おそらく、周りの人が認識できないようになってるんじゃないかな。大体人の少ない場所に出るけど、出現したあとしばらくは他の人がこっちを見ることがないの」
現世に行くシステムは理解できた。
ただ、いきなり作戦は思いつかないので考える時間は欲しい。
「さっき行った予約でいつまでに使わなきゃいけないとかあるんですか?」
「予約した時から大体1時間過ぎると予約が切れるね。今回は私と一緒についでで予約したけど、作戦が思いつかないなら使わない方がいいわね」
「2人で組んで行動しようと思ってたんですが、別々の場所に飛んでしまうなら合流することがなかなか難しそうですね」
「そうね、お金も無い状態だから移動手段も限られてくるし。だからみんなあんまりチームを組むとかはしてないんだと思うよ」
「お金が無いのはなかなかきついですね」
「そうね、基本会った人にそのまま恩を売ることが多いの。逆に親切にされちゃうとそれもまた獲得ポイントの減少に繋がるの」
「そうですか・・・それなら作戦ができてから装置を使った方がいいって言ってましたけど、一旦現世に行ってどんな感じが確かめてもいいですか?」
「別にいいけど、リスクはさっき言った通りだからね」
「はい、確認が終わったら戻ってきます」
部屋にある5台の装置のうち自分の予約した装置を起動させる。
起動方法は自分の手のひらを認証台に付けるだけだ。
いざ現世へ──
目を開けると、そこには視界いっぱいに田んぼが広がっていた。
久しぶりの現実世界は中々良いものだ。
先ほどまでの全身の痛みがなくなって身体がとても楽になっている。
だが、自分の体の胸の部分が妙に重たい。
見てみるとどうやらおっぱいがついているようだ。
俺は女の子になってしまった。
身体中ですり傷の時のようなヒリヒリする痛みを感じる。
痒さ、寒さ、暑さの次に痛みときたか・・・・・・
生きていた時に想像していた地獄はもっときついイメージだったが、実際ここでの苦痛はがんばれば耐えられるくらいのものだが。
ただ、この感覚をこの先ずっと味わうと考えると中々絶望的な状況だ。
「木六さん、起きてますか?良かったらたまにはデザートでも食べませんか?」
田中さんが今日は恩を売る担当なのだろう。
このままデザートを食べたとしても、既にポイントのことを知ってしまったため恩を素直に感じることは難しい。
ただ急に断るのも不自然だ・・・・・・
「どんなデザートですか?」
「プリンです」
「地獄でプリンってどこで手に入れたんですか?」
「ここにもコンビニのようなお店があるので、そこでいろいろ買えるんですよ」
「じゃあせっかくなのでいただきます」
俺がプリンを食べた後、いつものように3人は外へ出かけて行った。
入野さんの話によると朝に3人で俺についてのポイントの確認を行うらしい。
今朝はもう田中さんが恩を売りに来ているのがわかっていたため、プリンにありがたさは感じていたがどこか素直に喜べない状態だった。
今回のポイントでどのくらい変化するのかは確認しておきたい。
入野さんとは3人での確認が終わった後に近くのビルで合流することになっているので俺は家を出発した。
決めていたビルで入野さんと合流した。
「今朝のポイントはどうなってたんですか?」
「今までのポイントに比べて確実に少なくなってたよ。他の二人はプリンが好きじゃなかったのかとかだんだんありがたみが薄れてるんじゃないかとか言ってた」
「それなら、ちょっとふてぶてしくなったということにしてだんだん態度を悪くしていくのもありですね」
「確かにそれなら尾行してたと思われないかもしれないね」
「まぁ1ヶ月経てば終わるのでなんとか誤魔化せそうです」
「じゃあ、とりあえずここでのポイント稼ぎについて教えるわ。」
そう言うと入野さんはビル1回の受付パネルを操作しだした。
「ここのパネルで装置の空き状況が確認できるの」
「装置ってなんの装置なんですか?」
「現世に行くための装置よ」
「現世に行けるんですか?」
「まぁいろいろ条件はあるけど、行けるの。装置を使う時にそれも説明する」
入野さんにパネルの操作方法を教わり、このビルの空いてる装置のある部屋に予約を取り移動することにした。
「この装置は現世に行けるけど、身体はランダムな義体を使うことになるわ。毎回変わるから常に別人として振る舞う必要がある」
「なるほど」
「あと、現世にいる時間が長いほど次に得られる善行ポイントの量も減っていくの。だから、ただ現世に長いこといてもそれに見合う善行ポイントを稼げないと意味が無いの」
「ちゃんとポイントを稼ぐ作戦を練ってからじゃないと現世に行ってただ時間を潰してしまうことになるってことですね」
「そう、だからまだあなたが入るのは辞めた方がいい」
「現世に行った時の出現場所はどこなんですか?」
「日本国内のどこかだよ」
「それだと急に人が現れて怪しまれるんじゃないですか?」
「おそらく、周りの人が認識できないようになってるんじゃないかな。大体人の少ない場所に出るけど、出現したあとしばらくは他の人がこっちを見ることがないの」
現世に行くシステムは理解できた。
ただ、いきなり作戦は思いつかないので考える時間は欲しい。
「さっき行った予約でいつまでに使わなきゃいけないとかあるんですか?」
「予約した時から大体1時間過ぎると予約が切れるね。今回は私と一緒についでで予約したけど、作戦が思いつかないなら使わない方がいいわね」
「2人で組んで行動しようと思ってたんですが、別々の場所に飛んでしまうなら合流することがなかなか難しそうですね」
「そうね、お金も無い状態だから移動手段も限られてくるし。だからみんなあんまりチームを組むとかはしてないんだと思うよ」
「お金が無いのはなかなかきついですね」
「そうね、基本会った人にそのまま恩を売ることが多いの。逆に親切にされちゃうとそれもまた獲得ポイントの減少に繋がるの」
「そうですか・・・それなら作戦ができてから装置を使った方がいいって言ってましたけど、一旦現世に行ってどんな感じが確かめてもいいですか?」
「別にいいけど、リスクはさっき言った通りだからね」
「はい、確認が終わったら戻ってきます」
部屋にある5台の装置のうち自分の予約した装置を起動させる。
起動方法は自分の手のひらを認証台に付けるだけだ。
いざ現世へ──
目を開けると、そこには視界いっぱいに田んぼが広がっていた。
久しぶりの現実世界は中々良いものだ。
先ほどまでの全身の痛みがなくなって身体がとても楽になっている。
だが、自分の体の胸の部分が妙に重たい。
見てみるとどうやらおっぱいがついているようだ。
俺は女の子になってしまった。
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