巨大昆虫観察

ごむらば

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第1章 巨大昆虫観察

#1 秘め事

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俺は妻に黙っていることがある。 
それは特撮に関する収集を趣味にしている事。
その中でも特にお気に入りのものが、【巨大昆虫観察】というもの。 
主人公の幼い兄弟が遊んでいる時、大きな卵を見つける。 
家に持って帰ると、親は大き過ぎる卵を気持ち悪がり捨ててくるように言うのだが、子ども達は言う事を聞かずに離れの倉庫で育て始める。
兄弟が卵を温め始めてまもなくして卵が孵った。 
卵から生まれた幼虫は緑色しており、全体的にヌルヌルした粘液で覆われていた。
大きさは1mほどとかなり大きい。 
しばらくするとクネクネと動き、子ども達と戯れる。 
その緑色の幼虫の着ぐるみに入っているのは、 サイズ的に見て女性であるのではないかと思った。 
卵の中で着ぐるみを着せられた上、卵の中に閉じ込められ、卵の中をローションのような 
液で満たされたとしたら、卵の中で一体呼吸はどうしているのだろう。
中に入っている女性は大丈夫なのだろうかと考えているうちにこの番組が凄く気になり、毎週かかさずに見るようになっていた。 
そして、この番組で見逃せないのがエンディングである。
その回に放送されたメイキング等が流れる。 
幼虫の着ぐるみに入るシーンや着ぐるみが動きの指導受けているシーンや出演者が団らんしている様子など撮影風景なども流された。
そんなメイキングシーン等が曲とともに流れて番組が終わる。 
このメイキング映像で着ぐるみに入っているのが、自分の想像通り女性なのかを確認しようと必死で見ていた。 
エンディングでは映像以外にもキャストやスポンサー、協力会社等の文字も流れ、おまけにメイキング映像が小さくなるためよく見えなかったが、体型からなんとか着ぐるみに入っているのは女性であることは確認できた。
話は回を重ねる毎に幼虫からサナギ、成虫、さらにそこから脱皮して変体を繰り返していく。
成虫では2回脱皮したのが最終形態(成虫は1・2・3がある)。 
どの着ぐるみも自分の思っていたものよりもすばらしいできだった。
そんな理想的な着ぐるみに入って、必死に演じている彼女を見てみたいという気持ちがどんどん大きくなっていく。
放送は毎回録画して欠かさず見た。 
特にエンディングは何度も繰り返して見たが、彼女の顔を見ることはもちろん、スタッフに混じった彼女を見つけることもできなかった。 
放送終了後しばらくして、自分と同じような思いの人が多かったのかどうかはわからないが、DVDBOXが発売された。 
もちろん、特典として放送されていないメイキング映像も収録されていた。 
早速、購入して見て見たが、その中でも彼女を見つけることはできなかった。 
スーツアクトレスとして【織田香代子】と名前が出ていたので、女性であることは確実になったが、ネットでいくら検索しても【織田香代子】はヒットしなかった。 
全く情報もなく、一目見てみたいという気持ちだけがどんどん大きくなっていった。 
そんなとき、妻に秘密にして隠しておいた巨大昆虫観察に関する雑誌やDVDBOXが見つかってしまった。 
えらくこだわって集めていることを追求されたら、どう答えようかなどと言い訳を考えていたのだが、意外にも妻は面白そうだから一緒に見ようと言ってくれた。
ホッとして見始めたのも束の間、テレビを見ながら、どうして興味を持ったのか聞いてきた。 
妻の香織とは、高校の3年間同じクラスで付き合ってこそいなかったが、すごく仲がよかった。 
香織は東京の大学へ進学、そのまま就職し、 
しばらく会っていなかったが、同窓会で久しぶりに再会。 
そこで意気投合して1年半の遠距離恋愛を経て、現在の結婚生活に至る。
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