17 / 24
17 賭けに勝つ者
しおりを挟む
お昼休みの学園の食堂。
クリストファー殿下とその恋人、そして側近候補達が、揃って昼食を摂っている個室に突撃して、優雅に微笑みながら招待状を手渡した。
「茶会の招待?」
クリストファー殿下が怪訝な顔をするのも当然である。
この場に居る全員に、同じ招待状を配ったのだから。
どう考えても、気不味いとしか言いようの無いメンバーである。
「ええ。
私の体調も漸く回復致しましたので、
心配して下さった皆様を、是非我が家のお茶会にご招待したいと思いまして」
「そうか。
全快したならば、やはり婚約は・・・」
「その件は、お父様が陛下とお話しして下さってますので」
パッと明るい表情になり、婚約続行を提案しそうになる殿下を制して、氷の笑みで言い放つ。
本当に諦めが悪い泥舟だ。
アシュトン嬢は、ちょっとオロオロした様な表情。
デズモンド様は、いつもの曖昧な微笑み。
マクレガー様は、微かに眉間に皺を寄せている。
クリストファー殿下は、とても不機嫌そう。(これは婚約続行の話をさせなかったからだな)
四人それぞれの表情をじっくりと観察して、「ウフフ」と楽し気に笑って見せる。
「素敵な余興もご用意しておりますし、皆様とお話ししたい事もございますので、是非ともご参加くださいませ。
では、私はこれで。
お食事中に失礼しました」
個室を出ると、扉の外で待っていたレイがすぐに私に寄り添う。
「皆さん、いらして下さると良いですね」
「ええ、本当に。
とっても楽しみだわ」
その週末。
青空が広がり、多種多様な花々が咲き誇る公爵邸の庭園に、招待した四人全員が集まってくれた。
『小規模の茶会だが、王太子を招待したのだから』と言う大義名分の元、公爵家が雇っている騎士が大勢警備に当たっており、殿下に付き添っている護衛達もいる為、なんだか茶会には相応しく無い物々しさが漂う。
しかも、殿下達と私とレイモンドというメンバーでテーブルを囲んで居るのだ。
どことなくピリピリとした空気で、とてもじゃないけど、『楽しくお茶を』なんて能天気な雰囲気では無かった。
「皆様、本日はお忙しい中お集まり頂きまして、有難うございます」
つとめて明るい声で挨拶をしたが、重苦しい空気は全く変わらない。
ちょっとくらい、楽しそうな振りをしてくれても良いのに。
本音を隠す社交の基本を何処に置いて来てしまったのかしら?
そんな中でも、デズモンド様だけは、微かに笑みを浮かべている。
いつもと変わらないその表情だが、ほんの少し面白がっている様にも見えるのは、気の所為だろうか?
「なんだか皆さん、緊張していらっしゃるみたい。ウフフ。
今日は皆さんの為に、珍しいお茶菓子をご用意しましたのよ」
侍女に視線で合図をすると、参加者達の前に、フルーツタルトが乗ったお皿が供される。
様々なフルーツがたっぷり使われたそのタルトの上には、フルーツと共にバラやビオラなどのカラフルな花が飾られている。
そのタルトを見て、皆一様に驚いた顔をしている。
「エディブルフラワーってご存知かしら?
他国で最近流行っているらしいのですが、食べられるお花なんですって」
「花を・・・食べる?
それって美味いのか?」
殿下が眉間に皺を寄せる。
「ええ、農薬を使わず特殊な栽培方法で食用に育てた花なのです。
お味は、そうですわねぇ・・・。
ほんのり甘くて、苦味も少し。
単体で食べて美味しいのかと問われると・・・、ちょっと微妙ですわね。
でも、クリーム等と一緒に召し上がれば苦味はあまり感じませんし、華やかな香りも楽しめますよ。
何もりも美しいでは無いですか。
バラのジャムもご用意しましたが、こちらは苦みも無くて美味しいですよ。
クラッカーに付けても良いですし、紅茶に入れても」
「へえ、面白いね。
早速頂いてみよう」
流石はお洒落なデズモンド様。
食べ物の流行にも興味があるみたい。
「ええ、召し上がってみて」
皆さんがカトラリーやカップを手に取る中、少々顔色が優れないお方が一人・・・・・・。
「「「頂きます」」」
「・・・・・・ダメ・・・だ」
呟く声は、他の人には聞こえなかったみたい。
「っっ!!食べるな、エミリー!
それは毒だっっ!!」
フォークの先にタルトと共に青い花を乗せたアシュトン嬢の右手を抑えながら叫んだのは、花に負けないくらい真っ青な顔をしたマクレガー様だった。
『毒』と言うパワーワードに反応して、殿下の護衛が身構えるが、公爵家の騎士が私とレイモンドを護る様に一歩前に出た。
「あらあら、人聞きが悪い。
公爵家のパティシエが毒など入れる筈が無いではないですか」
呑気な声でそう言って、冷たい視線でマクレガー様を見ると、彼の目には絶望が浮かんでいた。
罠にハマったと今更気付いても、もう遅い。
私はニコリと微笑むと、フルーツタルトの上にバラやビオラと共に飾られた、青い菊の様な花を摘んでパクリと食べて見せた。
アシュトン嬢が食べようとしていたのと同じ花。
マクレガー様の肩がビクッと震える。
「うん、やっぱりお味は微妙ですわ。
でも、毒なんかじゃ無いですよ。
これは、ただの食用菊ですから」
「そんな・・・、青い菊は存在しないはず・・・」
「あら、意外。
マクレガー様は花にも造詣が深いのですね。
そうです。
これは正確には、白い食用菊を、青い食用色素を混ぜた水に一晩生けて、青く染め上げた物です。
そう言えば、N王国には菊に似た青い毒花があるのだとか・・・。
実は先日の私の体調不良も、その毒花が原因だったみたいなのですが・・・。
この国では殆ど知られていないその花を、マクレガー様はご存知だったみたいですね」
これは一種の賭けだった。
私に使われた毒が、犯人の手に渡った段階で既に生成された粉末や液体だった場合、花の状態を見ても、気付かない可能性があった。
それに、この四人の中に犯人がいない可能性もある。
しかし、アシュトン商会が輸入しているのは、生成前の植物の筈だから、少しだけ勝算があった。
それに、もしこの賭けに負けたとしても、この茶会が『ちょっと風変わりな茶菓子を楽しむ会』に変わるだけ。
負けたとしても、失う物は何も無い。
そして私達は、見事に賭けに勝ったのだ。
クリストファー殿下とその恋人、そして側近候補達が、揃って昼食を摂っている個室に突撃して、優雅に微笑みながら招待状を手渡した。
「茶会の招待?」
クリストファー殿下が怪訝な顔をするのも当然である。
この場に居る全員に、同じ招待状を配ったのだから。
どう考えても、気不味いとしか言いようの無いメンバーである。
「ええ。
私の体調も漸く回復致しましたので、
心配して下さった皆様を、是非我が家のお茶会にご招待したいと思いまして」
「そうか。
全快したならば、やはり婚約は・・・」
「その件は、お父様が陛下とお話しして下さってますので」
パッと明るい表情になり、婚約続行を提案しそうになる殿下を制して、氷の笑みで言い放つ。
本当に諦めが悪い泥舟だ。
アシュトン嬢は、ちょっとオロオロした様な表情。
デズモンド様は、いつもの曖昧な微笑み。
マクレガー様は、微かに眉間に皺を寄せている。
クリストファー殿下は、とても不機嫌そう。(これは婚約続行の話をさせなかったからだな)
四人それぞれの表情をじっくりと観察して、「ウフフ」と楽し気に笑って見せる。
「素敵な余興もご用意しておりますし、皆様とお話ししたい事もございますので、是非ともご参加くださいませ。
では、私はこれで。
お食事中に失礼しました」
個室を出ると、扉の外で待っていたレイがすぐに私に寄り添う。
「皆さん、いらして下さると良いですね」
「ええ、本当に。
とっても楽しみだわ」
その週末。
青空が広がり、多種多様な花々が咲き誇る公爵邸の庭園に、招待した四人全員が集まってくれた。
『小規模の茶会だが、王太子を招待したのだから』と言う大義名分の元、公爵家が雇っている騎士が大勢警備に当たっており、殿下に付き添っている護衛達もいる為、なんだか茶会には相応しく無い物々しさが漂う。
しかも、殿下達と私とレイモンドというメンバーでテーブルを囲んで居るのだ。
どことなくピリピリとした空気で、とてもじゃないけど、『楽しくお茶を』なんて能天気な雰囲気では無かった。
「皆様、本日はお忙しい中お集まり頂きまして、有難うございます」
つとめて明るい声で挨拶をしたが、重苦しい空気は全く変わらない。
ちょっとくらい、楽しそうな振りをしてくれても良いのに。
本音を隠す社交の基本を何処に置いて来てしまったのかしら?
そんな中でも、デズモンド様だけは、微かに笑みを浮かべている。
いつもと変わらないその表情だが、ほんの少し面白がっている様にも見えるのは、気の所為だろうか?
「なんだか皆さん、緊張していらっしゃるみたい。ウフフ。
今日は皆さんの為に、珍しいお茶菓子をご用意しましたのよ」
侍女に視線で合図をすると、参加者達の前に、フルーツタルトが乗ったお皿が供される。
様々なフルーツがたっぷり使われたそのタルトの上には、フルーツと共にバラやビオラなどのカラフルな花が飾られている。
そのタルトを見て、皆一様に驚いた顔をしている。
「エディブルフラワーってご存知かしら?
他国で最近流行っているらしいのですが、食べられるお花なんですって」
「花を・・・食べる?
それって美味いのか?」
殿下が眉間に皺を寄せる。
「ええ、農薬を使わず特殊な栽培方法で食用に育てた花なのです。
お味は、そうですわねぇ・・・。
ほんのり甘くて、苦味も少し。
単体で食べて美味しいのかと問われると・・・、ちょっと微妙ですわね。
でも、クリーム等と一緒に召し上がれば苦味はあまり感じませんし、華やかな香りも楽しめますよ。
何もりも美しいでは無いですか。
バラのジャムもご用意しましたが、こちらは苦みも無くて美味しいですよ。
クラッカーに付けても良いですし、紅茶に入れても」
「へえ、面白いね。
早速頂いてみよう」
流石はお洒落なデズモンド様。
食べ物の流行にも興味があるみたい。
「ええ、召し上がってみて」
皆さんがカトラリーやカップを手に取る中、少々顔色が優れないお方が一人・・・・・・。
「「「頂きます」」」
「・・・・・・ダメ・・・だ」
呟く声は、他の人には聞こえなかったみたい。
「っっ!!食べるな、エミリー!
それは毒だっっ!!」
フォークの先にタルトと共に青い花を乗せたアシュトン嬢の右手を抑えながら叫んだのは、花に負けないくらい真っ青な顔をしたマクレガー様だった。
『毒』と言うパワーワードに反応して、殿下の護衛が身構えるが、公爵家の騎士が私とレイモンドを護る様に一歩前に出た。
「あらあら、人聞きが悪い。
公爵家のパティシエが毒など入れる筈が無いではないですか」
呑気な声でそう言って、冷たい視線でマクレガー様を見ると、彼の目には絶望が浮かんでいた。
罠にハマったと今更気付いても、もう遅い。
私はニコリと微笑むと、フルーツタルトの上にバラやビオラと共に飾られた、青い菊の様な花を摘んでパクリと食べて見せた。
アシュトン嬢が食べようとしていたのと同じ花。
マクレガー様の肩がビクッと震える。
「うん、やっぱりお味は微妙ですわ。
でも、毒なんかじゃ無いですよ。
これは、ただの食用菊ですから」
「そんな・・・、青い菊は存在しないはず・・・」
「あら、意外。
マクレガー様は花にも造詣が深いのですね。
そうです。
これは正確には、白い食用菊を、青い食用色素を混ぜた水に一晩生けて、青く染め上げた物です。
そう言えば、N王国には菊に似た青い毒花があるのだとか・・・。
実は先日の私の体調不良も、その毒花が原因だったみたいなのですが・・・。
この国では殆ど知られていないその花を、マクレガー様はご存知だったみたいですね」
これは一種の賭けだった。
私に使われた毒が、犯人の手に渡った段階で既に生成された粉末や液体だった場合、花の状態を見ても、気付かない可能性があった。
それに、この四人の中に犯人がいない可能性もある。
しかし、アシュトン商会が輸入しているのは、生成前の植物の筈だから、少しだけ勝算があった。
それに、もしこの賭けに負けたとしても、この茶会が『ちょっと風変わりな茶菓子を楽しむ会』に変わるだけ。
負けたとしても、失う物は何も無い。
そして私達は、見事に賭けに勝ったのだ。
83
お気に入りに追加
1,951
あなたにおすすめの小説
王城の廊下で浮気を発見した結果、侍女の私に溺愛が待ってました
メカ喜楽直人
恋愛
上級侍女のシンシア・ハート伯爵令嬢は、婿入り予定の婚約者が就職浪人を続けている為に婚姻を先延ばしにしていた。
「彼にもプライドというものがあるから」物わかりのいい顔をして三年。すっかり職場では次代のお局様扱いを受けるようになってしまった。
この春、ついに婚約者が王城内で仕事を得ることができたので、これで結婚が本格的に進むと思ったが、本人が話し合いの席に来ない。
仕方がなしに婚約者のいる区画へと足を運んだシンシアは、途中の廊下の隅で婚約者が愛らしい令嬢とくちづけを交わしている所に出くわしてしまったのだった。
そんな窮地から救ってくれたのは、王弟で王国最強と謳われる白竜騎士団の騎士団長だった。
「私の名を、貴女への求婚者名簿の一番上へ記す栄誉を与えて欲しい」
好きな人と友人が付き合い始め、しかも嫌われたのですが
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ナターシャは以前から恋の相談をしていた友人が、自分の想い人ディーンと秘かに付き合うようになっていてショックを受ける。しかし諦めて二人の恋を応援しようと決める。だがディーンから「二度と僕達に話しかけないでくれ」とまで言われ、嫌われていたことにまたまたショック。どうしてこんなに嫌われてしまったのか?卒業パーティーのパートナーも決まっていないし、どうしたらいいの?
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
【完結】契約の花嫁だったはずなのに、無口な旦那様が逃がしてくれません
Rohdea
恋愛
──愛されない契約の花嫁だったはずなのに、何かがおかしい。
家の借金返済を肩代わりして貰った代わりに
“お飾りの妻が必要だ”
という謎の要求を受ける事になったロンディネ子爵家の姉妹。
ワガママな妹、シルヴィが泣いて嫌がった為、必然的に自分が嫁ぐ事に決まってしまった姉のミルフィ。
そんなミルフィの嫁ぎ先は、
社交界でも声を聞いた人が殆どいないと言うくらい無口と噂されるロイター侯爵家の嫡男、アドルフォ様。
……お飾りの妻という存在らしいので、愛される事は無い。
更には、用済みになったらポイ捨てされてしまうに違いない!
そんな覚悟で嫁いだのに、
旦那様となったアドルフォ様は確かに無口だったけど───……
一方、ミルフィのものを何でも欲しがる妹のシルヴィは……
婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました
鈴宮(すずみや)
恋愛
公爵令嬢ポラリスはある日、婚約者である王太子シリウスと、親友スピカの浮気現場を目撃してしまう。信じていた二人からの裏切りにショックを受け、その場から逃げ出すポラリス。思いの丈を叫んでいると、その現場をクラスメイトで留学生のバベルに目撃されてしまった。
その後、開き直ったように、人前でイチャイチャするようになったシリウスとスピカ。当然、婚約は破棄されるものと思っていたポラリスだったが、シリウスが口にしたのはあまりにも身勝手な要求だった――――。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる