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16 ふたりで生きる(最終話)
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「ジェラルド様は、私を甘やかせる天才ですね」
そう呟くと、優しいエメラルドの瞳が瞬いた。
「光栄です」
私はずっと誰かに護られたかったのだ。
一人で立ち続けることに、限界を感じていた。
「そんなに甘やかされては、もう一人では生きられくなってしまいます」
「せっかく手に入れた貴女を、一人にさせるなんてとんでもない。
愛する貴女にどんなに頼まれても、それだけは無理です」
真面目な顔で言い切るジェラルド様に、思わず笑みが溢れる
「そんな事、頼んだりしませんよ。
私もきっと、貴方を愛し始めているのです」
胸の奥には確かな想いが育っているのを感じていたが、「愛してる」とハッキリ言う事が出来なかった。
ジェラルド様のくれる想いには、まだまだ到底追いつかないから。
彼は、驚いたようにその美しい瞳を大きく見開き、みるみる朱に染まる頬を隠すように両手で口元を覆った。
「婚約が決まった時、私は世界一の幸せ者だと思っていました。
まさか、それ以上があるなんて・・・」
囁くように紡がれた声は、少し掠れていた。
私の一言をこんなにも喜んでくれる人がいる。
それはとても幸せな事だ。
暫く余韻に浸った後、ジェラルド様は私を強く抱きしめた。
「ああっ・・・。もう直ぐにでも結婚したいです。
一日も待てない!」
そんな彼の言葉を私は笑ったが、彼は結構本気だったらしく・・・。
結婚式の準備は異例の急ピッチで進められ、当初の予定より半年以上も早く、私達は結婚する事になる。
二人の門出を祝うかのような、澄んだ青空の下。
純白のドレスを着た私を、大切な宝物のように丁寧に支える手は少し震えていた。
「ジェラルド様、緊張しているのですか?」
「当たり前です。私がどんなにこの日を待ち望んでいたことか」
「実は私も、凄く緊張しているのです」
二人は視線を交わして、笑い合う。
政略で結婚をする筈だった。
そこに幸せなどないと、求めてはいけないのだと思っていた。
でも、今は・・・・・・。
沢山の人に祝福されて、隣には愛しい人。
これを幸せと呼ばずになんと呼ぶのか。
「私の最愛。私の女神。
ようやく本当に、私のものになってくれるのですね。
愛しています。セシリア。
ずっと、永遠に、一生愛し続けます」
いつも以上に、甘いジェラルド様。
お砂糖と蜂蜜を一緒に煮詰めたみたい。
私はこの日、たった一日で一生分のキスと「愛してる」という言葉を贈られた。
私が胸にそっと抱えた愛情は、着実に大きくなってきている。
彼のそれと同じ重さになるのは、きっともうすぐ。
その想いを、ジェラルド様に告白する日が楽しみだ。
【終】
そう呟くと、優しいエメラルドの瞳が瞬いた。
「光栄です」
私はずっと誰かに護られたかったのだ。
一人で立ち続けることに、限界を感じていた。
「そんなに甘やかされては、もう一人では生きられくなってしまいます」
「せっかく手に入れた貴女を、一人にさせるなんてとんでもない。
愛する貴女にどんなに頼まれても、それだけは無理です」
真面目な顔で言い切るジェラルド様に、思わず笑みが溢れる
「そんな事、頼んだりしませんよ。
私もきっと、貴方を愛し始めているのです」
胸の奥には確かな想いが育っているのを感じていたが、「愛してる」とハッキリ言う事が出来なかった。
ジェラルド様のくれる想いには、まだまだ到底追いつかないから。
彼は、驚いたようにその美しい瞳を大きく見開き、みるみる朱に染まる頬を隠すように両手で口元を覆った。
「婚約が決まった時、私は世界一の幸せ者だと思っていました。
まさか、それ以上があるなんて・・・」
囁くように紡がれた声は、少し掠れていた。
私の一言をこんなにも喜んでくれる人がいる。
それはとても幸せな事だ。
暫く余韻に浸った後、ジェラルド様は私を強く抱きしめた。
「ああっ・・・。もう直ぐにでも結婚したいです。
一日も待てない!」
そんな彼の言葉を私は笑ったが、彼は結構本気だったらしく・・・。
結婚式の準備は異例の急ピッチで進められ、当初の予定より半年以上も早く、私達は結婚する事になる。
二人の門出を祝うかのような、澄んだ青空の下。
純白のドレスを着た私を、大切な宝物のように丁寧に支える手は少し震えていた。
「ジェラルド様、緊張しているのですか?」
「当たり前です。私がどんなにこの日を待ち望んでいたことか」
「実は私も、凄く緊張しているのです」
二人は視線を交わして、笑い合う。
政略で結婚をする筈だった。
そこに幸せなどないと、求めてはいけないのだと思っていた。
でも、今は・・・・・・。
沢山の人に祝福されて、隣には愛しい人。
これを幸せと呼ばずになんと呼ぶのか。
「私の最愛。私の女神。
ようやく本当に、私のものになってくれるのですね。
愛しています。セシリア。
ずっと、永遠に、一生愛し続けます」
いつも以上に、甘いジェラルド様。
お砂糖と蜂蜜を一緒に煮詰めたみたい。
私はこの日、たった一日で一生分のキスと「愛してる」という言葉を贈られた。
私が胸にそっと抱えた愛情は、着実に大きくなってきている。
彼のそれと同じ重さになるのは、きっともうすぐ。
その想いを、ジェラルド様に告白する日が楽しみだ。
【終】
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