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帰宅と遭遇
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_________なぜ、我が家の玄関に男物の靴があるんだ。
結局、三月さんと別れたのは時計を確認してから30分以上たった後だった。懸念した通りというか、夕飯の支度がまだだったようで慌てていた。私はというと、今朝作ったみそ汁と作り置きしてあるおかずがあるので、温めればすぐに食べることができる。夕飯の後、どう過ごすかを思案ながら帰宅したのだが……。
ここ、私の家だよな?
手の中のカギを見つめる。間違いない、いつもと同じ我が家のカギだ。このカギで入れたということは、ここは私の家だということになる。
視線を戻すと、問題の靴は変わらずそこに存在していた。
”ぬぎ散らかした”という表現がぴったりだな。どうやら、この靴の持ち主は”ぬいだ靴は揃える”ということを知らないらしい。それにしても、いったい誰が居るんだ?このマンションのセキュリティ的に、不審者が侵入する事は出来ないはずなのだが……。
住民か、住民や管理人が許可しなければ入ることのできないマンション内に入り、スペアを作ることが出来ない特殊なカギでしか開かないドアを開けた。
となると、この靴の持ち主は我が家のカギを持っているということか。
カギはここに入居する時、ふたつ渡される。私は、ひとつは自分で持ち、もうひとつは両親に渡した。つまり、この靴の持ち主の我が家への侵入には、両親がかかわっているということになる。しかし、私は何の話も聞いていない。
……このまま突っ立っていても、埒が明かないな。
靴を脱ぎ(無論、きちんと揃える)、護身用のスタンガンを握りしめ、明かりが点いているリビングに向かう。
中の様子を窺うと_____________________________
目 が 合 っ た 。
ばっちり、しっかり、目が合ってしまった。お互いに視線を外すことが出来ず、謎の見つめ合いが発生し、何とも言えない空気が漂う。
……どうすれば、いいのだろうか。
愛は混乱していた。靴の持ち主である侵入者と、予想外の対面を果たしてしまったからだ。両親がかかわっていると予想したが、とりあえず様子を見て、明らかに不審者だった場合は速やかに警察にTELするつもりだったのである。
目が合ったままの侵入者は少年だった。それも、なんというか、不良と呼ばれる感じの。
ん?
ふと、部屋の様子に違和感を感じ見渡せば、段ボール箱がいくつも積まれている。
ふむ、段ボール箱と不良な少年か……。三月さんが言っていた、今日引っ越しをしていた男の子がこの少年だと考えれば、少年がマンション内に入れたことは納得できる。問題は、少年が何者で、両親とどんな関係なのかだな。
愛は、自分は知らなかったとはいえ、引っ越しが許可されたことから少年は不審者ではないと判断した。そして、部屋の中に一歩踏み込み、視線を少年に戻し口を開いた。
「あの、えっと、どちら様でしょうか?」
「……あんた、自分の親から俺のこと何も聞いてないのか?」
つまり、私の両親がこの少年が我が家に引っ越すことを了承したのか。
「はい……。」
「あー……、俺は六条 雲雀。あんたは浅見 愛だよな?」
「そうです。」
「なんか、俺の親があんたの親と友人なんだと。それで親父が、俺が家から遠い高校に転入することになって部屋探してるっていう話をあんたの親父にしたら、転入先の高校が娘が部屋借りて通ってる高校に近いから、その部屋に同居すればいいって話になったらしいぜ。……そういう訳で、今日からヨロシク。」
なんですと。
……父よ。確かに我が家の部屋は余っているが、本人の許可は必要だ。
結局、三月さんと別れたのは時計を確認してから30分以上たった後だった。懸念した通りというか、夕飯の支度がまだだったようで慌てていた。私はというと、今朝作ったみそ汁と作り置きしてあるおかずがあるので、温めればすぐに食べることができる。夕飯の後、どう過ごすかを思案ながら帰宅したのだが……。
ここ、私の家だよな?
手の中のカギを見つめる。間違いない、いつもと同じ我が家のカギだ。このカギで入れたということは、ここは私の家だということになる。
視線を戻すと、問題の靴は変わらずそこに存在していた。
”ぬぎ散らかした”という表現がぴったりだな。どうやら、この靴の持ち主は”ぬいだ靴は揃える”ということを知らないらしい。それにしても、いったい誰が居るんだ?このマンションのセキュリティ的に、不審者が侵入する事は出来ないはずなのだが……。
住民か、住民や管理人が許可しなければ入ることのできないマンション内に入り、スペアを作ることが出来ない特殊なカギでしか開かないドアを開けた。
となると、この靴の持ち主は我が家のカギを持っているということか。
カギはここに入居する時、ふたつ渡される。私は、ひとつは自分で持ち、もうひとつは両親に渡した。つまり、この靴の持ち主の我が家への侵入には、両親がかかわっているということになる。しかし、私は何の話も聞いていない。
……このまま突っ立っていても、埒が明かないな。
靴を脱ぎ(無論、きちんと揃える)、護身用のスタンガンを握りしめ、明かりが点いているリビングに向かう。
中の様子を窺うと_____________________________
目 が 合 っ た 。
ばっちり、しっかり、目が合ってしまった。お互いに視線を外すことが出来ず、謎の見つめ合いが発生し、何とも言えない空気が漂う。
……どうすれば、いいのだろうか。
愛は混乱していた。靴の持ち主である侵入者と、予想外の対面を果たしてしまったからだ。両親がかかわっていると予想したが、とりあえず様子を見て、明らかに不審者だった場合は速やかに警察にTELするつもりだったのである。
目が合ったままの侵入者は少年だった。それも、なんというか、不良と呼ばれる感じの。
ん?
ふと、部屋の様子に違和感を感じ見渡せば、段ボール箱がいくつも積まれている。
ふむ、段ボール箱と不良な少年か……。三月さんが言っていた、今日引っ越しをしていた男の子がこの少年だと考えれば、少年がマンション内に入れたことは納得できる。問題は、少年が何者で、両親とどんな関係なのかだな。
愛は、自分は知らなかったとはいえ、引っ越しが許可されたことから少年は不審者ではないと判断した。そして、部屋の中に一歩踏み込み、視線を少年に戻し口を開いた。
「あの、えっと、どちら様でしょうか?」
「……あんた、自分の親から俺のこと何も聞いてないのか?」
つまり、私の両親がこの少年が我が家に引っ越すことを了承したのか。
「はい……。」
「あー……、俺は六条 雲雀。あんたは浅見 愛だよな?」
「そうです。」
「なんか、俺の親があんたの親と友人なんだと。それで親父が、俺が家から遠い高校に転入することになって部屋探してるっていう話をあんたの親父にしたら、転入先の高校が娘が部屋借りて通ってる高校に近いから、その部屋に同居すればいいって話になったらしいぜ。……そういう訳で、今日からヨロシク。」
なんですと。
……父よ。確かに我が家の部屋は余っているが、本人の許可は必要だ。
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