どあほの可愛い子

春川信子

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女の子は誰でも

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「日和、ごめん。私はさ、仮にもファッションに関わってるから、お母さんのきもち分かる。」
聡子は真っ直ぐ、日和を見ながら言った。
「女って好きなものは好きなのよ。いくつになっても。」
「ありがとう。」
日和も分からないわけでは無かった。
「お母さん悪いことしてるんじゃないもの。好きな服を着ているだけ。」
聡子はついに吹き出した。
「なんか愛おしい。」
「あの格好で歩かれてる私ら夫婦の身にもなってよ。」
そう言いながら日和も笑っていた。
「アパレル儲からないし、今あんなに洋服愛して着てくれる人は稀よ。」
「確かにお母さん、大事に着てるよ。」
日和は聡子にクローゼットを見せた。
お母さんが使っているものだ。
「わぁ。」
水色、ピンク、黄色。
まるで色とりどりのお花が咲いているようだ。
フリルが風で揺れる。
2人ともしばらく無言で見ていた。
「これ、やっぱり、素敵。」
「ねー、小さいころ、こんなの着たかった。」
お母さんが、帰ってきた。
音を立てずに、こそこそしている。
「お母さん、どうしたの?」
パッとハンカチを取り出し顔を覆う。
「私人の道を外れたわ。」
消え入るような声でそう言って、お母さんは去っていった。
「お母さん?」
「そっとしておきな。」
聡子は日和を止めた。
「色々あったんだわ。」
聡子は嫌な予感が当たらない事を祈った。
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