ヘアピン

春川信子

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ヘアピン

しおりを挟む
弥生は、いたって普通の女だった。
照史と弥生と由美は同じ大学の美術サークルにいた。
美人の由美は、サークルのみんなに好かれた。
「由美ちゃんは、いいなぁ。私飲み会って苦手だよ。」 
「弥生はさ、芸術家なんだよ。そういう人って繊細だから、あんまり人付き合いしたくないなら、しなくても大丈夫!!私は弥生らぶだから。」
由美は弥生の絵をよく見てくれた。
弥生も由美の優しくも華やかな絵が好きだった。
「コンクール入賞おめでとう!!」
弥生が初めてコンクールの賞をとった時、由美は嬉しくて泣いた。
そこには弥生のひた隠しにしていた恋が抽象画で描かれていた。
同じサークルの照史に恋していた。
「ぼく、君の絵なんか気になる。」
静かに照史がいった一言。帰り道送ってくれた事。笑った顔。一緒にいったレストラン。
ただいつも、由美ちゃんも誘ってと言われた。
「両手に花やなぁ。」
照史は、照れて笑った。
キャンバスには、由美がいつも描かれていた。
弥生は悔しかった。
由美は美しい。私よりも。
それでも照史が好きだった。
その思いは封印したはずなのに。
あれから何年も時がたった。
由美は案の定、照史の妻になった。
一方自分は、照史を忘れられず、1人だ。
インスタには、華やかな由美がずらりと並ぶ。
隣で笑う照史。
苦しい。
もう苦しい。
ある日スーパーで幸せそうな2人にあった。
なんとかたわいも無い会話をした。
由美がいった。「いいなぁ、弥生は独身だし、自由で。」
それから、家に戻ったら、掲示板に、由美の悪口を書き連ねてしまった。
冷たい電子の、タヒが踊る。
インスタを見る度に、由美死ねと言っている自分がいた。
死ね、と。
由美が交通事故にあった。
弥生は震えが止まらなかった。
コンクールに入賞した時、由美がくれたお揃いのヘアピンがきらりと光った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

意味がわかると下ネタにしかならない話

黒猫
ホラー
意味がわかると怖い話に影響されて作成した作品意味がわかると下ネタにしかならない話(ちなみに作者ががんばって考えているの更新遅れるっす)

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

松本先生のハードスパンキング パート4

バンビーノ
BL
 ほどなく3年生は家庭訪問で親子面談をさせられることになりました。やって来るのは学年主任の松本先生です。嫌な予感がしましたが、逃げられません。先生は真っ先にわが家を訪問しました。都立高は内申重視なので、母親は学校での僕の様子を知りたがりました。 「他の先生からも聞きましたが、授業態度ははっきり言ってよくない印象です。忘れ物とか宿題をやってこないとか、遅刻とか。2学期が特に大事なので、先日も厳しく叱りました」  母は絶句しましたが、すぐに平静を装い何があったのかと聞きました。 「けがをさせるような体罰はしません。本人も納得しているし、躾の範囲だとご理解ください」 「もちろんです。でもひっぱたくときは、なるべくお尻にしてやってください」  松本先生は大きくうなずきました。  理科だけはちゃんとやらないと。でも染みついた怠け癖はすぐには直りません。5月の連休明けでした。理科の授業で僕は松本先生に指名され、教室の前の黒板に宿題の答えを書くように言われました。僕は忘れたと素直に言えなくて、ノートを持って黒板のところへ行きました。でも答えがすぐ思いつくはずもなく、すっかり動揺していました。松本先生は僕に近づいてくると黙ってノートを取り上げました。宿題はおろか板書もろくに取っていないことがばれました。先生は前の席の女子生徒のノートも取り上げました。先生の表情が穏やかになりました。 「きれいなノートだ」  松本先生は女子生徒にノートを返すと、今度は険しい顔で僕にノートを突き返しました。僕はお仕置きを覚悟しました。 「お母さんの前で約束したよな」  僕は前の黒板の縁に両手をつかされました。松本先生は教室の横の棚から卓球のラケットを持ってきて、僕のすぐ右横に立ちました。その卓球のラケットは素振り用で、普通のラケットよりずっと重いものでした。今度はこれでひっぱたかれるのか。僕は前回よりは素直にお仕置きの姿勢をとりました。松本先生は左手で僕の腰のあたりを押さえつけました。パーン! 「痛え」。ラケットはお尻にズシンときて、僕は反射的にお尻に右手のひらを当てていました。「熱っ」。   

親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。 「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」 「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」 「・・・?は、はい」 いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・ その夜。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...